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真夜中の深呼吸。

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私のままで生きるために、深呼吸をするように綴った文章たち。
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あなたと一緒に、仕事がしたい。"働く理由" はそれしかなかった。

「みなさんに、退職のご報告があります。」

部長の口からその言葉が飛び出したとき、辞めるのは彼ではないと知っていたはずなのに、大きく心臓が波打った。

実際は、部下の退職報告を代わりにしたというだけの話だ。けれどわたしはそのとき、不意をつかれて思わず息を呑んだ。

そして、考えた。

もし、彼が今、本当に会社を辞めてしまったら。
わたしは一体、どうするのだろう?

しばらくの間、放心状態になってし

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今年こそ、いい1年にしたいから。結婚生活2年目の「ひとり時間」宣言。

今年こそ、いい1年にしたいから。結婚生活2年目の「ひとり時間」宣言。

結婚しても、家族がいても、ひとりの時間は死守したい……!

28年間そう思っていたわたしも、昨年結婚して京都でのふたり暮らしがはじまった途端、ひとりの時間が激減した。

ふたり暮らし当初は、「ひとりの時間がないと心が死んでしまう……」と言って週末のどちらかはひとりでカフェに通っていた。

だけどふたりで過ごす時間が増え、むしろ一緒にいた方が気楽だし寂しくないかも、と感じるようになってからは、「ひと

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移住・結婚・転職。人生最大の変化を迎えた1年で、私がみつけたもの。

移住・結婚・転職。人生最大の変化を迎えた1年で、私がみつけたもの。

京都への移住、結婚、転職。

これらは、昨年自分の身に起きた3つの変化だ。

こうして書くと、なんだか劇的で華々しい人生のように見えるかもしれない。だけど実際は毎日悩んだり、葛藤したり、夫とも衝突したりと、思い出すだけでもうわあと声が出てしまうような、なかなかしんどい1年だった。

人は(少なくともわたしの場合は)、一度にたくさんの新しいことを経験すると、こんな風になってしまうのか……!と、現実を

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新婚生活で自分を見失っていた私は、旅先でもらった言葉に救われた

新婚生活で自分を見失っていた私は、旅先でもらった言葉に救われた

「こんなはずじゃなかったのにな……」

新婚生活が始まって1週間が経った、ある夜のこと。

真っ暗な寝室のドアを開け、ひとり静かにベッドに潜り込む。

隣ですうすうと寝息を立てている彼の気配を感じながら、わたしの心は水を含んだ布団のように重く、濁っていた。

いまのわたし、全然自由じゃない。

新しい仕事も、生活も、彼との関係性も。何もかもがうまくいかなかった。

正確に言うとうまくいかないのは一

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あなたともっと、生きたかった。桜の季節にこの世を去った親友へ。

あなたともっと、生きたかった。桜の季節にこの世を去った親友へ。

1年前、親友が他界した。

ちょうど今のように桜が満開で、新しい季節のはじまりに、世の中がそわそわしはじめた頃だった。

家族にも恋人にも、ほかの友人たちにも。誰ひとりとしてこのことを伝えられないまま、わたしは今日を迎えている。

誰にも伝えていないことで、わたしひとりが秘密を抱えて生きているような、後ろめたい気持ちでこの1年を過ごしてきた。

自分が彼女を遠い世界に追いやってしまったような、罪の

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恋人の家族と1泊2日のキャンプをしたら "ちょうどいい距離感" を越えたくなった。

恋人の家族と1泊2日のキャンプをしたら "ちょうどいい距離感" を越えたくなった。

彼の家族と、はじめて1泊2日の旅行をした。
正確には、泊まりでキャンプに行った。

ちなみに、「彼」というのは付き合って1年半の恋人のこと。

まだ正式に結婚や婚約などをしている間柄ではないのだけれど、将来のことはふたりで話していて、お互いの家族にも何度か会ったことがある。

「今度の休みに家族でキャンプに行くんだけど、一緒にどう?」

1ヶ月前、彼にそう誘われたわたしは、

「楽しそう。行きたい

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義母の実家を訪ねたら、家族が20人増えました。

義母の実家を訪ねたら、家族が20人増えました。

お義母さんの実家がある山梨へ、彼の家族と一緒に挨拶に行った。

山梨の大家族の話は彼からもたびたび聞いていたのだけど、想像以上、というより「話を聞いて知識として知っているのと、実際に体験するのはまったく違う」ということを、強く実感した2日間だった。

