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『父の化石頭』が「坊っちゃん文学賞よみ芝居」として舞台化されます。

第18回坊っちゃん文学賞で佳作を頂いた拙作『父の化石頭』がこの度、
「坊っちゃん文学賞よみ芝居2024」8月公演にて舞台化されることとなりました。

「よみ芝居」とは?

小説本文を一言一句変えることなく朗読と台詞によって構成・演出された舞台劇のことです。

舞台用の脚本として書かれたものではない小説(ショートショート)を一切の修正を加えずに原文そのままを劇として演じるというのは色々と制約も多く、難しい表現方法だと思います。

脚本のト書きと違い、読みものである小説の情景描写は修飾された長文であることが多く、会話文も台詞のように俳優が発声する前提で書かれてはいないため、音として聞いても即座に理解しづらい語句が用いられていたりもします。

以上のような制約と困難がありながらも、あえて一言一句を変更することなく、創意と工夫あふれる斬新な演出によって「まるっと」演劇化することを試みられている『舞台芸術倶楽部「ごそく楼」』の皆様に作品を演じて頂くことは、原作者と致しまして大変光栄で、感激の極みです。

『父の化石頭』という作品について

『父の化石頭』というお話は新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっていた2020年の夏に執筆したものでした。

緊急事態宣言が発令され、街から人が消え、従来の社会生活が大きな変更を迫られる中、「ソーシャルディスタンス」の名の下に私達は口元をマスクで覆い、一定の距離をとって人と接することを余儀なくされました。
それは同時に人と人との心理的距離を見直す機会ともなりました。
私も含めて多くの人々が、普段何気なく接していた友人や家族とも半ば強制的に物理的距離を隔てられたことで、お互いの気持ちがより近づくこともあれば、逆に離れてしまうこともあったのではないかと思います。

そういった先の見えない不安のさなかにあって、もう一度、人間関係の始まりにして最小単位ともいえる「家族」というものをじっくりと見つめ直してみたい。
そう思ったことがこのお話を書いたそもそものきっかけであった気がします。

このショートショートに出てくる家族(父と娘)は実に不器用です。
しかし、その反発しあいながらも互いを思いやる関係性こそが家族というものの一つの姿であり、何気ない日常の言葉のやり取りこそが、掛け替えのない愛しき人生であるということに私自身、このお話を書きながら改めて気づいたのかもしれません。

「かもしれません」というとなんだか他人事のようで恐縮ですが、私の場合、
お話を書いているときは頭から出てきたイメージを追って書くことに精一杯で、
それが一体どういう意図で書かれたものなのか自分でもよくわかっていなかったりします。
書いた後になって改めて読み返してみると、作中に現れた事物や人物に対して
「ああ、これはつまりそういう意味なのかも……」などと気づくことがよくあるのです。
……と、作者自身もよくわかっておりませんので、この作品の解釈はお読み頂いた方それぞれの数だけあるということで……。

このお話を舞台化するにあたって、素人の勝手な目線ではありますが、
最も難しいのは、父親の頭の上で小人の発掘隊が化石を掘り起こす場面を
舞台という制約のある空間でどう表現するかではないかと思います。

マクロ的視点で展開する家族の日常と同時進行するミクロ的視点での父の化石頭発掘作業という2つの場面をどういった演出で見せて(魅せて)頂けるのか……。

今からとても楽しみにしております。

観劇のご案内

観劇チケットのご予約は下記の予約フォームからお願い致します。

https://forms.gle/qnPnGyeXWdsCFxvCA

各回200名様。
前売り:一般2,000円・高校生以下1,000円
当日 :一般2,500円・高校生以下1,500円 
※前売り券は当日券に比べて500円割引になります。

公演日程は以下の通りです。
8月3日(土曜日)18:00開演
8月4日(日曜日)11:00開演・15:00開演

会場は松山市総合福祉センター1階 大会議室(松山市若草町8-2)です。

拙作の他に『ドリームダイバー』(第17回大賞受賞作)と『空色ネイル』(第19回佳作受賞作)の2作品が上演されます。こちらもどのような「よみ芝居」となるのか、とても楽しみです。

観劇前に原作をチェック!

今回舞台化される3作品の原文を読んでみたいという方は
下記のリンク先(松山市ホームページ)からPDF形式にてお読み頂けます。

『ドリームダイバー』
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/kotoba/bocchan.files/17th-01-dream.pdf

『父の化石頭』
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/kotoba/bocchan.files/18th-04-chichikaseki.pdf

『空色ネイル』
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/kotoba/bocchan.files/19th-03-sorairo.pdf

過去に上演された「坊っちゃん文学賞よみ芝居」をご覧になりたい方は
下記YouTubeチャンネルから!

https://m.youtube.com/@engeki.office59

ご興味を抱かれた方は是非ともよろしくお願い致します。


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