見出し画像

ECサイトリニューアル|手順や費用感、失敗を防ぐポイント10選について紹介

ECサイトを数年運営していると、リニューアルの必要性を感じることがあります。しかし、ECサイトのリニューアルには時間とお金がかかります。

リニューアルを成功に導くには、事前に全体のロードマップを敷き、プロジェクトチームを組んで進めていく必要があります。

具体的にはどんなに進めていけば良いのかや、どのようなことに注意すればいいのかなどについて、紹介できればと思います。

これからECサイトリニューアルを検討する方のために、手順や注意点について紹介するので参考にしていただければと思います。

ECサイトリニューアルを検討するタイミング

ECサイトのリニューアルを検討するおすすめのタイミングは、売上拡大・業務効率化を図るうえで何らかの課題や支障が生じたときです。

例えば、以下のような課題を抱えているときは検討のタイミングといえます。

システム老朽化

PCやスマートフォンのOSやアプリケーション同様、ECカートのシステムにもバージョンが存在します。システムの老朽化が進むと、サイト更新をしにくくなるだけではなく、セキュリティにも大きな影響を及ぼします。

機能の不足

ECサイトの事業を拡大していく中で新たにやっていきたいことが増えたものの、カートシステムの機能が不足して限界に直面することがあります。
例えば、「定期購入サービスを展開したい」「今までできなかったマーケティング施策を打ちたい」など、自社ECサイトで希望する事業を展開できるようにリニューアルを行いましょう。

パフォーマンスの低下

タイムセールなどのキャンペーンを行った際、サイトへのアクセス数が増加します。アクセス集中により負荷がかかれば、サイトの動きが重くなることや、サーバーダウンの原因にもなります。
このようなパフォーマンスの低下が見られた場合、ユーザーの購買機会を逃さないためにも、想定されるアクセス負荷に耐えられるシステムへの切り替えを検討のタイミングです。

時代に即した対応の不足

スマートフォンの普及によりモバイル端末からのECサイトへのアクセスが多くなっていることに加え、Googleの検索アルゴリズムでもモバイル対応が重要視されているように、モバイル対応が求められています。

また、ECで注文した商品を実店舗で受け取る店舗受取サービスや、ECサイト上で店舗の在庫を確認できるような在庫連携といった、ECと店舗を連携させるオムニチャネル施策を導入する企業も増えています。
更なる顧客獲得や売上アップを実現したい場合は、時代にマッチした対応ができるシステムを探してみましょう。

このような課題を放置してしまうと、「日々の業務に余計な人的コストがかかること」や、「売上の損失」などのトラブルにもつながります。

トラブルが起こる前に、ECサイトのリニューアルについて検討することをおすすめします。

ECサイトリニューアル失敗を防ぐポイント10選

1.ECサイトをリニューアルする目的を明確化

リニューアルによってどのような課題を解決し、またそれに伴ってどのような成果を得たいのか、目的を明確にしておきましょう。リニューアルの際になにを優先すべきかがはっきりします。

このとき、目標は具体的に設定するのがよいです。たとえば、「WEB接客システムを導入し、CVRを2ポイント改善する」「メールマガジンを刷新して、リピート購入率を15%アップさせる」など数字を伴うKPIを設定します。

2.ECサイトの現状課題を洗い出す

現状のECサイトにはなにが足りず、なにが売上アップの妨げになっているでしょうか?現状を分析して、一度課題点をすべてリストアップしてみましょう。

ECサイトの売上の基本方程式は、集客×客単価×CVRです。単に「売上が伸びない」という悩みでも、各数字を因数分解することによってとくになにが問題であるのかが見えてきます。サイト自体のセッション数は増加しているのにコンバージョンが悪いのであれば、購入までの導線に難点があるのかもしれません。

逆に、客単価やCVRは一定数を保っているのに売上が思うように伸びないのであれば、集客のためのプロモーションがうまくいっていないことが考えられます。

もちろん、運用面でも課題があるでしょう。管理画面が使いにくいことにより、ミスが発生するなど業務効率を下げる要因があると思います。

ひとつめにあげた明確な目標設定の、さらに深堀となる作業です。方向性を統一し、効率的なリニューアルをおこなうため、現状と理想のギャップを具体的に把握しましょう。

3.失敗例を参考にリスクがあることを想定

ECサイトのリニューアルは、成功事例だけでなく失敗事例も調べておきましょう。失敗には必ずその要因が存在します。それを知ることで、ECサイトのリニューアルを進めていく際に、気をつけておくべきポイントも見える化することができます。

