超越のトランザム環境メモ【ラッシュデュエル】
本記事の画像はすべて遊戯王ラッシュデュエルの引用となります。
2月10日に発売する新弾「超越のトランザム」。
自分が使用するデッキがまだ定まらず、一つのデッキに特化した考察もしきれないため、新弾環境で強く影響を与えると考えるカード12枚と、特にマッチ戦においてどのようなゲームになっていくかを考察していきます。
今回で環境が大幅に変動すると想定しており、ゲームがより複雑になって従来のデッキ構築の考え方では立ち行かなくなってしまうと考えています。
一方で競技層、特にマッチ戦においてさらに奥深さが増したとも感じており、個人的にはとても楽しみな環境です。ぜひトランザム環境を面白く遊んでもらいたいと思って筆を取りました。
すでに新弾を取り入れたデッキ紹介記事が出ているため、内容が重複しそうな部分についてはリンクを貼らせていただきました。ぜひ併せて読んでいただければと思います。
本記事は、いわゆる私がデッキ選定に当たってどのように「環境を読む」かの過程を公開するものになりますので、自身がデッキを選択し、構築する際の参考にしていただければと思います。
なお、前回に引き続き今回も全文無料の投げ銭制にしています。
多くの方に読んでいただきたいため、拡散含めて応援いただけると嬉しいです。
プライムドワーフ
個人的に最も影響力が高いカード。このカードの強さは大きく3つあります。
戦闘・効果破壊を突破する除去
高性能なフュージョン先
回収手段の多さ
相手のモンスターをフュージョン素材にするという新しい除去手段。光属性限定ですが、条件付きで「ルミナス・パロット」によって属性を書き換えることができるので、基本的に除去できないモンスターはありません。
さらに、フュージョン素材として自身及び自分のモンスターを含める必要がなく、例えばサイバーデッキ対面で相手の「サイバー・ドラゴン」2体で「サイバー・ツインドラゴン」を出す…なんてことも可能になるため、光属性を多用するフュージョンデッキにはかなり脅威になります。
次にフュージョン先を2枚挙げます。
ピアースジャイアントはドワーフ自身とのフュージョン先で、まさかのミラー対面ケアかつ貫通付与内蔵という破格すぎる性能。対してストライニャーは別途モンスターを用意する必要がありますが、ドワーフ自身では越えられないレベル9以上を除去でき、破壊耐性付与までついてきます。
「たしかに脅威だけど、ドワーフさえケアすればいいんでしょ?」
そう思っていた時期が私にもありました。
ドワーフの強さは回収手段の多さにあり、回収手段が多いということは妨害を貫通してくるということになります。
ドワーフをはじめとする光属性モンスターに加え、フュージョンまで回収して1:2交換してきます。発動後の制約は厳しそうなフリをしているだけです。
さらには、
この2枚が「プライム・コール」を回収するため、実質ドワーフが12枚体制になります。
ドワーフの登場によって、競技層におけるデッキ選定で真っ先に「俺(光属性)か俺以外か」を考えなければならず、どのデッキを選ぼうが彼のことが頭から離れなくなります。プール内でのカードパワーを比較しても新弾環境の上位には光属性が主軸となるデッキが多く食い込むことが予想され、対策必須のモンスターとなるでしょう。
ドワーフを最も有効的に使えるデッキとして、上記に挙げたカード全てを無理なく採用できる【プライム】を筆頭に、こと光属性を多用する【ロイヤルデモンズ】【爬虫類】【光ギャラクシー】等でも採用を含めた吸収対策の検討を余儀なくされ、効果を発動するために複数種族を入れて構築が歪められる事象も想定されます。
サンセットリバース
様々な記事等で言われていることですが、原則カードゲームにおいて優勢を作る方法はアドバンテージの差を生み出すことで、ラッシュデュエルはライフポイントによってアドバンテージの無視は多少できるものの、例に漏れずアド差のあるターンが増えればそれだけゲームを有利に進めることができます。
しかし、このゲームは毎ターン手札が5枚になるようにドローできるため、相手とのアド差を生み出すには基本的に場のカードでの創意工夫が必要です。
さらには、リターンの高いカードを出すには相応のリスクとして原則3〜4枚のカードが必要ですが、簡単に除去できない分リソース差を広げやすい状況を作り出すことができます。
話は戻りますが、上記を踏まえてこのカードの評価は大きく3つあると言えます。
ドローフェイズ発動による妨害貫通性
無制限蘇生によるリスクの踏み倒し
破壊耐性付与による不利な択の強要
1つ目は「救惺望御」と同様なので説明は割愛します。裏守備限定ではあるものの、蘇生対象に制限がないのは非常に強力で、フュージョン体を始めとした高性能モンスターを構え、返しのターンに反転召喚して有効活用ができます。
