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【台南事件簿①前編】路面店には要注意!食中毒の恐怖

9月7日

この日は(というかこの日も)台南は晴天。雲一つない青空が広がっていた。

今日も良い日になりそうだ。

窓から差し込む日の光を浴びながら、能天気にそんなことを思った。これから待ち構える、恐ろしい事件など知る由もなく。

誰の提案だったか、クソ暑い日にもかかわらず民宿で鍋パーティーをしようという話になった。そこで私は、朝からKさん(当時民宿に長期滞在していた台湾人男性)と、近くの鴨母寮市場へ買い出しにでかけた。

台湾の市場をきちんと見たのはその日が初めてであったし、ずっと都心に住んできてスーパーマーケットくらいしかご縁がなかった私にとって、市場は何もかもが目新しかった。

バイクで来ている人もかなりいる。

ところ狭しと並べられた果物や野菜。あちこちからつるされた、場合によってはかなりグロテスクな肉の塊(不快に思われる方がいそうなので写真は載せないが、なんとも無残にぶった切られた生々しい豚の足や鶏の首なんかもあった)。ホカホカ湯気を立てている肉まんや揚げたてのドーナツ、卵がたっぷり入っていそうな巨大プリン。一つひとつに目を奪われた。

千と千尋の世界観

Kさんは非常に口下手な人なので、私が話しかけてもろくすっぽ返事をしなかいか、あるいは言葉を発しても早口かつ発音に癖があるため、よく聞き取れない。

というわけで、私は彼の後ろにおとなしくくっついていって、買い物の様子を眺めていた。肉や野菜、貝や豆腐などをひと通り買ったあと、近くの早餐店(朝ごはんや)で軽く腹ごしらえをして、Kさんとは解散した。

そのあと街をぶらついていると、お祭りに出くわした。みんなお揃いのシャツを着て、手に手に楽器やら神具やらタピオカドリンクやら(笑)を持ってぞろぞろ通りを流れていく。興味津々で大行列についていくと一つの大きな廟に行きあたり、そこで人々がさかんに拜拜したり、神輿をかついだりしていた。

台南ではよく見る光景

珍しいものを見たもんだと思ったが、台南ではこの「廟會」がほぼ毎週行われていて、私はこれの大ファンになるのである。(本題から逸れるのでこれ以上は書くのを控える)

この日の目当てはといえば、台南で有名だという「サバヒー粥」であった。
「サバヒー」は脂乗りのよい白身魚で、日本人にも食べやすい味だと思う。北部ではなかなか見かけない、台南名物だ。
その中でも有名そうな店を調べ、嬉々として向かった。

路面に突き出すように建っているこの店は流石は人気店で、すでに地元の人で大賑わい。当たり前だが、こういう店では「タッチパネル式注文」「ベルを鳴らして注文」なんて優雅なシステムはない。

詳しくは忘れたが、注文方式がとにかく複雑だったので私が途方に暮れていると、地元の人がスッと寄ってきて助けてくれた。牡蠣が入ったものなど色々あったが、値段重視の私が頼んだのは、サバヒーだけが入ったおかゆ。

混みすぎていて相席だったので、おじいちゃん2人、おばあちゃんが1人の席に腰かけた。

このおじいちゃん・おばあちゃんもとてもフレンドリーな人たちだった。私が成功大学に通うことを話すと「自分たちはそこの卒業生なんだ」と胸を張る。
1人のおじいちゃんは、得意科目だったという英語を披露してくれ、私が褒めるとまんざらでもなさそうだった。

さて、運ばれてきたのは…

?!?!

サバヒーの身のほかに、牡蠣がたくさん入っている。私はサバヒーだけが入ったやつを頼んだつもりだったのに、店員さんが注文を間違えたのか。はたまたデフォルトで牡蠣が入っているものなのか。助けてくれた人が伝え方を間違えたのか。

台南名物サバヒー粥。なぜか牡蠣入り

聞きにいこうかと思ったが、とにかく忙しそうだ。おじいちゃんたちも、「別に気にしなくていいんだから、食べちゃいなさいよ」という。もう面倒くさいし、なんならラッキーなので、そのまま食べることにした。

サバヒーがとっても美味しかったのはいうまでもなく、台南の牡蠣も小さいながら出汁がきいていて、台南名物と呼ぶにふさわしい味だった。大満足してお店をあとにし、そのまま孔子廟の近くをウロウロ巡ったあと、はむ家(民宿)に帰った。

その夜はKさんと劉さん(※当時民宿に長期滞在していた台湾人)・あと数人で、市場で調達した食材を使った鍋を楽しんだ。

食後は劉さんが「かき氷を食べに行こう」と言い出した。私は正直お腹がいっぱいだったが、皆に説得(?)され、4-5人で近くのかき氷屋に行った。
写真ではまったく美味しくなさそうだが、白玉や小豆、緑豆などがたくさん入っていて、しかも50元(250円)と安い。

朝から最高に充実した一日だったな、と思いながら、眠りについた…

と思った、深夜。ものすごい倦怠感と腹痛で目が覚めた。

あまりにも酷いので体温計で測ってみると、39度超えの高熱…!
一日中歩きまわっていたから、疲れが出たのだろうか。

深夜。体調に異変。

とりあえず横になり、そのまま寝ることにした。

これが地獄の1週間の始まりだった。(→対処法?含め、後編へ続く)

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