見出し画像

黙って喋って

ヒコロヒーさんの小説集「黙って喋って」を読んだ。とても短いお話がたくさん収録されており、手元に届いてから割と長い期間、少しずつ読み進むことができた。今ヒコロヒーの小説読んでてさー、と友達に話すと、なにそれ、と返ってくる。カス男に翻弄される女性の話がいっぱい入っててね、と説明はするものの、お勧めするとあなたも共感しますよね?と言っているようなものなので特にオススメはしないものの、ヒコロヒーさんの描く妙に説得力のある心情表現や男女のやりとりを柔軟に表した物語に、あぁ女性側はこういうニュアンスなのか、というのが鮮明に伝わってくる大変面白い小説だ。カス男が〜とは言ったもののしょーもない女もよく出てくるので、一概にどっち側とかそういうことではなく、人に振り回されたり、振り回しているのを自覚しているのにやめられなかったり、本当に伝えたいことが上手く言えなかったり、組織の中で出来上がっている空気に感じる違和感とか、改めて物語としで目の前に出されると「あぁ」とキュッとしてしまう。
でも人と接していてワクワクするような気持ちは、その相手が居てこそ生まれるものなので、その後無駄な時間だったな、と虚無ることもあるだろうけど、そのワクワクは毒にも薬にもなる大きな財産。トラウマの一つや二つあったほうが仲間と飲む酒はうまい。この世の中疲れてねぇ奴なんてただのクソだ、とリッキーダディダーティさんもおっしゃっていますし。

昨日レッドホットチリペッパーズの東京ドーム公演に行ったんですけどね、シンプルなセット、基本的に4人での演奏、衰えを感じさせないパフォーマンス、ドームなのに物足りなさを感じさせないのは余白の音楽だからなのかなと思いました。ドームって音を埋める系の音楽だと物足りなさが気になってしまうんだけど、レッチリは全くそんな事なかった。キックもベースも低音成分は控えめという感じで、アンソニーのボーカルも聴きやすい音のバランス、ジョンのギターの素晴らしいトーンに浸れました。
良いパフォーマンスをみると自分の曲のあれをこうした方がいいとかイメージが膨らむんだけど、今回は今取り組んでいるアルバムのコンセプトとか色々考えちゃったなぁ。
往年の名曲というかシングル曲はみんなめちゃくちゃ盛り上がったけど、比較的新しいアルバムの曲とかはみんなお地蔵さんのようになっていましたね。変にバラエティに富んだような作りにせずコツコツとおんなじ様な曲を作り続けていて、、と思ったけど、みんなが知っててめちゃくちゃ盛り上がる曲はやっぱりイントロからして存在感が違うので気合の入った曲とこういうのもありかなっていうスタンスの曲ってやっぱりあるよねって思ったね。

写真はデカい牡蠣。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?