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社内承継≒MBOのやり方【M&A日記】

さて、本題へ。

社内承継のポイントは資金調達。
後継経営者が、オーナーから株式を譲り受けるときに、その資金をどうやって調達するかによって方法が変わる。

価格はオーナーが高く譲りたいのか、安く譲りたいのかなど意向があると思うので、税務面を考慮しながら両社で納得できるところで決めるのみ。

適正な価格とよく言うが、評価方法によって価格は大きく変わるもの。
適正な低い金額も適正な高い金額もある。
なので、適正な金額で決めるというのはよく分からない話でもあり、極端に安いと税務上の懸念があり、高すぎればそもそも合意されないので、両社が納得される税務的に問題のないところで決めるのが一番。

社員に会社を託したいということなので、M&Aのようにできれば高く譲渡したいということはあまり想定されず、時価純資産と少々ののれんをつけるぐらいの話が多くなると思われる。

価格が定まれば、譲渡へ。
譲り受ける人間の自己資金で譲り受けられるなら、株式譲渡としてM&A同様に買い取ればよい。

資金調達が必要な場合、個人の与信で調達できる金額になることはあまり想定されない。
なので、法人を設立して、その法人で資金調達する。
この法人は、対象会社の株式を譲り受けるために設立される特定な目的を持った会社なので、特定目的会社、俗にSPCと呼ばれる。

何故法人なら資金調達できるのか。
それは法人だからできるということではなく、与信を別のところにおくため。
即ち、譲渡対象会社の与信で調達するということになる。
金融機関としては、返済できるのかどうかが大事。
個人で数千万円とか数億円の返済は危険だが、譲渡対象会社が十分な利益を生んでいれば、その利益で返済が見込める。
MBOが成立すれば、SPCは譲渡対象会社の親会社となるので、譲渡対象会社の利益を配当として吸い上げて、返済原資とすることが可能になる。

ということで、譲渡対象会社が十分に利益を上げていて、尚且つ必要調達資金がさほど大きくなければ(オーナーから後継経営者への譲渡価額が高くなければ)、上記のように資金調達できる可能性があり、社内承継がうまくいかない大きなハードルを乗り越えられることになる。

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