成瀬 凌圓 / Nullxe Ryoen

「職業:自分」を夢見る大学生です。 哲学からアートを考える記事「PhilosophiA…

成瀬 凌圓 / Nullxe Ryoen

「職業:自分」を夢見る大学生です。 哲学からアートを考える記事「PhilosophiArt」を不定期で投稿しています。

マガジン

  • カント『判断力批判』

    イマヌエル・カントの『判断力批判』から、哲学とアートのつながりを考えています。

  • PhilosophiArt+

    哲学とアートのつながりを、アートの視点から探しています。

  • ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』

    ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』から、哲学とアートのつながりを考えてみます。

  • 「ローカル×ローカル」インターン

    南伊豆にあるゲストハウス「ローカル×ローカル」で学生インターンとして過ごした日々をまとめました。ここから「職業:自分」に向けた、僕の自分探しが始まりました。

最近の記事

鴨と葱に誘われて。

ゴールデンウィークに、ベッドでゴロゴロしながらインスタグラムを見ていると、京都に小さな書店ができたという投稿を目にした。 名前は鴨葱書店。鴨と葱。なんだかメルヘンで可愛らしいと思ったのは私だけだろうか。 少し前から、5月の終わりごろに京都へ能を観に行くと決めていた。 せっかくの機会だと思い、能を観る前後で寄り道しようと決めた。 その数日後、詩集が紹介されていた。 めったに詩集なんて読まないけれど、この時はなぜか惹かれてしまった。 偶然SNSで見つけた書店が、普段は読ま

    • 世阿弥の「花」は、カントの美学を超えている?【PhilosophiArt】

      こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、室町時代の天才能楽師、世阿弥(1363?-1433?)が書き残した奥義書から、能の美学ともいえる「花」という概念を見ていきます。 つい先日まで読んでいたイマヌエル・カントの『判断力批判』の内容とも比較していこうと思います。 『判断力批判』についての記事は下のマガジンからお読みいただけます。 「能楽」と「観阿弥・世阿弥父子」もともと能は、猿楽という舞台芸能が元になっています。 世阿弥の父である観阿弥は、猿楽座(猿楽役者の集団)のトップ

      • カントやウィトゲンシュタイン…哲学者たちに「先生」はつけるべきか?

        こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、哲学者への敬称について考えてみました。 大作曲家の「バッハ“先生”」「ブラームス“先生”」先日、広上淳一氏(東京音楽大学 指揮科教授)のお話が聞ける機会がありました。広上氏は、1月から3月に放送していたTBS系ドラマ『さよならマエストロ』の音楽監修をしています。 ドラマの中で指揮者の夏目俊平(西島秀俊)は、作曲家に「先生」と付けていたのが印象的でしたが、実は広上氏のアイデアだと今回の話で知りました。 お話の中で、「音楽は大作曲家の下

        • 『判断力批判』を読んだら、日本の美を考えたくなった大学生の話。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 最終回となる第12回は『判断力批判』と、それに対する僕の考えをまとめていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 カントが考え

        鴨と葱に誘われて。

        マガジン

        • カント『判断力批判』
          12本
        • PhilosophiArt+
          5本
        • ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
          8本
        • 「ローカル×ローカル」インターン
          4本

        記事

          芸術と哲学の共通点を、趣味判断の矛盾から考える。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第11回の今回は「趣味判断の矛盾」について考えていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 趣味判断は、実は二律背反?ここまで

          芸術と哲学の共通点を、趣味判断の矛盾から考える。【PhilosophiArt】

          「自分」が崩れる音を聴いたとき

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 1月から毎週投稿している「PhilosophiArt」の投稿が、3月に入ってから遅れてしまい、すみません。 実は2月末から、少し体調を崩していました。 これが、3月の更新頻度が少なくなった理由です。 今後の投稿についても書いていますので、最後まで読んでもらえたら嬉しいです。 「PhilosophiArt」とはこの記事で初めて僕の記事を読んでくださった方に、「PhilosophiArt」とは何かを少し説明しておきます。 僕は今年の1月から

