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愛するつもりで奪う人

いつも「心のこと」を記事にしています。

自身が「生きづらさ」を抱えて生き、気が付いて自分と向き合い、
「生きづらさ」を手放したという実感を得た経験をお話しすることが多いです。

両親は揃って過酷な幼少期を過ごした者同士の夫婦です。

二人とも心に大きな傷を持っており、言うなれば、親になれる程の心の成熟度は有りません。

自分の心の傷から目を逸らすことに懸命で、我が子を愛するとか、尊重するなどといったステージに立ってはいないのです。

その様な、親になる準備が整わないまま、親になった人は、

無条件に慕って来る我が子の姿が、無抵抗な完全服従の姿勢に見えてしまいます。

本人は、そんな自覚はありません。

自分は立派な親だと思っています。

我が子を、無抵抗な完全服従の存在と見なしていることに気づきません。

この「無自覚」が子供をとことん傷付けます。

「無自覚」だから、

子供の為を思っていると信じ込みながら、自分のことしか考えられない状態になります。

子供に与えていると信じ込み、子供から奪います。

子供を抱きしめているつもりで、子供にしがみつきます。

子供に愛を注いでいるつもりで、子供に親の自分を愛することを強要します。


なぜ、それ程までに逆になってしまうのでしょうか。

それは、出発点から矛盾が有るからです。

出発点の矛盾とは、
自分の絶対に触れたくない心の傷から目を逸らす為に、我が子を利用している事実を捻じ曲げ、
子供を心底愛している、と自分自身を騙すことで辻褄を合わせているからです。

ここは表現が難しいところなのですが、その辻褄合わせは、意識と無意識の狭間で行なわれることで、

親は無自覚なのですが、心のずっと深い所では、自分が見たくない心の傷から目を逸らす為に子供を利用していることを知っています。

自分の卑劣さ卑怯さを、本当は知っているのです。

幼少期の心の傷から目を逸らす道具として、我が子を利用し、

我が子を利用している卑劣さ卑怯さからも目を逸らす為に、上乗せして我が子を利用します。

その現れ方は、
子供に対して、道徳の教科書の様な正しさを求めたりします。

自分の心の中に有る、卑劣さ卑怯さなどの認めたくないことは、我が子が心の中に秘めていること、として処理します。


この様に、一度利用し始めると歯止めが効かなくなります。

過去の心の傷は子に負わせ、負わせた後ろめたさも子に負わせます。


それ程までに見たくない心の傷は、いったいどんな物なのでしょうか。

それは、

「無価値感」です。

「無価値感」とは「自分には価値が無い」という信念にも似た強烈な思い込みです。

幼少期の
否定的な日常、
尊重されない毎日、
愛されていないという思い、
等によって心には、べったりと「無価値感」が貼り付いてしまったのです。

本来幼少期は、親から肯定的に扱われ、尊重され、愛情を注がれて、「自分には価値が有る」という感覚を育む時期です。

その感覚は、その子が人生を歩む上で、土台とも言える大切な物です。

言わば「有価値感」とも言えるその感覚の原材料は愛情です。


幼少期に圧倒的な「愛情不足」の状態に晒されたとき、
「無価値感」を心に貼り込むことになり、それが心の傷だと言えます。

自然な流れに逆らった様な「愛情不足」の状態は、
幼児的な欲求を、未消化なまま心に残した人を作ります。

幼少期に与えられなかった愛情を生涯に渡って追い求める人は沢山います。

その様な人は、本来親から与えられる筈だった「無償の愛」を誰彼構わず求めがちです。

仲良くなった人、世話をしてくれた人、恋人、
誰彼構わず求めても、応えてくれる人は現れず、人間関係に傷付きます。

親が子に注ぐ様な愛情を求めても、得られる筈が無いのです。


しかし、親になったとき、見つけます。

自分のことを条件無しに、慕って慕って、慕い尽くす存在、

それが我が子です。


かくして、

我が子に与えているつもりで、奪い、
我が子を抱きしめているつもりで、しがみつき、
我が子に愛を注いでいるつもりで、愛することを強要する、

そんな親が出来上がります。


幼少期、

愛されて然るべき時期に、

愛されなかった「無念」は、

その人の生涯に渡って、

深い影を落とします。


そして、

その人が親になり、

「愛情不足」の物語が世代間で連鎖するのです。


先に述べた様に、

子供に愛情を注ぐどころか、

愛情を搾取する親になる原因は、

自らの心の傷から目を逸らすことに有ります。


「生きづらさ」を手放したい、

望む人生を歩みたい、

大切なこの子を愛したい、

そう望むのならば、

心の傷から目を逸らさず、

見つめることから始めてみて下さい。


必ず、光りが見えて来ます。


読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。


NAMIDAサポート協会カウンセラー
伴走者ノゾム

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