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2024年 41冊目『わかりあえないことから』

コミュニケーションとは何かを考えるきっかけになる両書です。

冒頭、日本企業の採用のダブルバインドについて触れています。

異文化理解能力を求める一方で忖度を求める矛盾です。

こんなの両立できないですよねという問題提起から始まります。

次に、学校教育の問題について触れます。

こどもたちのコミュニケーション能力は低下していない。

しかし、社会の要求するコミュニケーション能力は、それを上回る勢いで高まっていて、教育のプログラムはそれについていっていない。

伝える技術の前に、伝えたいという気持ちが必要で、それは「伝わらない」という経験からしか来ない。

今の子供たちは、この「伝わらない」という経験が圧倒的に不足している。

⇒障碍者施設や高齢者施設を訪問したらできるが予算が限られている

⇒演劇的授業の役割

産業構造が変化して、サービス業が中心になり、求められるコミュニケーション能力が高まり、それが劣っている人は就職の選択肢も極めて狭くなっている

ただし、必要なコミュニケーション能力は、ぺらぺらとしゃべれるようになる必要は無い。

こうだと勘違いしている人が多い。

きちんと自己紹介ができて、必要に応じて大きな声を出せる

この程度のことでいい

これを教えるすべはある

但し慣れのレベルの問題がある

大学に入るまで、親と教員以外の大人とほとんど話をしたことがない

母親以外の年上の異性とほとんど話をしたことが無い

という学生が一定するいるそうなのです

彼らに慣れる機会を与えれば問題は小さくなる

平田オリザさんは、中学国語の教材に戯曲を書くのを頼まれました

3分ほどのスキットは

朝の学校の教室で、わいわい騒いでいるところに先生が転校生を連れてきます

転校生の紹介と質問、そして先生が職員室に戻り、その後の会話という話です

1時限目は、6人程度の班ごとに役割を決める

2時限目は、台本を考えてもらう

3時限目は、発表

この間、教師は何も教えない

その教えないことに先生たちは違和感を持つそう

この授業の出席率は異様に高いそうです

⇒いま日本では国語の授業を成立させるだけでも大変な学校がいくつもあるそうなのです

日本の教育は短期記憶に偏っているが、長期記憶も重要

つまりたくさん覚える、早く覚えるに加えてよく覚えるが重要だということ

そのためには、体験が重要(教室ではなく、星空で見た星座の方が覚えられる)

この後、演劇を使って学ぶ可能性について触れています

読み応えありますね

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。

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