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「未婚のシングルマザー」の歩み

「未婚のシングルマザー」
私はその響きにかっこよさを感じている。
未婚、とつくだけで、一気に希少性が上がる気がするからだ。
レアな逸材。
才能もないのに希少だというだけでとびきり素材だと思い込む。

「シングルマザー大変ですね」
そのような声掛けをされるが、正直そんなに大変ではない(私の場合は)。
自分が熱を出して寝込んだときに子供の面倒が見れず辛いが、たぶんそれは体の辛さがMAXなだけだ。
それ以外そんなに不満や不便を感じたことはない。

むしろ、だ。
育児を自分がやりたいように自分のペースでやれてて、とてもいい。
これがもし「夫」と言われるあのクソ野郎がいたかもしれないことを想像すると、本当に一人でよかったと心の底から思う。
「おれ、おむつとか替えるの、マジ無理だから。そこんとこよろしくね」
なにがよろしくだ。
寝言いってんじゃないよ。

おなかの大きな状態で結婚しないことを決め、クソ野郎に別れを切り出し家を出て行った自分を心底褒めてあげたい。
エライ。偉すぎる。正しい選択だ。よくやった!

もうすぐ息子が4歳になるが、4年の間に私は母になり、40歳になり、少し大人になった。
自分をだいぶ客観視できるようになり、ここ5年のことをまとめてみることにした。


彼は会社の同僚だった。
その当時上司からパワハラを受けていた私は、彼に相談し励ましてもらっていた。
少し前に別れた8年ほど付き合った元彼が暗い性格であったため、その同僚の彼の少しばかっぽい明るさに惹かれていた。

当時35歳、婚活中。血眼になって結婚相手を探していた。
アプリで婚活もしたが、なんだか必死にやりすぎて、疲れていた。
婚活当時の様子がちらりと垣間見れるのはこちら。

結婚するならちょっとバカだけど(!)明るくて元気な人ならいいかもしれない。
私は同僚の彼に猛アタックした。
なかなかOKしてもらえず渋っていた彼を何とか口説き落とし、結婚を前提に付き合うことになった。
それも付き合っている彼女と別れさせ、その彼女の家に住んでた彼が私の家に転がり込んできた形だ。
彼が自分で「ヤドカリみたいでダメな男だね」と言っていた。
もうその時点で私も彼もダメダメな感じがぷんぷん匂ってくるが、その当時の私は結婚するぞと鼻息荒くどんどん事を進めることに必死だった。

私の家にて同棲開始し、年末には私の実家に挨拶に行こうと約束をしていた矢先、12月の中旬に妊娠が発覚。
結婚を前提だったので、もちろん子供ができてもいいと思っていた。
そう、酔っ払って帰ってきた彼に馬乗りしてしまったあの時だ・・・。
というかその時しかない!やっちまった!

妊娠が発覚して「順番は逆になったけど良かったと思う」、そう彼は言ってくれて、数日後に私に鍋を作ってくれた。
彼が私に作ってくれた、最初で最後の料理である。苦笑

年末年始、実家に帰り私の両親に会って報告。
2月頭に彼の親兄弟に会って報告。
2月上旬には二人で暮らす新居に引っ越しした。

今思えば彼の愛情は妊娠発覚からずっと右肩下がりだったと思う。
新居探しの不動産屋も私が一人で何度も足を運び内見した。
契約も私が行った。
彼は金額が気に入らないとケンカになったが自分で探そうとはしなかった。
ほったらかしの借金があることも発覚した。
それもちゃんと片づけたかどうかこちらが聞かないと説明がない。
コロナが流行り始めたころで、みんなが自粛ムードになっても週3で飲みに行く。
顔を合わせれば喧嘩し、結婚は我慢が大事だよなと愚痴をこぼす。

価値観のずれが露呈しつつ、お互い結婚して子供が生まれたら変わるに違いないときっと自分を納得させるように、時が過ぎるのを待った。

がしかしだ。
3月になっても結婚届がなかなか出せないのだ。
まず、こちら側のサインをしたものを彼に渡した。
彼は「今はお母さんに(証人の欄のサインのため)送っててなかなか戻ってこないんだー待っててね、てへぺろ」と笑いながら話す。
そして、2週間後にまた聞くと「お米と一緒に送るって言ってるからもう少し待っててよー、てへぺろり」と話す。
しっかりしろよお前もお母さんも。

実家に送る際に使ってと渡した封筒を何かの用事で使いたかったので戻してもらおうと彼のカバンを開けた。
すると、封筒の横に、彼の欄が未記入の結婚届が、あーるではあーりませんかー!!!

心臓がバクバクして、親友にLINEして、ちゃんと話してみるように諭され、その夜、彼に聞いた。
「カバンの中に、入ってたんだけど」
彼は、顔が固まったあと、開口一番、
「俺たちあわないと思うんだ」
と言い出した。
結局なぜ結婚届を出さなかったのか理由は「なんとなく」しか聞けず、ごめんなさいの言葉もなく、逆切れされてその日は終わってしまった。
その後約1か月間話し合いを試みたものの、話すことはないと拒否され、ほぼ会話がない状態に。

私はこれはもうダメだろうと、Amazonでシングルマザーに関する本をポチポチして読みまくり腹をくくり、知り合いづてに紹介してもらった弁護士に婚約破棄による慰謝料請求される可能性が私にあるかを相談し(私の場合はないとのこと)、私の両親にもこんな状態だから結婚しないと宣言し(親も賛成)、彼にもう結婚せずに別れると告げた。

