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2023年 15冊目『あしあと』

『あしあと』はイオンの創業家の一人小嶋千鶴子さんが、イオングループ社員に書いた本です。

非売品で、中尾はきっと気に入ると言われ、入手しました。





新入社員には必読になっていたそうです。


しかし、その内容は、経営書だなって感じです。


経営者やリーダーこそ手に取るべき本ですね。

50年前に、経営人事や戦略人事を実現していたのです。

驚きです。

そして、ご自身に私心がない。

それが本から伝わってきます。

※だからでしょうか?イオンの方と仕事をした際に、絶対に接待を受けなかったのです。

色々な流通と仕事しましたが、全く接待を拒否されたのはイオンさんだけでした。

父が残してくれたもの

→6代目の呉服屋、大正15年に株式会社に改組

→複式簿記、貸借対照表→決算、棚卸、利益配分をこれに則って実施


→昇給制度、昇格制度、持ち株制度、就業規則、給与規定、インセンティブ制度まであった

※この時代にこれら驚きですよね

近江商人の系譜

→近江の国の蒲生氏郷が楽市を始めた

→氏郷が伊勢→福島に転勤

→近江商人が付いていった

→氏郷が亡くなり、行商

→組織販売、しかもバイヤーに留まらずマーチャンダイザー

→同郷人で株仲間(共同出資)→開発、不動産業、漁場・・・

→昭和34年岡田屋がスーパーを始める時に学んだのが仁科商店(魚を一切れずつ販売)

→三井高利は、一物一価で誰でも同じ値段で販売

公私の区別

→勘定帳に番頭、手代の署名(公認の手続き)

先人の教訓

→戦後の収束(ドイツのハイパーインフレ)→新旧円切り替えの際に現金を商品に

アメリカのチェーンストアに学ぶ

→ロビンソン・バットマン法(チェーンストア死刑法案)→消費者の声が勝って廃案

ショッピングセンター

→チェーンストア米国百年史→ショッピングセンター(同業が同じ館に)

セルフサービス

→比較的未熟練な労働力でも運営可能

①新卒、②他産業からの転職者、③職業婦人

大卒の大量採用

→昭和40年代から

→規模が大きくなるとマネジメントの問題

女子社員の戦力化

→男女の能力差は無いが需給関係から優秀な女子大学生が採用できる

→しかし家庭までの腰掛も多い

→色々な組み合わせが良い

→定期的な異動も良い

パートの活用

→生活向上、教育費のためにという家庭婦人を大量に受け入れ

→安価で良質な労働力→安価な商品→消費者への利益還元

→スーパーで働くことで、食や電化製品の知識を習得

夢の実現はイメージ

→会社成長の理論、成功の法則→イメージを描く重要性

→企業が成長すると年金制度、保険制度が整備できる

合併は人心の一致と融合

→企業を動かすのは人、高いモラールに支えられた企業は強い

→3社を1つにするには生半可なエネルギーでは不可能

→徹底した機会均等と公正の原則を貫く←組織制度委員会が担った

能力のモノサシを作る

→能力を見える化し、能力開発の制度を整備

→ジャスコ大学設立→現在のイオン・ビジネススクール

安易な妥協は許さない

→2つの労働組合も1つに

→現場の職人にも情報を提供し、辛抱強く説明し、専門職に

知識は可能性

→ある段階まではペーパーテスト(知識)で昇格

→集合研修への参加する、しない部署は業績が相関

見えざる資産の充実

→資産は蓄積可能

→資産は効率を追求する

→見えざる資産(知識、技術、人脈)の蓄積を強化する

 人材、信用、技術、組織風土

経営者育成プログラム

→永続的な成長のためには経営者養成

→層の厚みが必要

経営者の能力条件

1 客観的判断力

2 主観的判断力

3 リーダーシップ

※中尾のいう現状把握、解釈、介入に類似

起業のバランス感覚

→矛盾の中でバランスを取る(←アウフヘーベン)

企業の発展力は人

→良き風土を作り、維持、浸透≒社会に貢献、誇りを持って働ける

・変革を予見できる人材

・変革を許容できる人材

・変革に積極的に対応できる人材

→システムを作る人材は、保守本能と戦う必要がある

→中枢部に保守的な人材を入れない(保守≠経験)

創業か守成か

→どちらが難しいか。どちらも。タイミングで必要な人材が異なる。

部下を信頼する

→1~10まで見ると、現場はものを言わなくなる

人材の見分け方

→人材:部下の登用抜擢

→財産:財産の使い方

→学び方:意見を聞く

得手とするところを把握する

→人は得意な事をやれば、黙って働く

人の長所をどう引き出すか

→酒癖の悪い大工→長屋の修繕を無料で(金は俺が払う)→評判が良くなって働き者に

やり方を考え、人を生かす

→精神薄弱児→前の坂で困っている人がいたら押す(駄賃は俺が払う)→評判が良くなって働き口→店を出す

ものの考え方の三原則

1 長期と短期の考えが違う場合は長期を選ぶ

2 根源的と表面的の考えが違う場合は根源的を選ぶ

3 多面的と一面的の考えが違う場合は多面的を選ぶ

三つの適合

1 環境適合:企業環境

2 資源適合:経営資源

3 組織適合:企業組織といいう人間集団

→人の長所は、実戦で分かる。長所だけ見れば良くて、短所を知る必要は無い(荻生徂徠)

→組織のコミュニケーションの手段が形骸化すると衰退(悪い兆しが上がらなくなる)

虚構性という性格

→真実を真実として伝えない人をトップは重用する傾向がある

→切れ者に多い(他責性が高い)

先見性と機敏性

→人事は先見性は必要で、必要になれば機敏性が必要(←こんな人事がいれば強い)

トップとスタッフの関係

→トップは大胆な中に細心さを具備している人が良い

→用心深さに欠けた人間は危険

→ゼネラルスタッフに人材を惜しんではならない

不正には峻、失敗には寛

→不正に寛容になると成功しない

→失敗は教育のチャンス

→目的の共有ができると、結果はおのずと目標どおりになる

商業後継者を受入れる

→のべ500人の商業後継者を受入れた

その時伝えた事

・まずビジョン

・生業としての小売業(家業の段階)

・家業から企業への転換

・企業における経営者の責任

・店とお客さまとの暗黙の契約

・将来設計

・社会の変化をどうとらえるか

・企業発展の諸相

・企業から産業へ

・商いは公のことというけじめ

・ルールの確立と明示

・立地は常に変化する

・商品とともに売り方も変わる

・新日本人の時代

・社員は一番の情報源

面談五則

1 面談者は素直に相手の話を聞く

2 権威をかさにきる態度はいけない

3 忠告や訓戒はいけない

4 議論はいけない

5 こちらから話をしたり質問をするのは次の場合に限る

①相手を話しやすくさせる場合

②気まずい思いや恐怖、心配を緩和させる場合

③正しく伝えてくれたことを感謝する場合

④省略したり無視した話題に話を戻す時

⑤他人に迷惑がかかることを恐れて隠している事を引き出す場合

最後のインタビューも秀逸です

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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