また、魔法罠にも破壊耐性付与ができることによって相手の突破手段を戦闘破壊かバウンス等に狭めることができ、半強制的に罠を踏ませるか、セットカードを除去できずにリソースをそのまま渡させるかの2択を迫ることができます。つまり、
バリューの高いカードを返しのターンに残しやすく、相手にバリューの低い行動を押し付けることができる
と言えるカードです。
後述する良財にも同じことが当てはまりますが、新弾環境は「高バリューカードの押し付け合い」になることが予想され、さらなるカードパワーのインフレが引き起こるでしょう。
「サンセットリバース」を高くパフォーマンスさせる発動タイミングとしては、強力モンスターの蘇生や魔法セットによる捲り性能が上がるゲーム後半で、非常に逆転性能が高いカードです。全デッキにおいてサイドボード及びメイン投入候補筆頭になるカードになるでしょう。
七宝神ー良財
個人的に「サンセットリバース」よりも評価が高く、ドワーフの次に影響力の高いと思っているカード。特徴としては以下の2つです。
破壊耐性付与の持続性と範囲の広さ
1枚から出てくる高い守備力
「サンセットリバース」のリソースを守る強さは同様として、異なる点は破壊耐性付与が1ターンではなく永続効果になるため、良財が居続ける限りバリューを発揮します。
守備による耐久性が高いカードではあるものの、モンスターゾーンが1面埋まってしまうため攻撃の手は緩くなってしまいますが、高打点かつ貫通持ちを横に並べればあまり問題にならず、罠を構え続けることによって前盤面の押しつけがより強固になります。
いざ対面してみるとわかりますが、除去するためにかなりのリソースを割かれるため、突破できたとしても相手に渡す盤面としては脆弱になりやすく、場合によっては詰みになりかねないカードです。
トランザム・プライム・フルアーマーノヴァ
最大9000打点になるフュージョンモンスターですが、
出しやすさ
打点上昇の緩さ
が段違いです。これらの要素、どこかで見覚えが、、
「救惺望御」や槍の規制といった特定メタはされているものの、依然猛威を振るう【ワンダー】の切り札。このアーキタイプがどのように環境に影響を与えたかは記憶に新しいでしょう。
ドワーフの部分でも触れましたが、【プライム】は豊富な墓地回収手段を持っており、対面では彼によるワンキルをいかに防ぐかを常に意識する必要があります。
CAN-St:D
ここから5種ほど、特定テーマの強化について触れていきます。
【サンメロ】のキーカードである「CAN-Melo:D」が裏側カードのバウンス除去に対し、こちらは表側のカードをバウンスでき、かつコストが軽く使い勝手がかなり良いです。上述してきたカードたちをはじめとする破壊耐性付与持ちが増える新弾環境において、バウンス除去は性能が対面に左右されず、手札に戻って返しの相手のドローを減らすこともできる2方向の強さを持っています。
従来の【サイキック】だと「砕光のエスパレイド」「ドリームチケット」「ピース&ロックンロール」といった破壊効果持ちが多かったため、新弾環境に適応する形でアーキタイプを変化させることができ、構築の柔軟性がさらに上がりました。
まだまだ検討の余地はありますが、このカードを最大限活かすなら「CAN:D LIVE」を主軸に置いたフュージョン型も視野に入れて良いかもしれません。
アビスカイト・マッピング
「アビスカイト・ミラクルガールズ」を主軸にした【アビスカイト】において、
事故率の低さ
ステータスを付与するサポートの多さ
それらを回収する手段の豊富さ
がウリではあるものの、有効打点を作る手段が「アビスカイト・パーティ」のみで、攻撃性能に乏しさがありました。
このカードはライフを回復しながらパーティに変換し、かつ「アビスカイト・リーム」で回収できるため、墓地メタが有効になりづらい魔法罠を使い回せるというテーマの強みを活かしながら、足りない弱点を補っています。
対面で4000を超える打点の対処方法は別途考える必要がありますが、毎ターンの出力を大幅に引き上げてくれるカードです。
マシン・インスペクター
新弾でテーマ化する【サイコショッカー】ですが、特に脅威となるのがこのカード。
相手の罠をデッキから落とせる
回収手段持ちによる高速墓地肥やし
によって、このテーマだけではない機械族デッキ全般のパワー底上げが期待できます。特に前者はバックに破壊耐性を付与できるカードが新たに複数追加された分、罠を集めに採用したくなる心理に向かい風を吹かせる性能をしています。
