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星のように。

2021年9月20日(月・祝)

三連休の最終日。
前日の夜にあった会話は夢だったのだろうか。
そう思うほどに、あっさりとした朝だった。

この日は朝から宅配便が届いた。

依頼主は長野の農場へ住み込みで働きに行っている友達だった。
先日会いに来てくれた親友が状況を伝えてくれていたようで、それを聞いて気を利かせて新鮮な野菜を送ってくれたのだ。

妻の似顔絵を添えた手紙も同封してくれた。

スムージー作りを継続していたので、この立派なケールには興奮した。
ケールを食べる人は分かると思うが、この青々しさと力強さを両立しているものはなかなかスーパーでは出会えない。

と、届いた野菜の中からケールを取り出して暑苦しくレビューをしている私を妻はやさしく見ていた。

早速グリーンスムージーを作って、妻とお義母さんと3人で一緒に飲むことにした。

このフリルの力強さは芸術的だった。

美味しい。
ケール・キウイ・バナナ・パイナップル・水・氷。
シンプルだがこのレシピが一番好きだ。

妻もベッドで起き上がって飲んでくれた。
体力と共に食欲が弱まっていたが、美味しい。と大事そうに飲んでくれた。

友達がはたらく農場で採れたかっこいいケールで作るスムージーは格別だったし、この一連の体験を出来たことが何より幸せなことだった。




午後は私の友達であるKが遊びに来てくれた。
高校時代の部活の後輩で、狭く暗い部室棟で楽器を掻き鳴らす青春を共にした仲間だ。
社会人になってお互いにバンド活動を辞めてからも定期的に付き合ってくれていて、私はKに闘病の状況を定期的に伝えていた。
妻とも何度か会っていたので、挨拶に来てくれくれることになった。

Kが高校時代にたこ焼き屋でバイトをしていたということもあり、妻から「Kのたこ焼きを食べてみたい!」というオーダーをもらっていた。

たこ焼き用の楊枝を買いつつ、駅へ迎えに行った。

Kとは妻の闘病が始まってからも何度か遊んでいたので、そんなに久々な感じはしなかった。
が、状況の変化速度は変わっていたので、Kから見た私には変化が見られたかもしれない。

家に着き、早速たこ焼きを作ってもらう。
BGVはNUMBER GIRLのライブ盤。
バリヤバと口ずさみながらたこ焼きを見守る。


くるくると手際良く美味しいたこ焼きを作ってくれた。

作ってもらったたこ焼きをオタフクソースとマヨネーズで美味しく食べた。

当日までたこ焼きを食べられる体調か分からなかったが、結果的には食べられてよかった。
当日の体調もそうだが、がんの進行でそれ以降は恒久的に食べられないという可能性もあった。
そんな中で食べたいものをリクエストした妻の気持ちに応えたかった。
(私自身はホットプレートと皿の準備をしただけ。)




こうして、当たり前ではないひとつひとつ噛み締めたい幸せを享受しながら三連休は終わった。

Kとはもう一年半以上会えていないが元気にしているだろうか。
時間が過ぎて季節はくるくる回る。
その時々で近付いたり離れたりする。
自らを星の一つに見立ててれば、しっくりくる。

今はタイミングではないのかもしれないが、私はKに感謝し続けているので、またいずれ近付く日が来たら嬉しい。
重いかもしれないけど、そう思っている。

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