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労働者の生活を守るために力を発揮するのは団結・協力のはずなのに

労働組合は、一人一人は力の弱い労働者の力を結集して、労働条件・職場環境の改善だけにとどまらず、労働者の権利や生活や安全を守るために、広く労働法制、社会保障制度、経済政策、さらには国内・国際政治を含めた社会的問題の解決に向けて、働きかけていく重要な役割を担っています。

私は現在労働組合の組合員ではありませんが、一労働者としてずっと働いてきましたので、労働者個人の力で自分たちの権利や生活や安全を守っていくことの難しさも実感してきました。

また、私たちの生活や安全を守るためには、官公庁で働く人たちはもちろん、会社に属さずに働く自営の方々、さらには中小企業の経営者などとも協力して取り組むべき課題が多く、ひろく力を合わせていくことが重要だと考えています。

円安、物価高、災害、人権、安全保障、税金、子育て、学費、少子化等々。私たちを取り巻く様々な課題は、一刻も早く手を打たないとたちまち生活が立ち行かなくなったり、どんどん状況が悪化していくような喫緊の問題も多く含んでいます。

本来は政治が解決していかなければいけないはずなのに、政権与党自体が派閥や裏金問題や旧統一教会との関係などにうつつをぬかし、私たちの生活とはかけ離れたところに目を向けていることが明らかになってきています。

そんな中で、日本労働組合総連合「連合」が中央執行委員会を開き、次期衆院選で「与党を過半数割れに追い込み、今の政治をリセットする」との基本方針を決めたとのニュースがありました。

[時事ドットコムニュース 2024年05月16日19時57分配信]

日本労働組合総連合「連合」は日本の労働組合におけるナショナルセンター (全国中央組織) の一つで、連合のホームページによると、加盟組合員は約700万人だそうです。

「今の政治をリセットする」決意には間違いなく賛成ですが、驚くべきことに、連合会長である芳野友子氏は、立憲民主党と共産党の連携を念頭に「究極的に目指す社会が異なる政党等からの支援は組合員に疑念を抱かせ、到底看過できない」と発言したとのことです。

連合の芳野会長はこれまでも一貫して、連合が連携している立憲民主党の候補者が共産党からの支援を受けることに反対の立場を表明してきています。今回は政党間の連携の取り組み自体に関する発言で、今まで以上にひろく選挙に影響する発言だと思います。

これが連合傘下の組合員の総意なのかはわかりませんが、労働者の置かれた現状を考えると、これが今とるべき優先事項なのか連合傘下の組合員労働者は真剣に考える必要があると思います。

私は、労働者の生活を守るために「政治を変える最大のチャンスだ」と述べながら、そのチャンスを真剣に生かそうとせず、喫緊の課題で共闘する条件があり政治を変えるチャンスがあるのに、それをはなから否定するようなこの発言に、労働者のことを真剣に考えていないし、労働者を信頼できていないのだなと感じてしまいます。

「究極的に目指す社会」は、労働者を含めた有権者が自分たちの考えで将来あらためて選択することができるはずです。労働者には自ら選べる潜在的な力もあるはずですし、その潜在的能力を信頼して、労働組合は、労働者がこれからも社会の仕組みを知り「究極的に目指す社会」の方向性を考えるために必要な情報や勉強の機会を提供できるはずです。

それにも関わらず、労働者が直面している緊急の課題を解決していくチャンスに水を差すようなこの発言に驚くとともに、政治を変えるうえで「最大の障害は身近なところにある」という言葉が頭に浮かびます。ずいぶん与党はこの連合トップの発言に喜び、助けられていることでしょう。


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