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はぐれものアニメ感想 変サラ/ヨルクラ/ガルクラ

普通の社会で生きづらい人々が、社会の辺縁に集まって、なんやかんやする作品群について。

変サラ

主張としては一番控えめ。「辺縁、良いですよね!」とだけ言われると「まぁ、そうですね」としか返しようがない。かといって、無理くり批判するために、無戸籍だとかのシリアスな問題を引っ張り出ってくるのは野暮だし無意味だ。

金になるなら罪のない人を不幸にする仕事でもやる、そんな事務所の方針

#姫とスケボー

しいて言及するなら、探偵の果たす役割について。探偵の惣助は、公権力や父を上記の様に非難し、彼らとは異なるあり方(正義のヒーロー)を志向する。

警察はキャバクラを摘発し、父は浮気の証拠をでっち上げる。それは、一応は機能を保っている「場」を、暴力的に整備するあり方だ。さながら信長公のごとく、平定し、発展させる。惣助もまた、生活のため浮気調査=「場」の整備に携わるほかなく、その暴力性に葛藤している。

まぁ、つまらないことを言うが、開かれた「場」(※)は常に崩壊していくものであるから、元通りの「場」に固執するのはオールドヒーロー的、自然主義的なナンセンスだろう。考えるべきは適切な介入の方法(cf.ヤクザ)であって、快の総量が増えるならそれで良いではないか。辺縁も良いものだが、辺縁だから良い、辺縁でないといけないというわけではない。

※閉じた「場」が存在するかと問われると うーん 異世界から女の子が降ってきたりはしないかもだけどね

クーリオさんも言うとりますわ、かつての楽園は所詮"Gangsta's Paradise"やねんな、って。辺縁でも生きられる方がいいけど、いつでも足を洗えて、サングラスを外す選択肢も与えられている方がより良いと思いますよ。

ヨルクラ

ごめん テーマがわからん
こいつだけ露骨に熱量が低いかも

『ガルクラ』に完全に食われた印象のある作品。百合方面に伸びてきて、謎に配信されない『ささ恋』を侵食する勢い。ただでさえテーマがぼんやりとしかわからないせいで、ガルクラ批評のノイズになってしまうこともあり、分離しておきたい。

#5

一応、輝きたい=特別になりたい、ってことなのかとアタリをつけている。しかし、特別=普通ではないこと、と定義(※)している割に、普通の描写が雑ではないか。出発点が曖昧だからそりゃあ主張も不明瞭になる。

※誠実うんぬんの雑議論もあり、雑定義に死ぬほどイラついているのかもしれない おしゃべりなら問題ないが、それでは「批評」などという衒学的体裁は保てていない気がする

※あと関係ないけど、特別じゃないと輝けないの?まぁ前提にケチつけるのはダサいからやらんけど

軸がふにゃっとしているので、恋愛承認を導入して誤魔化すほかなくなるが、ラブロマンスがもはや希求力を失いつつあり苦しい、そのことくらいは自覚していてほしい。てか普通に誤謬やろ

かといって、匿名から脱して、マッチョにスキルアップするなら「普通」の進学や労働と質的に何が違うの、という話になる。どうやらおれは文化的創作物/クリエイターと低級快楽/一般労働者に有意差を認めてないらしい。

匿名一般労働では特別になれない、「自己実現」(要出典)できない、みたいな反論(藁人形じゃん)が想定されるが、それは何故なのか。固有名義+創作ではなく、固有名義+一般労働ではダメなのか、一般労働は匿名にしかなり得ないのか。

※てかクラゲってなんなん、一般的には付和雷同などを意味する、ネガティブなモチーフとして用いられやすい気がするが。どうやって肯定的に再解釈するのか見ものである。

本作に関しては、おれの直感的理解力が欠如しているだけの可能性が大いにある。みんなが好きなように解釈すれば良いんじゃないかな、それだと作品自体としては破綻してるような気はするけど。デカいモニター買って最高画質で、酒飲みながら、過ぎ去ってしまった季節に思いを馳せつつ視聴してみますね あるいは、おれも絵を描く

ガルクラ

潰す 
東京に籠ってろ

いや、萌えアニメとしてはいいのだが、田舎の小娘が気に入らない。単なる自己破壊に留まらず、秩序を乱し、場を荒らし、負の感情を撒き散らす、単に未熟な、にもかかわらず音楽的素養により称揚される、極めて不快な人物であるからだ。……こう書きつらねていくうちに、このクソガキを意外と気に入っていることに気づいた。まぁ、未成年だし、しょぼいしいいか。

では私は何が気に入らないのか、恐らくは観客の、オタクの側ではないだろうか。彼らこそ、まったく無責任に、不適切な性質(不快の総量を増加させる)を称揚し、それでいて自らは適切な性質を維持しつつ、社会からの阻害という不利益を井芹ひとりに押し付ける、フェミニズム思想のかけらもない、もっとも邪悪なものたちである。チンポコばかりおっ勃てやがって!

※あるいは、私は悪ぶっているオタクがなんとなく嫌いで、この辺は適当な理屈を捏ねているだけ、ということかもしれない うるせぇ!

井芹あるいは『ガールズバンドクライ』は、彼女のラディカルな怒りとは全く正反対に、むしろ市民のガス抜きとして機能している。彼女の叫びが一向に怒りを増幅させず、社会変革のうねりを生み出すことがないのは、ひとえにロック・リスナーの怒りの技術、すなわち情操教育(ノリ方)の不足によるものだ。

結局、井芹が例のアイドルバンドに勝利しようが、アイドルバンド構造そのものに取り込まれる未来は目に見えている。我々は抵抗せねばならない。疑似恋愛ビジネスの搾取構造に加担しない良識的な消費を……というような優等生の理屈によってではなく、むしろ破壊的参加によって。

ヨルクラが示したように、凡庸な誰もがアイドルになれる(なってしまう)時代であるからこそ、彼ら/彼女らの包摂はより一層考慮されるべきである。もちろん俺らも(潜在的アイドルとして)抵抗するで、拳で。

小指を立てろ、などという「ウケのいい」欺瞞に騙されてはならない。小指は拳を握るために重要な機能を果たす。仲間との連帯においては小指(契り)が望ましいが、悪に対しては中指でなければならない。連帯における柔軟さと、悪に対する強硬さとは厳格に区別されなければならないが、本作は意図的にそれらを混同することで、体制への態度を軟化せんと試みている。

眼鏡を外せ、身体で聞け、画面越しに消費するな、小指を立てて連帯せよ。ライブに行き、物販列の横で旗を掲げてこい、チンポじゃ品がなさすぎるから、中指を立てて反抗せよ。金銭を払いたくないなら会場前で反ジャニーズ、反ジェノサイド活動でもやろう。

あるいはみなさまが搾取する側であるというならば、一貫していて大変よろしい 潰す

おまけ ささ恋

多分エロい


要するに、お前ら伊達眼鏡野郎共には当事者意識がないねん!ということなのかもしれない、おれにもないが。かといって、ヨルクラくんは当事者の慰み物すぎておもんない気もする。まぁ無用の対立軸を生み出す必要はないか。

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