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2019年 91冊目『正しく生きるとはどういうことか』


西條剛央さんの師匠の池田清彦さんの著書です。

とても良い本でした。

お薦めです。

2部構成の本です。

1部は善く生きるとはどういうことか。

2部は正しく生きるとはどういうことか。

・善く生きるとは、あなたの欲望を最も上手に解放する事

・動物にとって善い生涯とは、まずちゃんとした親になること

・多くの動物にとって、自分の親こそは望み得る最良の範例

・親が経験しなかった新しい経験は、ほとんどの場合個体にとって善いことではない

・人間は動物の一種だが、行動のフレキシビリティの高さが、人間を特殊な動物にしている

・人間が善く生きるには、2種類の欲望を調和させ、結果的に最も上手に欲望を解放すること

・1つは、(人間が定めた)規範を守り、日常生活や人生の目標の中に楽しみを見出して生きる

・1つは、規範からの逸脱。すなわちエクスタシーを感じる事に楽しみを見出す事

→エクスタシーを感じるには強い規範が必要

・規範は恣意的でありフィクション(仮講)である

・規範はフィクションだとわきまえて、自分が納得した規範に従って生きるという心構えから善く生きるは生まれる

・ルール(規範)は他人と対称的

→あなたがするならば、相手からもされる

→対人関係の行動規範は、自分の都合だけ決められず、試行錯誤から構築するしかない

・会社の規範や学校の規範に、あまりにもぴったり合わせないことが大事

→いつか卒業するので、組織を離れた時に、自信の行動規範を建て直すことが困難になる

・個人の規範に多様性が無かったころ(生まれた時からいろいろ決まっている)は、ある意味幸せであった

・資本主義における欲望は、他人に差異をつけること、他人との差異を埋めることに収れんする

・身分社会では、身分が違う人を嫉妬することは無かった

・現在は資本主義と科学技術の時代で(普遍的に)新しい事を産み出す事が重要

・社会にとって新しい経験こそが、個人にとっても素晴らしい経験に違いないという錯覚が蔓延する

→個人の生活を律する規範が、日常的な繰り返しにあるとすると、これは破壊する方向に働く

・身分社会では、自分の規範を作ると、村八分になったり処分される

・現代社会では、自分固有の規範を作らなければ、善く生きることは難しい

→学校システム、会社システムでの能力のある人は、その中で幸せに暮らせるが

・自分固有の規範は次の3つ

1.日常生活を律する規範

2.人生の目的や目標を決める規範

3.他人との関係をどう構築するかという規範

→他人にあなたの規範を(説明なしに)押し付けるのは傲慢である

・道徳であっても、それは自分が選んだ規範であり、それを法律や道徳であるという理由だけで、それに従わなければならない根拠はない

→もちろん、罰則などはあるかもしれないが

・セックスは運動か労働であって、恋愛は病気である。

・基本はあなたが勝手に考えれば良い

・善く生きるは、個人1人の問題であり、正しく生きるは、他人との関係性の問題

・他人が、自分とは異なる規範を選ぶことがある。他人の選んだ規範は、自分が選んだ規範と原理的には等価。

・まず、これを承認する事が、正しく生きる事の第一歩。→承認ファースト

・両者の齟齬をどう調整するのかは、次の問題。

・個人的な規範を調整する一般的(理想的)な方法があるのかは、第三の問題

・正しくないとは、恣意的なダブルスタンダードなこと

・平等というフィクション

・かつて同一性の枠は小さかった

→女性、奴隷、異人種・・・と広がってきた

・受精卵、初期胚、子供、脳死者・・・・はどう考える

・正義とは、個人の自由を最大限確保した上で、人間は平等というフィクションに近づくには、どのような制度を構築すべきかという問題

・不正義でないとは、平等な個人間で、規範の対称性が守られること

・現実世界で、完璧な原則平等種や完璧な結果平等主義はない

→2つを適当に折衷したもの

・自由で平等な社会では、人はできる得る限り自由に生きる権利がある

・自分のやりたいことはやり、やりたくないことはやらない自由がある

→社会が安定に機能するならば、規範を作る必要はない

・人は他人の恣意性の権利を損害しない限り、何をしても自由である

・ただし、恣意性の権利は能動的なものに限る

→受動的な権利(他人にやさしくされる、愛されるなど)は無い

・子供は社会的規範を理解するまでの初等教育はいかないといけない

→原則として平等だけれども、現実には平等ではあり得ない

・他人の恣意性の権利を侵害した行為は処罰されるべき→法

・所有とは、人と人の間のモノをめぐる排除関係

1.自分の努力(労働など)によって手に入れた無生物は自分のものである

2.1に労働や財を注ぎ込んで加工した結果物は所有物

3.労働と交換して手に入れた財は所有物

4.自由な取引によって得た財は所有物

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