彼「君がそう決めたんだったら君の意見を尊重するよ。」
私「あなたの意見はどうなの?」
彼「俺の意見を言ったところで、君の気持ちは変わらないんだろう?君が決めてしまったらしょうがないさ」
そうのらりくらりかわされ
「君が決めたから結婚しないという選択をせざるを得ない、俺は好きだったのに」という形で別れることに。
なんていう卑怯な奴よ。

そして「君は妊娠して大変だろうから、俺が出ていくよ」と言いながら2週間たっても動かないので、私が一人大きくなる腹を抱え不動産屋に通い、新たな一人暮らしの新居を見つけ、1か月後には引っ越ししたのだった。
そして、引っ越しして1週間後には切迫早産で入院することになってしまう。
絶対ストレスのせいだ(あと引っ越しでの荷物運び・・・)。

彼には実家の九州に帰っていると告げていたため、一人東京で1か月入院し、その後退院した数週間後に一人出産、ということを知らない。
彼は私名義で借りていたマンションを名義変更が無事終わったタイミングでLINEブロックして連絡を絶った。
名義変更する際にも、彼は家賃保証の会社に審査落ちするという何とも情けない感じで、別の審査会社への契約書類を一向に出さず、病院の待合室から何度も私が電話をする羽目になった。
私の両親からは未練があるのか、いつになったらきちんと縁を切るのかとヒステリーな声で電話口でどなられ、そのころの私は本当に精神的につらかった。

出産後、特に母子ともに健康で、私の体もぴんぴんしており、幸せな育児ライフとなった。
おむつを替えるたびに、クソ野郎がいなくて本当に良かったと思う。
子供はかわいい。排泄物さえ愛おしく感じる。

産後クライシスという言葉を後から知ったが、もし結婚していたかと思うと絶対にヒステリーを起こして家を飛び出していたに違いないと思う。
心底クソ野郎がいなくて良かった。
シングルマザーになったことを後悔したことはない。
なぜならこんなかわいい息子を一人占めできて幸せいっぱいだからだ。


さて。
そんなだ、そんなクソ野郎とこの前の3月に(4年弱ぶりに)会ってみた。
※なぜそんな流れになったのか。そのあたりの心の変化は別でまとめることにさせてほしい。

しかし、相変わらず、得体のしれないやつだった。
出会って30分ほどべらべらべらべらと、同じ会社だったころの同僚の話をする。
あの人は辞めただの、あの人はこの前まで病気で休んでいた・転職しただの、コロナでリモートだの、太っただの、歯が痛いだの、私にはどうでもいいことをずーっとしゃべり続けた。

このままでは時間が前職の同僚の話で終わってしまう。
ちょっと話があるの、と切り出す。

「時間を作って会ってくれてありがとう。
あれからだいぶ時間がたって、私も気持ちが落ち着いてきて、あの頃のことを冷静に振り返れるようになったから話そうと思って。
まず、私の方からブロックして連絡途絶えさせてしまってゴメン。
あの時私は切迫早産になって入院することになって、親からはいつ別れるんだって怒られ続けて、精神的にいっぱいいっぱいであなたのことも大嫌いだったし、もう連絡したくなくて、ブロックしたんだ。

それから、今振り返ってみると、あなたは私のこと本当に好きじゃなかったんだろうなって思っている。私も年齢的に結婚を急いでいたし、正直あなたのことを本当に好きだったかというとそうじゃないかもしれない。私が焦ったばかりに巻き込み事故みたいにさせたな、って思っている。改めて、連絡途絶えさせて、巻き込んで、ごめんなさい。

あと、伝えてなかったけど、息子が生まれて、今元気に育って3歳になるよ。
そういうことをちゃんと伝えてなかったから、会って話したかったんだ。」

彼「あの当時のことは覚えてないんだ」
(・・・?!)
彼「ひたすら川沿いを走っていたことしか覚えてない。」
「そうなんだ・・・」
相変わらずなのらりくらりだ。
「息子には会ってみたいとか、ある?」
彼「今日は聞いたばっかりでよくわからない」
相変わらずなのらりくらりだ。(再)
「じゃぁ気持ちがわかったら教えてね」

そんな感じで私の言いたかったことは伝え、息子の写真も見せ、保育園の話などをした。
全部で1時間ちょっと話して別れる。

結局なぜ当時結婚届を出さなかったのかの理由は謎であり、彼からの「ごめんなさい」という言葉はなかった。

きっと私のことが好きじゃなかったのだろう。
彼は悪くないと思っているのだろう。
謝ったら負けだと思っているのだろう。

それらは私の「想像」に過ぎない。
そう、彼の本心を聞くべく、5月に再度会う。
※またしても突然の流れではないか。そのあたりの心の変化は別でまとめることにさせてほしい。(再)

LINE「この前は時間を作ってくれて、ありがとう。
この前は私の話したいことだけ一方的に話して自分だけスッキリしてしまった気がする。あなたの話をきちんと聞けてなかったんじゃないかな。ごめんなさい。
過去にどう思っていたのか、今度はあなたの考えを聞きたいなと思っています。
5月に会えませんか?」

則レスでOKが来た。
きっと向こうも少なくともまた会いたいと思っているのだ。

勇気をもって向き合おう。
私の想像で終わらせず、得体のしれない男を得体の知れた男にするために。
受け止めて見せよう、あなたの本心。
私はこの5年で変わったのだ。
過去はクソ野郎のあなたに見合った女だったが、今は少しあなたより大人になり、過去のあなたをも受け止める心を持っている。
5月末の私に、乞うご期待。

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