2016年78冊目『新産業構造ビジョン 第4次産業革命をリードする日本の戦略』
※2016年にFBに投稿されたブックレビューです。
経済産業省の本です。
これからの日本をどうするのか識者とまとめた本です。
各章のポイントを書いておきます。
1:新たな成長エンジンを求めるグローバル経済
・本格的な人口減少経済に投入し停滞フェイズになるが、新たな成長フェイズに移行するために
①供給面:イノベーションによる生産性革命を通じた潜在成長率の向上
②需要面:イノベーションの成果を新製品・サービスとし、潜在需要の掘り起こしが重要。
・平成27年6月30日閣議決定
IOT,BD,AI,ロボットがもたらす変革の姿や時期、ビジネスチャンスの可能性、官民の対応を時間軸を明確にして検討する。
2:今、何がおこっているのか 第4次産業革命のインパクト
・IOT,BD,AI,ロボットにより、データ量が増加し、処理能力が向上し、非連続の進化が見込まれる。
①大量・画一からカスタマイズ(個別医療、個別教育など)
②眠る資産をコストゼロでマッチング(Uber,ABBなど)
③人間の役割のサポート、代替(自動走行、ドローン施工管理、配送など)
④製品、モノのサービス化(売り切りから保全サービスなど)
・産業革命
1次:蒸気機関 2次:電力・モーター 3次:コンピュータ 4次:大量データを人工知能が処理
・共通基盤技術(IOT,AI,ロボット)×各種技術×各種データの組合せで新サービスができる
・グローバルプレイヤーの動き
ネットからリアル:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル
リアルからネット:GE,シーメンス、ボッシュ、IBM,インテル
・日本の事例
ロボットタクシー、ALSOK,セコム、エクスメディオ(AIが医師のサポート)
セーレン(カスタマイズ製品を安価に)、テルモ(健康サービス)、スタディサプリ(アダブティブラーニング)
3:第4次産業革命による新たな成長と産業構造・就業構造の変革
日本は輸出依存率18%(世界平均は32%)なので輸出はブルーオーシャン
日本は課題先進国(少子高齢化)なので解決できれば輸出できる
・有望分野
①ものづくり革新・流通・小売
第二回官民対話による総理指示:早ければ3年以内に、ドローンを使った荷物配送を可能に
②スマート保安
③自動走行・モビリティ
隊列走行の実現ン完全自動走行
第二回官民対話による総理指示:20年のオリンピックでできるように
17年までに実証
④金融
⑤医療・健康・介護
第二回官民対話による総理指示:3年以内にAIを活用した医療健康
支援システムの活用
⑥スマートハウス・スマートコミュニティ・エネルギー
第三回官民対話による総理指示:節電エネルギーを売買できる市場を
17年までに創設
⑦教育
⑧農業
第四回官民対話による総理指示:18年までに農機の自動走行、
20年前に無人監視を実現
⑨メディア・コンテンツ
・変化の方向性
①顧客の真のニーズに対応して、新バリューチェーン、産業群が出現
②様々な大量データを活用できる部門が成長。
・就業構造の変化
①上流工程(経企、商品企画、マーケ、RD)は新ビジネスの台頭で増加
②製造、調達は無人化、自動化で減少
③営業、販売は付加価値の高い業務は増加、低い業務は減少
④サービスも営業、販売と同様
⑤IT関連、様々な仕事が増加
⑥バックオフィスは減少
・様々なシミュレーション:2030年まで
現状放置:実質GDP+0.8%、賃金上昇+2.2%、GDP624兆円
変革実施:実質GDP+2.0%、賃金上昇+3.7%、GDP846兆円
4:第4次産業革命をリードする我が国の基本戦略
・現状
バーチャルデータの利活用に加えてリアルデータの利活用と言う第二幕に変化
・2つのシナリオ:日本は今分かれ目
・産業・雇用の縦割りを温存し現状放置し、海外が作ったPFを活用し下請け化
・産業・雇用の転換・流動化を行い、自ら市場をつくっていく
・戦略領域の基本的アプローチ
①長期的な将来像(社会、技術、産業、雇用)を官民で共有
②具体的な目標を中期的な期限を定めて設定
③目標を実現するためのロードマップを作り、短期具体改革を実施
-方向が見えてきた課題は解決に着手
-見えてこないものは、この指とまれスタイルでやってみる
・日本の強み
現場、生産設備群、質の高い消費者 など
・日本の弱み
組織の壁、自前主義、レガシーの存在、意思決定スピード、戦略的思考欠如、前例主義
5:未来向けた経済社会システムの再設計7つの対応方針と具体的な戦略
①データ利活用促進に向けた環境整備
スマート向上/産業保安/自動走行地図/健康・医療/流通/リサイクルなどのデータ基盤整備
個人データの利活用のための法律、ルール整備
セキュリティ技術、人材を生みだすエコシステム構築
知財の在り方整備
競争ルールの整備
②人材育成・獲得、雇用システムの柔軟性向上
教育システムの構築
グローバル人材の獲得、多様な労働参画の促進
労働市場・雇用制度の柔軟性向上
③イノベーション・技術開発の加速化
オープン・イノベーションシステムの構築
グローバルトップ水準のイノベーション拠点の整備
世界をリードする国家プロジェクト構築
知財マネジメントや国際標準化の戦略的推進
④ファイナンス機能の強化
リスクマネー供給に向けたエクイティファイナンス強化
無形投資資産の活性化
Fintech
⑤産業構造・就業構造転換の円滑化(迅速な意思決定促進)
ガバナンス体制の構築
制度環境整備
⑥中小企業、地域経済への波及
IOT導入、利活用基盤構築
⑦経済社会システムの高度化
規制改革
データを活用した行政サービスの向上
グローバル展開の強化
社会への浸透
参考資料1 国内外の先進事例:グーグル、アマゾン・・・
リクルートマーケティングパートナーズのスタディサプリ・・・
参考資料2 日本の強み、弱みに関するデータ
強み:ロボット、センサデバイス、通信インフラ、電子マネー、スパコン開発、自動車
弱み:モバイルOS、DCコスト、AI研究、ソフトウエア輸出、基礎科学、データ活用人材、3Dプリンター、規制、事業再編、情報システム
▼前回のブックレビューです。
▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。
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