          「自分」が崩れる音を聴いたとき

          『判断力批判』から見えてきた”美しさ”【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第10回の今回は、前回に引き続きカントの「芸術論」を見ていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 『判断力批判』は、美しさを

          『判断力批判』から見えてきた”美しさ”【PhilosophiArt】

          カント曰く、“芸術”は天才の成せる技、らしい。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第9回の今回は「カントの芸術論」について見ていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 カントが考える「芸術」は「美しい“技術

          カント曰く、“芸術”は天才の成せる技、らしい。【PhilosophiArt】

          自然は芸術よりも美しい。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第8回の今回は「美しいものへの関心」について考えていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 これまで『判断力批判』の中には、

          自然は芸術よりも美しい。【PhilosophiArt】

          「作品を鑑賞する」とは何なのか、ロラン・バルト『作者の死』から考える。【PhilosophiArt+】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回はロラン・バルト『物語の構造分析』(花輪 光 訳、みすず書房、1979年)から「作者の死」を読んでいきます。 noteを書くのは「学びを自分の武器にするため」内容に入る前に、少し自分のことについて書かせてください。 僕は大学で哲学を学んでいます。 哲学についての授業を受けながら、学芸員資格(博物館の専門的職員になるための国家資格)を取るための授業もとっています。 哲学のことと、博物館について(ここでは主にアートの知識とします)の両方を学ん

          「作品を鑑賞する」とは何なのか、ロラン・バルト『作者の死』から考える。【PhilosophiArt+】

          『判断力批判』で言われる「趣味判断」をおさらい。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第7回の今回は「趣味判断の可能性」について考えていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 今回読んだ第30節〜第40節では、

          『判断力批判』で言われる「趣味判断」をおさらい。【PhilosophiArt】

          崇高なものは、人間の心から生まれる。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第6回の今回は「美的判断における崇高なもの」について考えていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 前回までのまとめこれまで

          崇高なものは、人間の心から生まれる。【PhilosophiArt】

          美しさは、「共通した感情」で判断している。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第5回の今回は「趣味判断(美的判断のこと)の様相」という言葉について考えていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 前回(第

          美しさは、「共通した感情」で判断している。【PhilosophiArt】

          カントの『判断力批判』には、矛盾していそうな言葉がたくさん出てくる。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいきます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第4回の今回は「趣味判断(美的判断のこと)の合目的性」という言葉について考えていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 前回

          カントの『判断力批判』には、矛盾していそうな言葉がたくさん出てくる。【PhilosophiArt】

          『着想の技術』を知れば、僕は「職業:自分」として生まれ変われるのだろうか。【PhilosophiArt+】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は筒井 康隆『着想の技術』(新潮文庫、2014年)を読んでいきます。 僕が筒井康隆を知ったきっかけ僕が筒井康隆を知ったきっかけは、2つあります。 それは、Franz K Endo と、平沢進です。 わかる人には、「おぉ~」となる理由ではないでしょうか。笑 ひとつずつ説明していきます。 1. Franz K Endo Franz K Endo はYouTubeに動画投稿をしたり、音楽を作ったりしています。 YouTuberとか、ミュージシ

          『着想の技術』を知れば、僕は「職業:自分」として生まれ変われるのだろうか。【PhilosophiArt+】

          カントの『判断力批判』には、美的判断の根拠が見つからない。【PhilosophiArt】

          こんにちは。成瀬 凌圓です。 今回は、18世紀の哲学者、イマヌエル・カントが書いた『判断力批判』を読みながら、哲学とアートのつながりを探していきます。 この本を深く理解するために、全12回に分けて読んでいます。 1冊を12本の記事に分けて読むため、読み終わるまでが長いですが、みなさんと学びを共有できればいいなと思います。 第3回となる今回はカントが考える「美的判断の普遍性」について書いていきます。 これまでの記事は下のマガジンからお読みいただけます。 前回の記事で「趣味

          カントの『判断力批判』には、美的判断の根拠が見つからない。【PhilosophiArt】