プロ施主とは?トラブルを起こすだけの面倒な施主なのか
住宅業界ではプロ施主という言葉がある。
この言葉のせいで余計な分断を生んでいるし、素人でしかない施主が思い上がっているようにも見える。
プロ施主という言葉は何が問題か、今後どうすればいいのかを解説。
プロ施主の定義
プロ施主は業界紙の新建ハウジングの社長である三浦氏が生み出した言葉。
本人の解説が以下。
長い!そしてややこしい!
簡単なことを難しく説明しているようだが、要約すると「家づくりの情報を発信する施主」でしょう。
この時点で「じゃあプロ施主という言葉は間違ってるだろう。。」と思うわけですが多分家アカを長くやってる人はこの言葉が当たり前になっていて何が問題か分かっていない。
「プロ」と「施主」という言葉から作られますが後者に問題は無い。問題は前者。
なぜ問題か。
当たり前だが、日本語で「プロ」「プロ○○」という言葉を発したときに「ああプロシューマーのことね」と思う人は100人中100人いないから。これが問題の根源。
こんなことを大の大人に説明する必要あるのかと思うのだが、、、プロをGoogleで検索すると以下の結果が出る。
プロとはその道で生計を立てている、かつ一流を指す。アマの対義語である。
ピンとこない人は、ぜひ家について勉強していなくてプロ施主という言葉を知らない家族や友達に「プロ施主ってどういう意味だと思う?」と聞いてみてほしい。
「プロシューマー施主だから家づくりの情報を発信している施主のことだよね!」と言う人がいるだろうか。
この時点で非常によくない言葉を生み出していると新建ハウジングには気づいてほしい。それこそ新建ハウジングは企業が運営するメディアなのだから「言葉・情報を扱うプロ」のはず。
そのメディアが分断や混乱を生む言葉を創造してどうするのだろうか。
工務店業界を盛り上げたいのは分かるが、このような炎上商法をしていては工務店がよく批判するHMの営業方法にも文句は言えないのでは。
実際にこんな反応がある。
実務者側に否定的な意見も見られるが、その理解をバカにする施主側の発言も見られる。誰が見てもマイナスの影響を及ぼしていることは確認できるだろう。それぞれが勝手な定義でプロ施主を使っていて収集がついていない。
あと、たかだか1~2年YouTubeと本で勉強した程度の知識、設計や施工の実務で手を動かしたことが無いのにプロ施主になれたみたいなのはなんなんですかね。他にも「私はプロ施主ではないんですけど」「私はプロ施主の方ほどの施主ではないので(照れ)」という気色悪い謙遜も含めて一周回って面白いです。
プロ施主の理屈が通るならこういう言葉はどうだろうか。
「スーパー施主」
この文字を見てどういう人を思い浮かべるだろう。スーパー工務店という言葉もあるように、「スーパー」にはポジティブなニュアンス、すごいという形容の意味が日本語としての使い方である。
「すごい施主」という直訳にすると語弊のあるプロ施主と同じことになる。スーパーな工務店は分かるけど、スーパーな施主ってなんだよと、先に出てきたような実務者から反感を買うことになる。
そこでこの言葉を作った人が「いやスーパー施主はスーパーバイザーの略で、分離発注で家を建てる施主のことだよ。スーパーバイザーは管理者、監督者という意味で業務の進捗管理を行う人だからね」と言ってきたら納得感があるだろうか。
そういう意味ならスーパーを切り取らずにそのまま説明したらいいのでは。シンプルに分離発注で建てた施主でいいのでは。
要は省略された言葉は違う意味で使われているのに変に省略するために文字だけで意味を理解することができない。そのような言葉は適切ではない。
プロ施主はプロシューマーですらない
プロ施主のプロが指すのはプロシューマー。ここでプロシューマーについて確認してみよう。
ん?なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。
はい、解散!!
・・・
・・・
・・・
一応解説しましょうか。
正直に言うと私はプロ施主の語源を調べるまでプロシューマーという言葉は知りませんでした。
しかし上記に挙げられるユーザー参加型の商品開発やCtoCはビジネスの一般教養として知っています。BtoC企業なら多くの企業がユーザー参加型の商品開発は行っていて、大企業ならやっていない企業はほぼいないほど。
話を注文住宅に戻すが、プロ施主は商品開発を行っているのだろうか?
・・・
・・・
・・・
行っていない!
