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母ではなくて、親になる(読書感想文)

 赤ちゃんがお腹にやってきてから生まれて1年経つまでの約1年間のエッセイ。

 読んでいる間に、赤ちゃんだった子どもたちが私の顔を見てとんでもなく喜んでくれたことや、食事を何よりも楽しそうにしていたことなど...不思議なことに忘れていたわけではないけれど、心にしまっていた大切な大切な幸せな時間のことがすぐに思い出された。

 我が子は3人とももう成人になっているけれど、それぞれの赤ちゃんの頃の様子は昨日のことの様に思い出すことが出来る。懐かしく愛しい日々に思いを馳せた。

 もちろんそれだけで終わらないのがナオコーラさんで。我が子の性別や性質はその子のプライバシーという考え方や、子どもが育つ中で感じる差別意識に繋がることなど、考えさせられることもたくさんあった。

 私の場合は何かが起きたに小さな違和感を持つくらいで、今考えたら本当に情報や常識などで「汚れていく」我が子たちを胸を傷めながら見ていただけだった気がする。もっともっと自分に出来ることはあったのではないか、と考えたりもする。

 人が一人育っていく過程の面白さと不思議さと、違和感や矛盾に満ちた社会との関係を改めて考える一冊だった。

 そしてヨシタケシンスケさんのイラストがピッタリで最高に愛おしい。
 
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<心に残った言葉(順不同)>

●いじめられても仕方ない理由を持っている子なんて、この世にひとりもいないはずなのに。

●結局のところ、今は今のための時間だと思う。

●私自身、自分の親とのことを考えると、この「好きなときも嫌いなときもある」というのがものすごくしっくりくる。

●子どもが家に帰ってきたら、「そう思っている人もいるけど、そう思わなくてもいいんだ」「どんな言葉遣いをしたって自由なんだ」「男の子もスカートを穿いていいんだよ」「結婚しない人もいるよ」「誰が何に憧れるか、他の人にはわからない」と何度も言ったらどうだろうか。

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