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大森カンパニープロデュース人情喜劇シリーズ第13弾『トコトン、いじはり』後編〜すごいバトル〜ー2023.12.05

前半こちらです。

後編です。

※ネタバレしていますので注意。

再度、あらすじはこちら↓↓
舞台はとある町の銭湯・大黒湯。かつては駆け込み寺ならぬ、駆け込み銭湯として、居場所をなくした人たちの拠り所となっていた。しかし時代の流れとともに客足は遠のき、さらには近所にスーパー銭湯ができたことで閉店の危機に。ピンチを救うべく現れたのは、“三湯士”と呼ばれる3人の男たち。かつてこの町の世話役として、暴力団とも渡り合ってきた伝説の英雄だが、今や全員人の良いおじさんに。果たして“三湯士”は、大黒湯を救えるのか!? 

さて、大黒湯、元暴力団、スーパー銭湯と、三つ巴の戦いが始まります。

客足を戻すため、ビラ配りをして宣伝する大黒湯。

ところがガラスを割られたり、看板を壊されたりと、妨害が入ります。

じつは、大黒湯で働く涼子(及川奈央)は、チンピラ安西の元妻。そんな因縁もあって大黒湯に嫌がらせをしているのは安西たちだと確信するのです。

スーパー銭湯の小佐野は、そんな様子を傍観しつつも、大黒湯従業員の美鈴をヘッドハントしようと暗躍。

あっちでもこっちでもトラブルが起きている。これはまずい。

ということで、大黒湯は“三湯士”ならぬ、“三銭士”を新たに結成。あれ、三銭士……か? ど忘れしてしまいました。

とにかく大黒湯を盛り上げていこうと、従業員の拓真、日本舞踊家の松之輔、ダンサーの鳳で3人組を結成します。

鳳を演じたのが横山さんです。キレキレのダンスに笑いました。

ところが、三銭士が結成したにも関わらず、大黒湯への嫌がらせは止まらない。

そんなある日、拓真がボコボコにされて帰ってきます。

なんと、すべての黒幕はスーパー銭湯経営者の小佐野でした。チンピラ安西たちと手を組み、大黒湯を潰そうと企んでいました。

小佐野が裏で絵ぇ描いてたわけだ。そんでチンピラ安西が空気入れたわけだ。

こうなったらもう、拳でやりあうしかありません。

大黒湯を舞台に、大黒湯、元暴力団、スーパー銭湯、それぞれのチームによる乱闘がスタートします。

序盤からちょくちょくアクションシーンはありましたが、クライマックスでは本当の、ガチの、アクションでした。7,8人くらいが、そんなに広くない舞台の上で、殴ったり蹴ったり、飛んだり、転がったりする。大混戦。

あんなに激しく動いてるのに、ちゃんと全員の動きが噛み合っている。ステージングがすごいなと思いました。今回のハイライトです。お見事でした。

全員ヘトヘトになったところで、いよいよ大ボス小佐野の登場。でももう誰も戦えない。どうしよう、となったとき、不思議なことが起こります。

美鈴の体に別の誰かが乗り移るのです。

それは、13年前に祭りの事故で亡くなった、かりんちゃんでした。
三湯士の一人、結城(坂本あきら)の孫であるかりんちゃんは、武道の達人。美鈴に乗り移って、小佐野をボコボコにします。

圧倒的強さを見せつけたかりんちゃん。
その場にいる大人たちに、残された時間で語りかけます。

13年前の事故は自分のせいだと罪をかぶって服役していた結城に、「おじいちゃんのせいじゃない」というところは泣けました。その前のふざけたやりとり(褒めてます)の反動で、余計に感動する(´;ω;`)

客席からもすすり泣く声がたくさん聞こえました。

個人的には、中国人の曜子に対し言う、「喋り方を笑われたの? 大丈夫だよ」みたいなセリフにグッときました。登場シーンも少ないし、バックボーンはまったく触れられていないのに、この一言だけで曜子が抱えていた悩みが見えてくるようでした。

そして、大混戦からしばらく経ち。大黒屋にはまた客足が戻ってきました。

いろんな悪事がバレた小佐野は逮捕(え!)。

なかなか進展せずにいた店主の有原と涼子はようやく結ばれ、三湯士やほかのみんなも、それぞれの道を進み出します。ハッピーエンド!!

面白と、涙と、ちょっと不思議な、そんな人情喜劇でした。
ここでは書ききれていない設定やキャラクターもたくさんいます。
みんな面白かったです。

タイトルの『いじはり』は誰のこと言ってたんだろう? 全員かな?

ちなみに今作には最大のネタバレがあるのですが、それはあえて触れませんでした。
公演は10日までありますし、またいつの日か再演があるかもしれないので伏せておきます。でもびっくりしたとだけ言っておきたい。

年末だなぁ〜という気分になれました。

いい年越しができそう。まだたくさん仕事は残っているけれど。


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