だから「いや実はプロ施主はプロフェッショナルという意味では無くて、プロシューマーなんですよ。間違って使わないでほしいですぴえん」という新建ハウジングの説明は意味不明。
だって施主は商品開発してないでしょ。自称プロ施主の人は「私は私の家を商品開発しました」って言うんでしょうか。家の勉強する前に日本語の文法を勉強した方がいいのでは。
商品開発というのは自己消費じゃなく商品を作って多くの人に届けることです。自分だけが使うものをプロデュースするというのはおかしい。これがプロシューマーとの決定的な違い。
自分のために商品を注文するのはフルオーダー(セミオーダー)と言うんじゃないの?
でそれって注文住宅だから元々当たり前のことでは?自分の家を注文するから注文住宅なんでしょう?
フルオーダースーツのお店で口うるさく要望出してスーツ作った人はプロ注文者?
フルオーダーネイルのお店で自分が書いてきたデザイン案のネイルを塗ってもらった人はプロ被施術者?
そんな表現おかしいでしょう。どう考えても。
アパレルブランドと洋服の商品を開発するのがプロシューマー。
ネイルチップのデザインを企業と作るのがプロシューマーです。
もしくはCtoCで自分が作ったネイルチップを販売するとか。
注文住宅なら、一条工務店施主が一条とコラボして「プッシュミー」という新商品を作るのがプロシューマー。
HMに限らずTOTOとコラボして施主の思いを汲んだ「施主レスト」という新商品を作るのがプロシューマー。
本来はこうなるわけです。
住宅をいくら勉強しても実務者に注文をしているだけなら他の施主と何も変わらない。ただ単に注文が多いだけでしょう。
語源すら間違っている言葉なんだからどんな変な使い方をされても文句は言えないし、最初に挙げたようなアンミカ状態になっているわけ。
この言葉を作ったこと、使っていることは間違いだったことを各自認識しましょう。
他の人より注文の多い施主。私含むあなたたちは単にそれだけの存在、いち消費者でしかありません。
自分をプロ施主だと勘違いした人の末路
新建ハウジング基準だとほとんどが誤用される方のプロ施主としては、自分に知識がある、プロをリードできると勘違いした人が住宅会社とトラブルになるケースも見られる。
この方はトラブルになりかけた会社とは契約しなかったようだが、同じような状況になった家アカは多いのではないだろうか。いやほとんど該当するのでは。
なぜなら家アカが持つ知識(大半は性能、中でも断熱と耐震という非常に偏ったバランスの悪い知識なのだが)が通用するのはスーパー工務店だけだから。
※それもそのはずで、家アカが持つ断熱と耐震の知識はYouTubeから仕入れており、それを作っているのはスーパー工務店だから。要はスーパー工務店の営業がハマっている人たちです
F式を知らない実務者に「エアコン1台で全館空調」とか、「階段ホールにエアコン設置したくて」と言ってもこいつは何を言ってるんだ?と理解されるわけが無い。
その要求が多いほど実務者は面倒になる。この状態になれば家づくりの失敗は確定する。住宅は人が作るのだから担当者との関係が悪くていい家が作れるわけが無い。
思い上がったプロ施主はSNSでもリアルでも問題を起こす。
先の方のように問題は住宅会社ではなく自分自身にあることに気づければ軌道修正できるが、あのスタンスのままスーパー工務店以外の会社と家づくりをするのは担当者が可哀そうですよ。
たしかに実務者は断熱や耐震の知識は疎いかもしれないけど、家アカが知ってるのなんてその程度じゃないですか。断熱と耐震だけの知識で家は建つんですか?