4.経営層だけではなく現場の意見も取り入れて企画設計

企画設計をおこなう際は、経営層や予算設計に関わる管理職だけでなく、必ず現場スタッフにも参画させるようにしてください。これは規模の大きな事業者ほど注意をしたい点です。

実際に手を動かしてECサイトを運営し、日々数字を分析している現場担当者です。その意見はきちんと取り入れられるべきでしょう。

また、もし顧客対応の部署が独立している場合は、そちらへもぜひヒアリングをおこなってください。なぜなら、問い合わせ窓口にこそユーザーの生の声が集まるためです。ユーザー視点からのサイトの課題点が見つかるはずです。

5.事業規模が大きくなる前に内製化を進める

ECサイトの業務は、事業規模が大きいほど自社で内製化できたほうがよいです。社内で人材が育っていない場合、幾つかの業務を外部へ委託したほうが効率的に感じるかもしれません。サイトが小規模であれば、費用もそこまでかさまないでしょう。

しかし、サイト規模が大きければ大きいほど、目指す売上金額も大きくなってくると思います。目標を達成するためには、効率よくPDCAを回して行かなければなりません。途中業務が外部委託していると、うまくサイクルが回っていかないこともあります。

事業の発展に伴いサイトのリニューアルを検討する際は、それに伴って人材の確保もしていくのがおすすめです。

6.システム連携先との状況を確認

現状、外部の基幹システムなどとサイトをデータ連携している場合、リニューアル後もそれをスムーズに引き継げるかどうかを確認しておきましょう。

7.スケジュールを徹底管理

サイトのリニューアルオープン日をまず定め、そこから逆算してスケジュールを設計します。オープン前のテストやトレーニングの期間はどれくらい確保したいのかなどから、要件定義にかけられる時間、開発会社の選定の締め切り日などを設定できます。

前項であげたシステム連携など、他部署や外部を巻き込んだ大がかりなリニューアルとなる場合、ひとつの予定日のずれは芋づる式にその後へと響く可能性があります。スケジュールは余裕をみて立てていくのがよいでしょう。

8.UI/UXを意識したサイトデザイン

それぞれユーザーが実際にサイトを使ってみたときの、UIは入力操作や表示について、UXはサービスなどにより得られる体験のことを指します。
よりざっくばらんな言い方をすれば、ユーザーにとって使いやすく満足できるサイトにすることを意識しましょうということです。

近年、とくにこのUX=顧客体験を意識したサイト作りが主流です。ユーザーにとってよりよいサイトこそ、売上のあがるサイトであるという通念が生まれています。
トレンドなども意識しつつ、メインとなるターゲット層からみて快適なサイトを心がけましょう。

9.オウンドメディアなどのコンテンツマーケティングで潜在層を獲得

コンテンツマーケティングで売上を伸ばすという考え方も、近年広く定着してきました。

単なるモノ売りをするのではなく、ユーザーにとって役立つ情報を提供することでSEOの評価を上げます。これを狙って、ブログなどのオウンドメディアを導入するサイトがここ数年で増えてきました。

SEO評価があがれば集客に貢献しますし、良質なコンテンツは顧客満足度をあげ、リピート率やCVRにも効いてきます。リニューアルの際にはぜひ取り入れたい施策です。

10.将来的な事業規模を見据える

当面の数字だけでなく、将来の事業規模を見据えたリニューアルをおすすめします。一度リニューアルをしたばかりにもかかわらず、すぐに次の課題が出てきてしまう、ということも考えられます。

無駄なことを起こさないためにも、リニューアル後の成長の展望も視野に入れて要件や拡張性のあるシステムを整えていきましょう。

ECサイトリニューアルの進め方

ここからは、ECサイトリニューアルを進める方法について紹介します。
ECサイト構築の目的を検討し、実際に構築を依頼するベンダーを選定します。ベンダーが決定したら、リニューアルが本格的に進んでいくことになります。ここからは要件定義から、オープンに向けた準備について詳しく見ていきましょう。

1.目的を整理する

ECサイトのリニューアルを行う目的を明確かつ整理をしましょう。また、社内で共通認識を持つことも必要があります。

  • リニューアルの目的

  • 現状の課題

  • リニューアルによるゴール

リニューアルの軸となる目的は一つに絞る必要もありませんが、単純に「売上アップするため」「業務効率化を図りたい」等の抽象的なものではなく、より掘り下げ、具体的にすることが重要です。また、目標の達成度合いを数字で測れることをおすすめします。