3人の叔父さんや9人の従兄弟とまるで親友のような距離の近さ、親族がみんな半径1km圏内で暮らしていること、ほぼ同い年で働きながら5児の母をしている人

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"結婚は自由になるための選択" って言葉の意味が、ようやくわかった

"結婚は自由になるための選択" って言葉の意味が、ようやくわかった

結婚して、家庭を持つこと。たったひとりの人と、一生を添い遂げること。わたしにとって「自由を奪うもの」としてそれらを恐れていた時から、1年半。

彼と過ごしているうちに、まさか自分がこんなにも「結婚」や「家庭を持つこと」に対して前向きになるなんて、思ってもみなかった。

つい最近まではまったく想像もしていなかった自分が、いまここにいる。

「結婚することで、自由でいられなくなるのが怖い。」

そんな

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"誰かの基準" に染まった自分を脱ぎ捨てて、私の身体を取り戻す

"誰かの基準" に染まった自分を脱ぎ捨てて、私の身体を取り戻す

今年の目標の中に、「SNSを見る時間を減らし、その代わりに本を読む」というものがある。

これだけ読んだらごくありふれた目標のように思えるかもしれない。

だけど、これは2023年の私のゴールでもある「将来、自分が目指したい方向性や軸となる領域を明らかにする」を達成するために、もっとも重要な目標だと私は思っている。

なんだかとても堅苦しい言い方をしてしまったけれど、簡単に言うと、昨年は「Inst

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自己紹介|岡崎菜波です。

自己紹介|岡崎菜波です。

こんにちは。岡崎菜波です。

いつもわたしの文章を読んでくださっている方、ありがとうございます……!

今更ではありますが、ずっと書こうと思っていた「自己紹介note」を公開してみることにしました。

はじめましての方も、なんとなく知っているよという方も、改めてわたしのことを知ってもらえる機会になれば嬉しいです。

そして、こんなわたしと「いつか一緒に、仕事や企画をしてみたい」と思ってくださる方と

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私が見ている世界は、あなたが見ている世界じゃなかった

私が見ている世界は、あなたが見ている世界じゃなかった

「どうしてそんなに、相手のことを考えられるの?」

「人に対して、共感性が高いよね」

今まで周りの人からそう言われるたびに、わたしはいつも「人のことが好きだから」とか、「人に興味があるから」と、答えてきた。

自分自身、そう信じて疑わなかったから。

だけど先日、気づいてしまった。

わたしは相手のことなんて全然考えられていなかったし、興味を持っているつもりで、本当は何もわかっていなかったという

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誰かを照らしたい。だけど、自分も輝きたくて。

誰かを照らしたい。だけど、自分も輝きたくて。

そうか、そういうことだったのか。

北野唯我さんの『天才を殺す凡人』という本を読んで、今まで自分の中にずっと存在していた、矛盾の正体がわかってしまった。

正確に言えば、その本の巻末に付されている「ブログに寄せられた感想」によって、それが明らかになった。

目の前を覆っていた霧が晴れて、視界がぱっと明るくなり、すべてが繋がったような気がした。

そうか、そういうことだったのか。

だから、わたしは

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わたしを救う、彼の口癖

わたしを救う、彼の口癖

新しい職場に来て、戸惑っていることがある。
それは、同時にとても嬉しいことでもある。

一体なんのことかと言うと、わたしの新しい上司は、人のことをとにかく褒めるのだ。

とにかく、息を吐くように、人を褒める。

(と言ったら、なんだか人たらしのように聞こえるけれど、たぶん無意識にやっているのだ。すごい。)

その内容は大小様々で、小さいことで言うと、

「メールの返信が早いね」「目標の立て方がいい

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あの日、燃え尽きてしまったわたしへ。いま贈りたい3つの処方箋

昨年の4月に念願の社内表彰をされてから、わたしは生まれてはじめて、いわゆる「燃え尽き症候群」の状態に突入した。

巷では何度かその言葉を聞いたことがあったけれど、実際に体験したことはない。

だから、自分が突然「なにもやる気が起きない」という状態になったとき、はじめは「長い期間頑張っていたから、疲れが溜まっていたのかなあ」くらいにしか思っていなかった。

あれ、ちょっといつもと違うかも……?

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