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アラートを出すことの難しさ

注意、警戒、警報などの意味がある「アラート」。世の中には様々なアラート、警報、注意報があります。

大雨にかかわる気象関係だけでも「特別警報」「警報」「土砂災害警戒情報」「記録的短時間大雨情報」「氾濫危険情報」「氾濫警戒情報」などさまざまなアラートがあります。

私たちに危険が迫っていることを知らせてくれるアラートですが、受け手がその意味を正しく理解していないとかえって受け手が危険に遭遇してしまう場面もあります。

例えばアラートが出ていないからと言って全くその危険がないと安心してしまい、無警戒に行動を起こし、被害にあうことも。

アラートを出すためには危険を予測するための技術研究・開発や、危険の捕捉率向上など様々な努力を重ねてシステムを構築していくはずです。そして、開発者や運用する人は、そのアラートシステムのもつ、技術的な限界や、理論、捕捉率(アラートを出したときにどのぐらいの割合で予想があたるか、はずれるか等) をある程度把握しているはずです。

どの段階でどのようにアラートをだすか。事象の頻度や被害の大きさなどによっても、アラートの出し方は変わってくるはずですし、その点を読み間違えるとアラートの価値が発揮できなくなる恐れもあります。

大きな被害を起こす可能性があるからと恐れるあまり、めったに起こらない事象についてアラートを出し続けていれば、アラートを出していない時にその事象が起こることはなくなるかもしれませんが、受け手はそのアラートをきいても危機感を持たなくなってしまうでしょう。

反対に本当に危険が迫っている時だけアラートを出すように、アラートの条件を厳しくしすぎると、アラートが事象を捕捉しきれなかったり、間に合わなかったりするかもしれません。

受け手の心理も重要です。

受け手もアラートの意味をできるだけ理解して日々の生活に生かすことが大切だとは思いますが、アラートを発令するほうも、ただ技術的な問題としてではなく、受け手の行動パターンや意識を考える必要があります。

最近そのようなことを検討する機会があり、その難しさを実感しています。

ちょっと古い記事ですが、防災情報の伝え方に関する検討会の記事がNHKのページに掲載されていました。

[NHK NEWS WEB 2021.06.04]

予報・予測技術の進歩を住民の安全につなげるためには、技術だけではない伝え方の工夫や、受け手側の意識の向上を図るなど、多面的な取り組みが必要だということがよくわかります。


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