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物事を覚えるテクニックー放射型かピラミッド型かー

 物事を覚える、暗記とも言いますが、「これこれを覚えないといけない」という場面、現代社会には往々にしてあり、また「そのやり方がわからない」という方に、「『やり方』というより『あなたがどのタイプか』」が役に立つのでは、と思い、筆をつづります。
 あくまでこれは個人的意見です。学術的根拠も用意してません。探せば当てはめることはできましょうが、そんなことより大事なのは中身ですので。


あなたは放射型?それともピラミッド型?


 まず、物事を覚えるには、集中・注意を払いがちな所がどこか、を見定めた方が近道な気がします。
 つまり、
・興味あるものしか興味持てない『放射型』
・先に抑えるべき所を抑えておかないと気が済まない『ピラミッド型』
 この2つのうちのどちらかで、覚え方ーー正確には覚える順序や効率ーーが測れる気がします。
 まず、これら2つのタイプについて、説明しますね。

興味あるものしか興味持てない『放射型』


 このタイプは、興味あることはとことん熱中できる半面、興味の湧かないことは後回しにしがちなタイプを指します。自分もこのタイプでして、覚えるつもりもないのに町田康『くっすん大黒』の冒頭を読んで十年経った今でも暗唱できますが、「これは覚えとけ!基本や!」と言われてもピンときてなかったら鳥頭になりがちなのです。反省。
 こういうタイプが「覚えなきゃなー」とぼんやり鼻くそほじりながらみたいな感じで物覚えが悪いのは、例えるなら、
「今から大事な大事なこと教えるからよー聞いとけ!」
「はい!」横を好きな人が通る。「今日もええなぁ」
「聞いとんのかっ!」
 となっているようなもんです。要するに、目の前の大事なことより自分の大事なことに目が奪われ、覚えなきゃならないことに対して注意散漫になってしまい、物覚えが悪いとなるのです。
 好きなことなら100吸収できるのに、そうじゃないものには良くて2,30くらいしか吸収できないのがこのタイプ。

先に抑えるべき所を抑えておかないと気が済まない『ピラミッド型』


 こちらは興味を後回しにできるタイプで、きっちり義務とかを把握しているタイプです。一方、自分の興味が狭い、と思いがちなところも。石橋を叩いて渡るタイプなので、誠実性や安定性が高いのが長所。「ここは研修で教わったよ」とすんなり言えるのもこのタイプ。
 このタイプが苦手なのは、「広く思考を広げてよ」と言われること。思考を広げられないわけではないのです。ただ、そのためには順序立てて考えていかないと納得できないタイプなので、いきなりの「飛躍」はあまり興味を持てない、というか「いきなりそんなこと言われても……」となるのではないでしょうか。
「新商品のアイデアない?」
「はぁ……(それよりも今出してる商品の◯◯のことをより良くしていかないと)」
「ねぇ!?聞いてる?」
 聞いとるっちゅーねん、なあ?となる感じ。
 目の前のことへの興味が高いし、そこをしっかり把握しないと落ち着かないため、目の前のことは80くらいまで、あるいは100まで自力で覚えれるけれど、目の前のことをしっかり作り上げようとするため、突然のことには20くらいしか意識が向かないタイプですね。

放射型タイプの覚え方のコツ


 このタイプは、まずは興味あることをとことん覚えて行くのが近道かと思います。その時に、ちょっとだけでいいので、「覚えなきゃいけないこととの関連性」も念頭に置いておくのがコツです。
 放射型は、その名のとおり色々興味が放射状に広がっていきます。そのときに放射の中心部となる、「覚えなきゃいけないこと」を最低限レベルでいいので把握しておきたいところ。そして興味ある先へ先へと進むエネルギーも利用しましょう。
 たまたま興味を持ったこと同士がどこかで結びついたらワクワクしませんか? それは得意のはず。なら、「覚えなきゃいけないこと」にもそのワクワクを利用して、まず2割でいいので「覚えなきゃいけないこと」もチェックしときましょう。
 そもそも、興味あることには100覚えれる記憶力の持ち主が、2割くらい義務感使っちゃってもいいじゃないですか。てか、逆に言うと無理して頑張っても3割しか覚えられないなら、とりあえずそこで一旦停止して、次へあなたの知識欲を進ませるのです。
 そうして、A、B、Cと興味あることを覚えていって、ふとそれらの繋がりを感じた時に、脳裏で「オレのこと、オボエてる?」と、カタコトな怪物が呟くでしょう。「あー忘れとった!」とあなたはなるはず。ふとそいつを見ると、あら不思議、最初にはおどろおどろしいくらいに思えていた怪物が、なんかちっちゃくなってるではありませんか。そうなったらもうこっちのもん。前は2割しか把握できなかった「覚えなきゃいけない」怪物は、かわいいサイズ感に。そしたら手なづけて、5割くらいはもうパパっと。なんなら興味あって覚えたこととの関連性という伏線回収までこなして、首輪にリードつけてしまえるくらいになっているでしょう。
 これをちょっとばかり解説すると、
①そもそも覚えようとしたところで限度があるなら最低限にして負荷を減らす。
②他のことへの記憶を上げている間に慣れが生じる
③余裕が出てきて最初よりも覚えやすくなる
 という、回り道をあえてするというテクニックです。

