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2018年 50冊目『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える 』

先日TTPS勉強会の講師として参加いただいた小森谷浩志さんの著書です。

小森谷さんは先日読んだミンツバーグの考え方をベースにした『週イチ・30分の習慣でよみがえる職場』の著書でもあります。

従業員を幸せにする企業しか生き残れないということを、最新の幸福学の研究とホワイト企業の先進的な取組事例で説明してくれています。

私自身、リクルート時代からすべてのステークホルダーの満足→幸せ を5S(Satisfaction)と表現し、それを標榜しマネジメントしてきましたので、とても納得性が高いです。

そもそもミンツバーグの考え方が好きなので、根底に流れている思想が類似でもあります。

さて幸福学から

幸せは何から持たされるのか

・幸せは、短期スパンの幸せ、長期スパンの幸せに分類できる

・2005年ダニエル・ネトルの論文:地位財と非地位財

・地位財:カネ、モノ、社会的地位:周囲との比較→短期スパンの幸せに寄与

・非地位材:心、安全、健康:周囲との比較でない→長期スパンの幸せに寄与

・ダニエル・カーネマンは短期スパンの幸せをフォーカシング・イリュージョンと表現

→感情的幸福は、所得に比例して増加するが年収900万円で頭打ち(ただし労働者の2,3%)

幸福をもたらす4つの因子

・やってみよう因子:自己実現と成長の因子

・ありがとう因子:つながりと感謝の因子

・なんとかなる因子:前向きと楽観の因子

・あるのまま因子:独立と自分らしさの因子

→私は、組織の離職率を下げるには、メンバーの成長感と貢献感が大事で、「感」が大事だと言っています。

 同じく、リーダは品性と前向きな態度が大事だと言っています。

 また、組織にはダイバーシティだけではなく、インクルージョン(その人がその人らしく居られる)と言っています。

 どれも幸福学に合っているようです。

幸福度と従業員

・幸福度の高い社員ほど、創造性が高く、仕事の効率も高く、求められた以上の働きやソーシャルサポート(同僚の支援)を惜しまない。

・欠勤率や離職率は低く、上司や顧客から高い評価を受ける傾向がある。(外国のデータ)

→まさにそうだと思います!

ホワイト企業の3つの因子

・いきいき

・のびのび

・すくすく

後半はホワイト企業に認定された具体的な会社の物語が載っています。

・西精工(徳島):社員の幸せを追求した大家族主義的経営で、人生最後の日まで出社したいと思われる会社に

・ぜんち共済(千代田区):社長はいてもいなくても同じと言われるほどのオープンでフラットな風通し経営

・アップライジング(宇都宮):人の成長がなによりうれしい 会社は家族に誇れる人間力大学校

そして

TTPS勉強会に何度も参加頂いている

・ダイヤモンドメディア(港区):人が本来持つ力を引き出す 上司も部下も理念もないホラクラシー経営

私もかつて記事にしたことがあります。

続いて小森谷さんの経営学についてのレクチャーがあります。

1911年のテーラーの科学的管理法:経済人

30年代のメイヨーのホーソン実験(社会的動機、人間関係で動く):社会人

 モラール(集団の勤労意欲)

 モチベーション(個人の勤労意欲)

 マズローの欲求段階説:自己実現人

50年代

マクレガーのX理論(なまけものだからアメとムチ)、Y理論(自己コントロールできるから尊重)

 バーナードの近代組織論

 サイモンの経営人モデル

 シャインの複雑人モデル

 人的資源管理(ヒトモノカネチエ)

60年代

 チャンドラー:組織構造は戦略に従う

 アンゾフ:有名なマトリクス

80年代

 ポータ:戦略論

00年代

 人は資源→存在に

  コスト→資源→存在

経営学が生んだ3つの病

・手法病(手法が目的化する)

・計画病(計画が目的化する。ミンツバーグがポーターの間違いを指摘)

・分離病(個別最適になりがち)

最後は、ホワイト企業へのなり方が載っています

情報が多岐にわたっていて、各パーツだけでも面白い本です。

▼前回のブックレビューです。


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