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五月病を吹き飛ばせ!新社会人に楽しんでほしいエンタメ6選(前編)

楽しかったゴールデンウィークも終わり、大型連休後に襲われる脱力感、無気力感。心身のバランスを崩す「五月病」に悩まされる時期がやってきました。特に4月に働き始めたばかりの新社会人は辛いと感じる方が多いのではないでしょうか。五月病は放っておくとうつ病や適応障害といった心の病気につながるリスクがあります。

「やる気が出ない自分はダメな人間だ」「みんな頑張っているのに自分だけわがままだ」などと自分を追い込んではいけません。過去記事では仕事に臨むうえで新社会人に読んでほしい本を紹介しましたが、今回は肩の力を抜いて楽しめる映画や漫画を集めてみました。

  1. ブルーピリオド 山口つばさ

学校では好成績だが、高校生ながら夜な夜なタバコやお酒を楽しむ「不良優等生」の主人公・矢口八虎。味気ない毎日を送る中で、ある日美術室で見た一枚の絵をきっかけに東京藝術大学の現役合格を目指すことになります。

同作品からインスパイアされたYOASOBIの楽曲「群青」も話題になりました。2024年8月には実写映画も公開予定の大人気作品です。

美術の経験が全くない八虎が勇気を振りしぼって美大受験を宣言し、才能あふれるライバルたちと切磋琢磨しあう姿に胸打たれる作品です。

私が大好きなセリフは、まだ美術を本気ではじめる覚悟が決まらない八虎に、美術部の佐伯先生がかける一言です。

「『好きなことは趣味でいい』これは大人の発想だと思いますよ。」
「好きなことをする努力家はね、最強なんですよ!」

ブルーピリオドより

好きなことを仕事にすべきか否か──ずっと議論されてきたトピックですよね。嫌いな仕事をいやいや続けることほど辛いことはありませんが、仕事にした途端に好きだったことが嫌いになってしまうのも苦しい。実際、好きなことを仕事にできている人はすごく少ないのも現実です。

でも私個人の意見としては、やっぱり好きなことを仕事にしたい!一度きりの人生、できるだけ好きなことに時間を費やしたいと思います。と同時に、好きなこと一つを突き詰めるキャリアは限られた人にしかできないとも感じます。

私はきれいな洋服を着て、人前に出るのが好きでモデルになりました。でも実際になってみて痛感したのは、「見た目重視」の世界で戦っていく厳しさ。もちろん今はプラスサイズドモデルや多様性を意識したキャスティングに変わっていますが、当時抱えていた疑念は拭えず。人は誰しも老いていく中で、モデルとして美しくあり続け第一線で活躍するのはどんなに難しいことか……。

そこで私が見出した答えは「好きは組み合わせれば最強になる、組み合わせキャリア理論」です。モデル活動と同時に、私はものを考えたり、調べたり、それについて他者の意見を聞いたり、自分の考えを述べたりするのが好きでした。ならばその二つの好きを組み合わせて、自分の唯一無二の武器にすればいい。それがNewsPicksのキャスターというキャリアのはじまりでした。

新社会人の皆さんの中には、好きを諦めて仕事についたが未練がある人もいれば、好きを仕事にしたけれどモヤモヤしている人もいると思います。特に好きがない人は、これから仕事の中から探してみてもいいかもしれません!

気持ちが沈む今を、逆に深く仕事を見つめ直すチャンスととらえ、自分の本当の好きを考えてみてはいかがでしょうか?


2, LIFE!(原題:The Secret Life of Walter Mitty) ベン・スティラー

実在する伝統的フォトグラフ雑誌「LIFE」の編集部を舞台にした作品。
主人公のウォルターは編集部の中でも地味なネガフィルムの管理者として働いていましたが、会社が事業再編を機にLIFE誌を廃刊することに。しかし最終号の表紙を飾る写真のフィルムがなくなってしまい、ウォルターは急いでフィルム探しの旅に出ます。

映画の中で一番印象に残っているのが、ウォルターがついに探し求めていたフィルムの撮影者であるフォトジャーナリストで冒険家のショーンに出会ったシーン。
雪山の中で見つけた美しいユキヒョウを、写真を撮らずに見つめながらショーンはこう言います。

Beautiful things don’t ask for attention.
(美しいものは注目を嫌うんだよ。)

LIFE! ラストシーン

編集部の誰からも注目されないが、写真家にとっては非常に大切な仕事を真面目にこなすウォルターを評した言葉にもとらえられます。脚光を浴びづらい仕事でも、一生懸命やっていれば誰かがきっと見ていてくれて、最後は美しく花開く。そんな勇気をもらえる一言です。

最近では自分の仕事の功績をSNSなどでアピールする人も増え、そうした投稿と自分の仕事を比べ劣等感に悩まされることも多いでしょう。でも仕事はそもそも周囲から注目されることが目的ではありません。

地味で誰も注目していなくともコツコツ頑張るあなたの仕事ぶりは、きっと誰かが見ていて、感謝しているはずです。少なくとも私はそういう人を、美しいと思います。

新社会人に読んでほしい本を紹介する記事で紹介した、「ありえない仕事術」内の「雑魚作業」の大切さとも共通する考え方かもしれません。

余談ですが、LIFE誌はモデルで起業家のカーリー・クロスがCEOを務める会社が定期的な刊行物として復活させる見通しです。楽しみですね!


3, PERFECT DAYS ヴィム・ヴェンダース

渋谷区内の公共トイレを刷新する日本財団のプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の活動のPRを目的とした映画の計画をきっかけにできた作品。当初は短編作品の予定でしたが、監督のヴィム・ヴェンダースが日本のサービスや公共の場所の清潔さに感銘を受け長編作品になったそうです。

俳優の役所広司演じる主人公・平山は中年の寡黙な清掃作業員。毎日同じ時間に起き、支度をし、渋谷区の公衆トイレを次々と回り掃除していきます。

一見、判で押したような日々を送る平山ですが、出勤前に家のドアを開けて1歩目の空を楽しんだり、移動中に洋楽カセットテープを聴いたり、昼休憩中に木漏れ日をフィルム写真で撮影したり。彼にとっては「全く同じ日は1日としてない」、新しい毎日を楽しみます。

旅行やお出かけなど連休中の刺激的な日々から一転、ルーティンワークをこなす仕事の毎日に嫌気がさしますよね。でも平山のように、日々の生活にささやかな変化や美しさを探してみれば、何の変哲もないと思っていた毎日が少し楽しく、「Perfect Days」になるのではないでしょうか。

劇中では平山は自分について多く語らず、その過去や清掃員になった経緯についても明らかになりません。一方で平山の表情やしぐさから彼の人生を思わず考察したくなってしまう仕掛けが散りばめられています。

例えば平山が銭湯に入るシーン。手際よく体を洗う所作には一切の無駄がありません。また布団をたたむシーンでもスピードが早く、かつ異様に丁寧。

私はそこから、彼は過去に何らかの罪で服役していた経験があるのでは……とさえ感じました。なので平山にとっては、生きている、そのものが「Perfect Days」。本当のことは、ヴェンダース監督にしか分かりませんけどね。

観る人によって異なる解釈ができる演出・演技には脱帽です。こうした作品の“余白”を楽しんでみるのもリフレッシュになるかもしれません。

構成:大竹初奈

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