他の知識は担当者の方が知ってますよ。
しかも断熱にこだわるとか言っておきながらやってることは樹脂サッシを入れてるだけ。風呂に窓入れたり玄関扉に大きな採光ガラスを入れていたりする。
耐震にこだわったといいながらやってることは構造計算を注文しただけ。施工上のチェックポイントも見ずに自分の家は耐震性がいいと思いこんでいる。
自分が頼んだ工務店が完成後に倒産している。
この程度の知識、経験で実務者をリードしようなんて甚だ恥ずかしい。
もっと謙虚に目の前のプロと接しましょう。あなたが家を建ててもらうのは無責任に情報をばらまくインターネットの先にいるどっかの誰かではなく、一番あなたのことを考えてくれている担当者です。
その担当者が信用できなくてネットの方が信用できるならいますぐ契約破棄して会社変えてください。会社選びを間違えてます。
じゃあお前はどうなんだと言われると、依頼先は性能はそこまでのビルダーだったため設計中盤までは押し合いがありました。そんなことも知らないのかと思ったことは正直ある。
ただ対話を続けるとどんな知識があってどんな知識が無いのか、ビルダーはどんなスタンスで家を建てているのか理解できたため、それ以降は無茶な注文はせずに済んだ。
相手の知識がないならこちらがカバーすればいいわけです。それを私は家づくりで最重要視しており、「施主力向上」というワードを掲げて日々情報発信してます。
家を建て終わった人や施工までいった人は痛感していると思うが、実務者とはいえ住宅に対してあらゆる知識があり、リードできるわけではない。
簡単にミスするし、家アカ(住宅を1年程度勉強した程度の素人)では当たり前のことも知らないことは多い。
性能に強い会社だけど意匠が壊滅的、その逆。室内は分かるけど外構は外注任せ。昼間の空間はそれなりだけど夜はファミレスやオフィスのような照明計画等々、何かができて何かが欠けてる会社しかない。
しかしそもそも完璧な実務者は存在しないので、永遠と理想の会社を探したり期待するだけ時間の無駄である。
その時間を使ってる間にインフレ、建築コストは増大し自分の知識は増すが予算は膨れ上がる。よほどお金と時間がある人でもない限り、リミットを設けて会社を選ばないといけない。
だから自分が選んだ会社の得意な所は任せ、できないところはカバーする。それでいい家が建つんだからいいじゃない。
プロ施主に代わる言葉はあるのか
結論、プロ施主という言葉を使うことはやめた方がいいと思う。この言葉は死語にすべき。
ここで「これからはプロ施主なる人を指したいときになんと言えばいいのか?」という疑問が出る人がいるが、どうでもいいんですよ。
どうしても呼びたいなら「家(家づくり)ブロガー」でいい。かつてのプロ施主はみんなブログやっていますからね。
「プロ施主」と比べるとだいぶ弱いが、ブロガーの域を超えない人しかいないのだからこれでちょうどいい。
フエッピーさんのように家を4軒建てて書籍を出版するまでいったら他の言葉がいいかもしれないが、そのような人はほとんどいないので俗称を作る必要もないだろう。「フエッピーさん」と個人を指せばいい。
施主はどこまでいっても施主なのになぜ線引きをしたいのだろうか。
情報発信をしていない施主は家づくりを勉強していないと思っているんだろうか?情報発信をしていなければ家づくりをテキトーにしているのだろうか。
こういう発想自体が全ての施主に対して失礼である。自分の会社で建てない施主は不勉強と切り捨てるのはなんと傲慢なのだろう。
今年はあるスーパー工務店のメルマガでこんな内容もあった。
こういう思想だから工務店をスーパー工務店とそれ以外に分けたい、施主もプロ施主とダメ施主に分けたいんでしょうね。
「スーパー工務店」というのも新建ハウジングや住宅YouTuber(新住教系)が好んで使うが、住宅のごくごく一部である性能にだけ特化した工務店がさも素晴らしい工務店というブランディングのために使われているだけの言葉である。はっきり言うがスーパー工務店はあらゆる面で優れているわけではない。
身内でスーパー工務店と認識している以外の工務店は全部ダメみたいな。
本当に視野が矮小だと思う。
スーパー工務店と関わった施主がトラブルに巻き込まれていることは知らないのだろうか。
こんな会社なら性能がZEHレベル、C値1.0程度で明朗会計な普通の工務店の方が100倍いいと思うが。たまたまこのブログを書いてくれた人だけが経験したとは思えなく、こういう汚い商売の仕方をこのスーパー工務店は全ての見込み客にしていると考えるのが自然。そして同じようなスーパー工務店が他にもあると考えるのが自然。それらを総称してスーパーな工務店と定義づけることに違和感しかない。
別に自分達の家づくりが最高だと自負することに何も問題はない。むしろそうでないなら会社を畳むべき。
しかし自分達と同じことをしていない企業や施主と線引きして他社(他者)下げするのは似て非なるということ。自負以上の言動をするからスーパー工務店は一部の熱狂的な人にしか支持されない。
最後に断りだが、今までプロ施主とされた人たちの情報発信に価値が無いという話ではない。
表現が間違っていただけでブロガーの情報発信に助けられた人は多くいる。
ただ発信の仕方や自分達をどう名乗るかによってマイナスの影響もあるということをこの事例を踏まえて見直してほしい。
そしてこれからも家づくりに悩む人を助けてもらえればと思う。
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