2.費用とスケジュールを明確にする

目的やゴールを実現できるECサイトを構築するためには、費用とスケジュールを明確にしていきます。

費用
初期構築費用ならびに毎月発生するランニングコストに至るまで、リニューアル時に会社全体で割くことのできる予算を決めるようにしましょう。
ある程度予算を決めた中で、各協力会社からの提案・見積から比較検討して予算を考える必要があります。

スケジュール
リニューアルしたECサイトで運用を開始する時期を決めます。ゴールを明確にし、無理のないスケジュールを作成しましょう。

3.ECサイトの構築方法を決める

ECサイトを構築する手段は、「ASP」「オープンソース」「パッケージ」「フルスクラッチ」と大きく4つのシステムが存在します。

これらにはそれぞれ特徴があり、手段によってはリニューアルにより実現したいことができない場合もあります。また、逆に必要以上の機能が充実しており使い切れずコストに見合わないことが考えられます。

こうした問題を解消するために構築方法を決めることも重要ですが、目的を叶えるために実装したい機能を明確にし、一覧にしてまとめておくとわかりやすいと思われます。

4.ベンダーを決定する

開発会社を決定する上で最も大切なポイントは、企業のリニューアルに対する意図を第一に汲み取ってくれるかどうかです。

スケジュールや予算などの関係で実現できないことが発生することもありますが、話し合いを重ねられる会社で、かつ一つの目標に向かって一緒にリニューアルを進められるパートナーのようなベンダーを選定することが理想的です。

ベンダーが決定したら、リニューアルが本格的に進んでいくことになります。ここからは要件定義から、オープンに向けた準備について詳しく見ていきましょう。

5.システムの要件定義

ECサイト制作における要件定義とは、事業者とベンダーとの間で各種必要な要件と業務の“フィット”および“ギャップ”を確認し、ECサイトの本来あるべき姿を認識のずれがなく明確にすることです。
要件定義で明確にすべきことは多々ありますが、その中でも下記の要素は特に重要なので念頭に置いて検討を進めるようにしてください。

  • 必要要件の洗い出し

  • 標準機能とカスタマイズの切り分け

  • 運用時の業務フローの確認

  • サイトのインフラ環境の検討

  • サイトデザインと制作方法の決定

  • 導入する決済方法の検討

  • 商品配送のルールの設定

6.開発開始後も定例会議で進捗状況を把握する

要件定義の進め方はベンダーにもよりますが、基本的には回数を分けてヒアリングや打ち合わせを行いながら事業者とベンダー間のギャップをなくしていきます。そして、要件が固まったらベンダーによるサイトの開発がスタートします。

進捗状況やスケジュールの確認、事業者が円滑にサイトを運営するために準備すべきことなどをすり合わせることなどを目的に定例会議を実施することをおすすめします。

7.サイトの運用準備を行う

事業者はサイトオープンまで必要な運用準備を行いましょう。サイトで使用するデータやサイトデザインだけではなく、マーケティング施策、規約や社内ルール、運用教育など多岐に渡る項目の中から、特に重要な7つの要素をピックアップしました。

  • 運用ルール

  • サイトの利用規約

  • メールフォーマット

  • データ移行

  • サイトデザイン

  • ドメインやURL変更の場合に伴うリダイレクト設定

  • オープン後のベンダーとの連携方法

まとめ

本記事のまとめになります。

  • ECサイトをリニューアルする目的を明確化

  • ECサイトの現状課題を洗い出す

  • 失敗例を参考にリスクがあることを想定

  • 経営層だけではなく現場の意見も取り入れて企画設計

  • 事業規模が大きくなる前に内製化を進める

  • システム連携先との状況を確認

  • スケジュールを徹底管理

  • UI/UXを意識したサイトデザイン

  • オウンドメディアなどのコンテンツマーケティングで潜在層を獲得

  • 将来的な事業規模を見据える

ECサイトをリニューアルするには、多くのコストや手間がかかります。

リニューアルの検討が先送りになってしまい、なかなか進まないこともあるかもしれません。将来的にリニューアルを実施するのであれば、早めに検討した方が成果が出るのもより早くなります。

ぜひ本記事を参考に、ECサイトのリニューアルを進めてみてください。

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?