ピラミッド型タイプの覚え方のコツ


 このタイプは、先に先にと進むのを急かさず、一つ一つ正確にクリアしていく能力を肯定し、それをこなしていくことが近道かと。
 もしそこで、覚えなきゃいけないことが突然来たら、これも負荷を減らしてみてください。自分のエリアを崩されるのを苦手とするあなたは、突然来た隕石にスモールライトを当てて小さくして、エリアのちょっと外に、こん、と置いときましょう。そして、目の前のことに集中集中。
 そうこうしているうちに、あなたのエリアは拡大されていき、いつの間にかスモールライトを当てた隕石も範囲内に。なら、オセロをひっくり返すように自分の駒にしちゃいましょう。ほら、覚えれた。
 そもそも土台は万全にできるピラミッド型、縦にそびえるのは一つでいい、むしろ横に広げてしっかり踏ん張れるのがベストコンディションなのですから、少しずつそのフィールドを広げ、積み上げていけばいいだけ。大事なのは、あなたのエリアへの過剰な侵入をさせないこと。でも、ご心配なく。あなたはしっかり地に足つけてここまで固めて・高めて来ました。あなたの芯はそんなやすやすと覆されることはありません。
 こちらもちょっとばかり解説、
①論理の飛躍が苦手なら、無理にしないでいい。むしろ小さく扱ってみる
②自分の基礎を固めていくと、かつて応用と思われたものも、必要な範囲内になっている
③余裕が出てきて最初よりも覚えやすくなる

おわりに


 お気づきだと思いますが、放射型もピラミッド型も凄く似ているし、実はすることも一緒なのです。「苦手なことへの負荷を減らす」ということ。どちらのタイプも苦手意識を真正面から受け止めすぎず・かといってガン無視しない程度にコントロールする、というとめっさムズく感じられますが、自分の長所から取り組む、というところは一緒ですよね。
 さて、ここでクイズです。「日本人が苦手意識を持つ日本語」はなんでしょうか?
 正解は、「古文」です。サ行変格活用とかありませんでしたか? 同じ日本語なのに、なぜ古文だけ苦手意識を持たれやすいかというと、たぶんですが、サ行変格活用とかよくわからん用語が一気に大量に押し寄せてくるからだと思うのです。
 そもそも、言葉話してる時に、主語が、とか考えながら話しませんよね? 英語が苦手となりがちなのも、ぶっちゃけマニアックな第5文型とかいう用語などのせいだと思います。何か変形みたいでロボット好きにはたまらないかもですが……ん?ちょっとこれ使えるやん、ロボットの変形タイプと英語文型との関連性でワンチャン、となれれば良かったのですが、格段ロボットにも詳しくないので諦めました。
 というのは半分冗談で、まあ、ハードルを下げる、というより『とりあえずは自分の許容できる範囲までに留める』『それを遠すぎず近すぎずの距離に一度置いておく』こと。これが覚えるということへのストレスを減らすことなのかも、と思います。一口でもかじっちゃえば、リンゴを食べたことにはなります。大事なのは、そのリンゴを捨てずに取っておいて、お腹が空いたリンゴ食べたい、となったときに食べれる位置に置いておくこと。これだけなのです。
 そうしたら、いつの間にかリンゴは丸々あなたに吸収されます。そう、これが知恵の実です。
 こんな偉そうなことを書いていて、脳内ではハリウッドザコシショウが『シンジシンジシンジ、エヴァに乗れ、乗れ乗れ乗れ』と替え歌してる筆者の頭をなんとかしてください。

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