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バカみたいにはしゃいで

おんがく.4

鴨川/前野健太


前野健太のことはなにも知らない。他の曲も知らない。このMVの踊りはクセになる。踊っているav女優のことも知らない。20代半ば、誰かが教えてくれた曲。
京都に行ったとき、鴨川沿いを歩いた。これがあの曲の「鴨川」かぁ。それが感想。確かに等間隔にカップルが並んで座っていたよ。夏の鴨川だった。オオサンショウウオは見つけられなかった。
『ロッカーはいろんな歌を知っている』。高校生か大学生か、「アヒルと鴨のコインロッカー」の小説を読んだ。よくできた小説だった。面白かった。映画化した。今でこそ濱田岳は安定して濱田岳だなァと思う。好き。
技巧を凝らされた伊坂幸太郎の小説には、いつも仙台とボブディランが出てくる。「重力ピエロ」の映画が好きだよ。

なんだか疲れてしまった会社帰り、ふとどこかへ行きたくなる。何の約束もしていない。事前の準備もしていない。行きたいところも、食べたいものも特にない。ただなんとなくどこか遠くへ行きたくなる。
『深夜バス 京都 鴨川』魅力的な響き。でもやっぱり、疲れているから新宿へ向かう気力がわかない。寒いなァ、帰ろう〜。
『雨よ雪にかわっとくれ』と、心の中で彼女が踊る。そんな夜を幾度か過ごした。

『それはそれで幸せなのでしょうね』。

2022.12.3

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