過去の1場面物語『君、星、そしてこの場所で』
1人目。
手を伸ばした。
何を掴めるわけでもないのに。
それでもその日空に向かって手を伸ばしたんだ。
朝露に草が濡れて、空気はひんやりとしている。
舗装されていない土の道はボコボコとしていて、たまに足を取られる。
リュックと背中の間は早くも汗ばみだしている。
隣を楽しそうに歩く足を見ながら、何でこんな事してるんだろうと考える。
2人目。
大切なものが居つまでも此処にあると信じて疑わない人間は、大切なものの形が無くなってはじめて『そんな魔法のような永遠はこの世にない』こと