◾️東京散策: 千駄木〜谷中〜上野編


「天気もいいし、とりあえずスカイツリーでも見に行くか」
そんなふわふわな足取りでとりあえず主人と一緒に東京メトロに飛び乗った。二人の手には600円の東京メトロ1日乗車券。どこへでも行ける、何者にでもなれる。600円で永遠の自由決定権と無限の翼を手に入れた私たちは最強だ。

そんなメトロの中、急に会話の中で【谷根千】という言葉が降ってきた。思い立ったら即、急遽千駄木へ方向転換。
千駄木の駅へ降り立ち、歩いていると『菊見せんべい総本家』。重厚感ある佇まい、軒先に垂れ下がる柳、それだけで完全な谷根千みを感じてテンションがMAXに上がる程に谷根千に対して私たちは無知だった。夜のお八つに江戸ゆかりと菊せんべいを購入。 



千駄木でモーニングならばと向かった先は『CIBI TOKYO』。オーストラリア・メルボルンに本店を構えるコンセプトストアだ。もう佇まいや空気感から海外感が凄い。
目当てのCIBIブレックファーストはクリーミーなアボカドに絶妙な半熟卵、シャキシャキのグリーンリーフに自家製ドレッシングとどれを取っても最高で、シード入り自家製天然酵母パンと季節の手作りジャムはプチプチとした食感と鼻から抜ける小麦の香りに自然な甘味のジャムと次から次へ感動のオンパレード。朝から最高でしかない。



上機嫌で谷中銀座を歩き、『肉のすずき』でメンチカツを食す等する。そして谷中銀座と言えばの『いか焼きやきや』で名物いかせんとイカ焼き玉子を店先で。


夕焼けだんだんを駆け上がり、瓦とねんどを積み重ねた築地塀(ついじべい)や江戸の風情残る古き良き街並みを歩いていると、不思議な建築物が目の前に現れた。
『SCAI THE BATHHOUSE』、築200年の銭湯「柏湯」をリノベーションし、今は海外の優れたアーティストを国内に紹介する現代アートギャラリーだ。この時は木材、岩、土といった自然素材を用いた大規模なインスタレーションや絵画を展開するメキシコのアーティスト、ボスコ・ソディの個展を開催していた。



千駄木から谷中を抜け、最後は上野へ。
ここに来たのは観たかった建築があるから。谷口吉生さんの『東京国立博物館 法隆寺宝物館』だ。ちょうどこの日の前週、私たちは葛西臨海公園に行き『葛西臨海水族館』『クリスタルビュー』『水上バス待合所』という谷口吉生建築群を一気に目の当たりにし、改めてそのスタイリッシュに伸びる水平・垂直ライン、ミニマルで中性的な佇まい、自然に溶け込むインフィニティな建築に魅了されていた。
法隆寺宝物館は期待を裏切ることのない洗練された空間で、この建築を眺めながらコーヒーを飲んで半日以上は過ごせるなと朧げに思った。



朝、家を出るときには全く予定していなかったコースを余すことなく堪能し帰路へ。これだから東京メトロ1日乗車券は最高だ。

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