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南に日射取得型、東西北に日射遮蔽型の窓って本当に大丈夫?

本題から入りますが、窓を勉強した人は南に日射取得型、東西北に日射遮蔽型にするのがセオリーで、実際にそうしている人がほとんどですよね。

これ実は間違ってるんじゃないかという話です。

Low-Eの理解ができてなかったのですが、Low-Eは室外、室内のどちらかの熱を反射する効果があります。
旭硝子の下記図でいうと日射遮蔽したいなら温暖地向け(日射遮蔽型)日射取得したいなら寒冷地向け(日射取得型)となっています。

https://www.asahiglassplaza.net/knowledge/rg_knowledge/vol07/

「低い放射」の「放射」というのは熱の伝わり方のひとつで、離れた物体に温度差がある場合、その熱エネルギーは高いほうから低いほうに移動して平均化しようとする現象です。複層ガラスは2枚のガラスを使う製品ですが、室内外の温度や日射によって2枚のガラス自体に温度差が生じます。この場合熱エネルギーの高いほう(夏季は室外側、冬季は室内側)から反対側の低いほうにエネルギーが移動するのを抑える、すなわち放射熱の移動を抑えるのがLow‐E複層ガラスなのです。結果として夏季は遮熱性能に優れ、冬季は断熱性能に優れた機能を持つガラスになるのです。

このようにも説明されており、温度差があると熱エネルギーが高い方から低い方に移動するので、単純にいうと熱い空気が寒い空気がある方に移動する。

夏は外から内、冬は内から外にこの移動が起きますが、夏は遮蔽したいですし、冬は外に熱を逃がしたくないので建てる地域や立地、窓の方位に応じて選択をするのだと思います。

それを単純化して、暖かい地域(6~8地域)では温暖地向け、寒い地域(1~5地域)では寒冷地向けをつけようというのが旭硝子の見解です。

加えて、YKKは南は日射取得型、東西北は遮蔽と通説通りの説明です。

旭硝子やYKKの見解はどちらも間違っているんじゃないかという問題提起です。

方位ごとに整理してみます。

方位に応じた新説

外で日射遮蔽できない家:日射遮蔽型
外で日射遮蔽できる家 :日射取得型

南は日射取得型というのがセオリーとされてますが、家によっては日射遮蔽型にした方いいのではと思います。
軒が900㎜未満、アウターシェードなしなど外部で夏の日射を遮蔽する手段がない家です。

カーテンを閉めても外で遮断できないと日射は86%室内に入ってきます。

https://onl.tw/GyZwb5Q

アウターシェードは何でもいいのですが、昔からあるシャッターや簾、場合によっては樹木(冬は日射取得できる落葉樹)という方法もあります。

一番は軒ですね。900㎜というのも絶対指標ではありませんが(窓の位置にもよるので)、900㎜未満は夏の遮蔽はあまりできない可能性が高いのでアウターシェードが必須になります。

なので、軒が出てない家、かつアウターシェードをつけない(もしくはつけられない)家なら日射取得型は夏に灼熱になるのではないでしょうか。

家アカの施行事例を見ていても、温熱を気にする人は多いですが軒が900㎜以上出ていない家も散見されます。

そのような場合、日射取得型で本当にいいのか疑問です。中途半端にパッシブ設計を取り入れて、逆効果になってしまってはいないのだろうか。

逆に遮蔽する手段を窓以外で持ち合わせているなら、通説通り日射取得型でいいと思います。

西

ここは基本的に日射遮蔽一択な気もしますが、寒冷地では日射取得型もありな気がします。
窓サイズを小さくし、夜の放射熱を最小限にしながら昼間は日射を取得するという方向です。

西窓が廊下など、まぶしくても問題ない場所なら十分選択肢になる気がします。

もちろん夏はアウターシェードを使わないと大変なことになりますが、それはシェードをつければいい話です。

新潟にお住いの方で、西日は暖かくて最高といっている施主がいます。

嫌われがちな西日ですが、寒い地域ではうまく付き合うと遮蔽するだけでは見えない使い方があるのではと感じます。

6~8地域なら日射遮蔽型でよさそうです。

一番の違和感を持つ場所です。通説なら日射遮蔽型です。

しかし、北は唯一1日のどの時間も日が当たらないので、夏だとしても太陽光で熱くなることはありません。
遮蔽したい熱が少ないはずです。

夏に遮蔽の問題が無いとしたら、冬に室内の熱を逃がさない日射取得型にすべきではないのでしょうか。

改めてですが、日射取得型という言葉は非常に分かりづらく、Low-Eが内側についているもの(室内の熱を逃がさないもの)を一般的に日射取得型と呼んでいるはずです。
日射は一旦置いておいて、熱を逃がしたくないとすればLow-Eを内側につけた方がいいことになります。

しかし、通説は日射遮蔽型。これはなぜなのでしょうか。

加えて、コールドドラフトが一番起きる場所なのでトリプルを最優先にする方位ですよね。トリプルなら尚更日射は入らないわけですが、それに加えて遮蔽型にするのは理解が追いつきません。

再度、YKKの図を見直してみましょう。

北窓の説明は以下です。

熱の逃げ道を断って寒さ対策を

この考えなら、Low-Eが内側にある日射取得型にすべきでは?
なんで遮蔽にしてるんでしょうか。

日射遮蔽を検討した方がいい場合は北西の窓です。立面図では東西南北で示されますが、正確には北西、北東など45度ずれている土地は少なくないでしょう。

そうなると立面図上の北(正確には北西)には西日が入るので、遮蔽型の採用もあり得そうです。

しかし、そこまで考えての表にはYKKの情報はなってないと思います。

日射遮蔽型が通説ですが、北同様に日射取得型もありなんじゃないかと思います。

直射光が入る時間よりもそうではない時間の方が長いです。

窓サイズにもよりますが、小窓なら夏の午前中は室内からカーテン等で遮蔽すればいいのではないでしょうか。

冬の考えは北同様です。

まとめ

それぞれの方位についての疑問を書きましたが、前提としてエアコンは冷房よりも暖房の方が電気代は高くなります。これは皆さん身をもってご存知なはずです。
そうすると、熱に関しては冬(寒さ)>夏(暑さ)という優先順位になります。

日本でも段違いの高温多湿である沖縄ならともかく、鹿児島以北ならどこでも冬は寒いので、窓も室内の熱を逃がさない方に振った方がいいのではないかと思うわけです。

6地域は夏は暑く、冬は寒いと四季が大きいので立地に応じて考えるパラメータが増えると思います。単純ではありません。

でも寒冷地は熱を逃さないことが大切なので、全ての窓が日射取得型でもいい気がするのですが違うのでしょうか。(寒冷地ほど窓を小さくするのは大前提なので、大きなシャッターを使う必要もなく外部での遮蔽も難しくないはずです)

答えを持ち合わせている方、ご意見ある方からのコメントぜひお待ちしてます。
本件は私に限らず、全施主に超有用な情報かと思います。


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