相手のデッキ内の罠の数が減るほど、攻撃時といった自分が行動する際のリスクを減らすことができ、常にワンチャン逆転される不安が脳裏にチラつくレジェンド罠を能動的に墓地へ叩き落とせるので、安全にゲームを運びやすくするためにも複数回の発動が望ましいです。
このカードのおかげで3回以上の発動が現実的になり、相手の罠を打たせずカラにすることも夢ではないかもしれません。
顕現の秘儀
こちらのカードについては、そるさんの「セレブローズ】構築記事冒頭で私が語ることがないほど詳細が書かれているためぜひ読んでいただきたいです。
構築・運用部分も大変有益な情報なので、自身の使用や対面の対策を考えている方は熟読をおすすめします(記事内課金あり)。
ロイヤルデモンズ・キングスリターン
こちらも、スコールさんの記事が参考になるため紹介させてください。
【ロイヤルデモンズ】構築における基本的な考え方などは新弾環境でも通ずる内容だと思うので、併せてご一読ください(記事内課金あり)。
別視点で、このカードと「ロイヤルデモンズ・ヘヴィメタル」による組み合わせは出張性能が高いと感じており、レベル5以上を出しやすいアーキタイプとの相性を模索したいところです。
スナイプストーカー
ギャンブル性能は高いものの、手札を任意の数だけ破壊効果に変換できるカード。バックまで破壊できるのが非常に偉く、前のターンに構えた「レジェンド・ストライク」から、相手の盤面に最大5〜6枚の損失を与えることができます。
繰り返しになりますが、「サンセットリバース」「七宝神ー良財」をはじめとするバック保護カードが流行すると思われるため、どこまで有効的にパフォーマンスするかは未知数ではありますが、「風帝ライザー」と同列で検討すべきレジェンドモンスターだと思います。
フュージョニック・ディフェンス
特定カードを含めた構築であることを条件に、モンスターに戦闘・効果破壊耐性を付与できるカード。バウンスやドワーフで吸われない限り絶対盤面に残せる効果となっており、防御性能は全カード中トップレベルです。盤面に居続けるほど勝利に近づくモンスターを主軸に置いているデッキは、積極的に採用できる構築を検討したいです。
翻弄するエルフの剣士
最後にこのカード。一見すると心許なさを感じますが、縦で構えると、
下級:対効果モンスターは基本無敵
中級:召喚と攻撃を強要
上級:戦闘耐性付与
といったように戦闘においては突破手段が狭いです。守備だと相手の1300ラインで超えられてしまうため、基本的に縦で構えることを推奨します。さらに複数対の展開および「サンセットリバース」をはじめとする防御性能の高い罠との併用で真価を発揮します。下級モンスターで3投できるモンスターの中では、防御面において非常に評価の高いモンスターです。
総合的評価と所感
今回の新規は守り性能が高い汎用カードが多い印象を持ちました。その分ライフが減るスピードが遅く、ゲームが長引きやすくなると予想され、毎ターンの出力を高く出せるようなデッキ選定と構築力、相手の隙を見極めて一気に攻めていける判断力がより一層必要になると考えています。
攻めにおいては攻撃力の過剰付与や除去手段の多様化、複数除去持ちなどキラリと光る性能を持ったカードが多いです。
これらによって、テーマごとに強力なカードが与えられ、様々なアーキタイプが環境上位になる可能性が広がりました。一方で、それぞれ明確に弱点となるカードが存在し、サイドデッキでしっかりと対策されやすいです。
さらに、使用率の高いテーマ数が増えて群雄割拠になればなるほど、サイドデッキの採用候補が増え、使用デッキの弱点となるテーマを見極めた適切なサイドボード選定が必要となるでしょう。
これらの情報を踏まえた上で、ここから先は各デッキにおけるゲームプラン立案に対して、各対面における対策を両立させる採用カードとプレイングの繊細な調整の繰り返しとなります。
本記事で書くのはここまでとなりますが、私がカードゲームにおいて新規カードをどのように評価し、相対的にどのように環境を考察するかのプロセスを言語化してみました。新弾環境を取り巻く状況を理解し、勝つためにどのようにゲームを組み立てていくかを考える面白さを少しでも伝わっていれば幸いです。
最後に
東京神奈川を開催地として、「コズミック杯」というラッシュデュエルの非公認大会を運営・開催しています。
現在不定期開催ですが、少し先に開催を予定しておりますので、Xアカウントにて続報をお待ちください。
僭越ながら、描き下ろしをさせていただいたイラストのプレイマットを景品として用意しています。
たくさんの参加、お待ちしています!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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