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【第19回】「人事異動」に救われることもある

相性の悪い上司の下で仕事をするほど、組織人としてつらいことはありません。

来る日も来る日も、それこそ朝から晩まで、時に到底承服しかねる業務を、黙々とこなさなければならないのです。

これはもう理屈抜きに「きつい」ことです。でも、部下は上司を選ぶことができません。

まして人事権を有する上司であれば、部下をいかようにでも評価することができます。

「給料下がってもいいから、違う部署に変えてくれ!」内心悲鳴を上げたことのある方もいるのではないかと思います。

この場合、部下として考えるべきは、実に月並みですが、まずは「人事異動を待つ」ことです。

以前勤めた会社で赴任先の上司とまったく合わず、その上の責任者に「直訴」したことがあります。

責任者は少し驚いたようでしたが(当時そんなことを言い出す「我がまま?」な社員はあまりいなかったようです)、希望通りに部署内異動が実現しました。

その瞬間は「めでたし、めでたし!」です。何といっても、「生き地獄」のような環境(あくまでも当時の感想です)から脱出できたのですから。

ところが、しばらくすると責任者から「あいつは自分の都合が悪くなると平気で上に言いつける、危ないやつだ」的なレッテルを貼られてしまいます。

「無言の威圧感」を肌に感じながらの日々でしたが、ほかになす術もなく、「しばし我慢」を決め込みました。

業務内容も雑用に近い仕事ばかりがあてがわれて(雑用も大切な仕事なのですが)、やる気は落ちていく一方です。

「ずっとここにいると決まった訳でもないし、また転機が訪れるはずだ」落ち込む自分にそう言い聞かせる毎日でした。

すると再び人事異動があり、幸運にも他部門へ移ることが決まったのです(ひょっとすると、責任者の意向で追い出されたのかもしれません)。

後日談ですが、その責任者も間もなく他部門に異動となってしまいました。

しかも、新たに昇格した責任者は比較的相性がよかったので、異動しなくても「結果オーライ」だった訳です。

会社が組織で構成されている以上、人事異動は必ずあります。ただ、それがいつあるかは誰にも分かりません。

でも、「場替え」は間違いなくあります。「自分が先」か「相性の悪い上司が先」か、だけの問題です。

組織に属する限り「人事異動を待つ」という考え方は、そういう意味では「理にかなっている」とも言えます(もちろん、メンタル的に許容できる範囲内での話ですが……)。
 
         次回につづく(毎週火曜日に投稿予定)

(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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