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物語が終わる、終わらない物語

進撃の巨人が終わった。PLUTOも見終わった。
アニメでもドラマでも、シリーズものを、特に長く続いたシリーズものを終わらせるのは難しいことだと思う。

2,3時間で終わってしまう映画と違って、シリーズものは長い時間をかけて並走する。時間を共にしているうちに、物語に対しても登場人物に対しても並々ならない情が湧いてくる。

シリーズものは長い時間をかけられる分、伏線や謎もふんだんに盛り込んであるから贅沢だ。話が展開するごとに次が気になって、止まらなくなる。面白さ曲線が時間と共に倍増・倍増、上昇していく。

いつの間にか、もう僅か話数を残すだけ。こうなると、ほとんど祈るような気持ち。途中で見るのを挫折してしまう作品も多い中、この作品には長い時間を費やしてきたのだ。どうぞ素敵なフィナーレにしてください。この作品を見たことを失敗にさせないでくださいと願う。最終話が近づき、期待値はさらに上昇する。

そしてやってきた最終話。
案外、物語はすっと終わってしまう。

あれ?なんでこの登場人物は最後心変わりしたんだ?あれ?あの謎の答えはこれだったの?大したことないんじゃない?これまでの努力ってこれだけのためだったの?
もっとびっくりするような大団円を待っていたのに。

一瞬、肩透かしだったと頭に浮かぶが、同時に認めたくないと反発する気持ちが起こる。せっかくこれだけ時間をかけて鑑賞してきたんだもん、観てよかったと気持ちよく言いたいのだ。作品を擁護したくなって、序盤や中盤を振り返り面白かった場面を思い出してみる。


映画なら、多少あっさりとしたエンディングでも、オープニングがかっこよかったとか、絵がキレイだったとか、音楽がよかったとか、物語のエンディング以外の要素が同等に大切になるのに、長いシリーズだとどうしても最終話の盛り上がりで作品の積み上げてきた世界全てを評価しがちになってしまう。
長い時間をかけて観てきたから、そうなるのだろうか。
映画ならエンディングに至っても2時間前の物語の始まりの記憶が残っているのだけど、シリーズものだと最初の方の興奮は忘れてしまっているから、どうしてもエンディングに全てを賭けたくなってしまう。


終わらなかった物語にも忘れられない物語があるものだ。

好きなドラマは何かと聞かれたら、真っ先に思い浮かぶのが、UTOPIAとダークジェントリー。どちらも途中で打ち切りになってしまったドラマシリーズだ。
謎が謎を呼ぶ展開、超・ハイスピードな疾走感、作品を観た後は夢の中まで彩度の高い色に塗り込められてしまうような映像美が印象的で、寝る間を惜しんでハマった時間が懐かしい。
それなのに、最終話は宙ぶらりんで終わってしまった。解かれなかった謎は数え切れず、登場人物たちはどこへ行ってしまったのか、行方も分からない。

でも打ち切りになってしまったからこそ、余計に頭に残っているとも言えそうだ。
最終話で肩透かしを食らったり、謎があっさり解決されてしまったり、物語を終わらせるために登場人物たちが無理矢理動かされるということがなかったのは、幸いだった。面白さ曲線が上昇している途中で、今でもプツリと切れたままになっている。

終わらないという終わり方も面白いものだ。

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