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国際結婚は大変か?

夫が外国人だというと「国際結婚って大変でしょう?私には無理だな~」なんて言われることがあります。

そういう言い方って失礼じゃない?という疑問はひとまず置いておいて、世の中には「国際結婚は大変」というイメージがあるのだなあと興味深く思います。
果たして”国際結婚は大変”というとき、世の中の人たちは一体どんな大変さを想像しているのでしょう。

外国語で話すのが大変?
でも日本語で話しているのに言葉の通じない人は山ほどいます。大事なのは何語で話すかよりも何を話すか。議論をする中身のない人が相手では、日本人同士であっても会話は成り立ちません。

もともとフランスに一生住むぞ!と思って引越ししたので、フランス語を話せることはパートナーと一緒にいるためではなく、自分が生きていくために必要なことでした。

「あ~旦那さんがフランス人だからフランス語ペラペラなんだね!」と言われると「夫と出会う前からフランス語は話せていました。フランス語が上達したのは結婚したからではなく、私の努力の賜物です!」と反発したくなりますが、パートナーと喧嘩をしてきたお陰で、向上したフランス語力があることは確かです。

喧嘩では負けたくありません。それに口喧嘩では暴言や大きな声で相手を威圧するよりも、ロジックを組み立てて相手の矛盾を突きたいタイプ。
意地を賭けたパートナーとの言葉の応酬は、フランス語で思考して素早く言い返す訓練になりました。フランス人をパートナーに持ったことで、仕事や友人関係で伸びるのとはまた異なるフランス語力が向上したと言えそうです。

日本に帰ってきてからは、まだ日本語のできないパートナーに同行して、通訳したり行政手続きを手伝わなければならない大変さがあります。これへ確かに大変です。まさに国際結婚ならでは。日本人と結婚すれば味わわずに済む大変さでしょう。

でもおかげで外国人の目を通して日本を見つめ直すことができるという面白さもあります。フランス人の夫と一緒だとEU圏内ならビザが取りやすいかなあと、将来どこに住もうか夢が広がるという利点もあります。メリットとデメリットは表裏一体で、一概に国際結婚だから大変だとは言い切れません。


外国人と暮らすと文化の違いが大変でしょう?と言われることもあります。

文化ってなんでしょう。
たとえば宗教。私たちはお互いとくに信仰を持っていないのでこの点は楽でした。


生活に密着しているものでパッと思いつくものといえば食でしょうか。食はとても大切なファクターです。しかし日本人が相手だから合うとは限りません。

私の母は食品添加物の入っているものを一切買わない人だったので、私もそのように育ちました。
食品添加物をなるべく摂取したくないので、醤油や味噌など調味料を選ぶのにもいちいちラベルをチェックして何が入っているか確認してから購入します。買い物に時間がかかる上に、化学調味料を使用しているものよりもお高くなってしまうこともしばしば。

コンビニのお弁当もおにぎりも好きではなく、チェーンの飲食店にも行きません。電子レンジも好きではないので持っていません。冷凍食品は食べません。

「え、すき家行ったことないの?」と驚かれたり、友達と遊んだ時にみんなで出前を取っても私だけ食べなくて顰蹙を買ったり。こうなると日本人でも食が合う人ってなかなかいないものです。

その点、うちのパートナーも外食して化学調味料がふんだんに使われているものを食べると後からお腹が痛くなるところが私と似ています。彼も食にこだわりがあるタイプなので、どちらかが無理に相手に合わせることもなく、自然と一緒に食事を楽しむことができています。
食に合わない部分があると、国籍問わず一緒に生活することはできなかったと思います。


常識の違いという点で比べると、日本的な常識を押し付けてこないところが外国人パートナーの良い点です。
結婚式のために髪を伸ばすとか
女性が料理するものだとか
男を立てるとか
そういう苦手な常識に惑わされずに済むところが大変ありがたいです。でもこれはフランス人だからとか、国際結婚だからではなく、パートナーがそういう人だったのでしょう。


大変といえば、外国人と一緒に生活するためには滞在許可証を申請しなければいけません。これは大変です。結婚すれば自動的に永住権や国籍を取得できると思っている方もいらっしゃいますが、そうは問屋が卸さないのです。


初めのうちは毎年、滞在許可証の更新が必要です。更新の度に書類を用意しなくてはならないのは面倒です。収入の証明なども必要になるので、結婚さえすれば、いつでも・どこでも、もれなく一緒に住める、という訳ではありません。

この辺りは国際結婚ならではの大変さ。
でも海外に住んでみたい人にとっては「書類を申請しなくては一緒にいられない」というのは「書類を申請すれば一緒に住める国の選択肢が増える」というメリットでもあります。

書類仕事でいえば、国際結婚ならではの特典も。
それが夫婦別姓です。
結婚するまで知らなかったのですが、日本では国際結婚の場合、夫婦別姓を選ぶことができるのです。私たちはどちらも名前を変えなかったので、お陰で銀行や保険や滞在許可証やパスポートなどなど、諸々の書類の名義変更手続きをせずに済みました。

日本で結婚した友だちに、名義変更、大変だったんじゃない?と聞くと「大変だったよ~!でも、まあ、みんなやってることだから」と言っていました。

多分、”国際結婚の大変さ”の正体はこれなのだと思います。

大変なことでも”みんながやっていること”と思えれば、それなりにこなす事ができてしまいます。日本人と結婚しても大変なことはたくさんあるはずです。でも、みんなが通る道なのだ、と思えれば、苦労は半減されます。

しかし国際結婚で大変なことがあると、その大変さは少数派。だからこそ大変さが深まることがあるのでしょう。側から見れば、わざわざ少数派になるなんて大変なことに見えるものです。

国際結婚だと家族から反対されることもあると聞きます。これは本当に辛いことだと思います。パートナーも私も、両親が大賛成してくれて結婚できたことは幸せなことでした。

逆に、国際結婚と比較した際の日本人と結婚するメリットはなんなのでしょうか。気になります。

日本人と結婚するのは大変ではないですか?
私はフランス人としか結婚したことしかありませんが、人と一緒に暮らし生活することは、相手がどこの国の人であっても、それなりの大変さがあることだと思います。

当たり前のことになってしまいますが、重要なのは相手の国籍ではなくて、その人個人との個人的な相性。気の合う人となら、一緒にいる大変さも面白みに変わります。外国人か日本人かってあんまり関係ないんじゃないかと思います。


日本人と結婚したことがないので、日本人と結婚するか国際結婚か、どちらが大変か自分の経験をもとに比較することはできません。が、外国人と結婚して「やっぱり日本人と結婚しておけばよかったな」と感じたことは、まだ一度もありません。




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