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上場PEファンド、インテグラル(スカイマークの再建で話題になったファンド)の勢いが凄まじい【M&A日記】

東証グロース市場に上場しているPEファンド運営会社=GPのインテグラル社、私の知る限り国内で唯一上場しているPEファンドのGP。

ちなみにPEファンドの仕組みについて知りたい方は、インテグラル社のIRをご覧頂くのがとても勉強になると思う。
上場企業なので、数値も含めて開示されていて、インテグラル社ならではのモデルもあるが、収益構造などはとても分かりやすい。

GPの上場は珍しい。
中にいたことはないので、あまり具体的なことは分からないが、ビジネスモデルから想像すると、
・投資先のEXITによる利益創出のタイミングがマチマチなため、安定的な右肩上がりの成長曲線を描きづらいため
・LP(ファンド投資家)が望まないため
→ファンドの運用期間(5~10年程度)でより大きなリターンを望むLPに対して、決算ごとの業績伸長(株価上昇)を望む株式市場との間で利害が相反するため
ということが課題として考えられる。

インテグラル社は23年12月に上場後の初決算を迎えていて、営業利益は109億円だ。
凄まじい。

IRを見ると、主な収益源は3つ。
①管理報酬:投資家の資金を預かって運用するという「管理」に対する報酬
②キャリードインタレスト:LPに還元する利益の一部を受領
③キャピタルゲイン:自己資金の投資によるリターン獲得

①に関してはファンドの規模によってくる。
二号~四号ファンドから管理報酬を受け取っているようで、約2400億円ものファンド総額となるため、管理報酬だけで約37億円もの収入になる。
ファンド運営会社にとって大きなベース収益となる。
また、2000億円規模の第五号ファンドを組成中で、管理報酬は更に大きくなると見込まれる。

②は約32億円。
その何倍ものリターンをLPに対して提供していることになる。

③は約10億円。
ファンドと併せて、自己資金も投資先へ投下することでの直接的なリターンも獲得している。

①②③に加えて、自己投資先の含み益が約57億円。

計約140億円という収益≒売上に対して、費用が約30億円で約110億円の営業利益というとてつもない利益率と利益額だ。
管理報酬の約37億円だけでも費用を賄えて、7億円もの利益を出せる構造はめちゃくちゃ魅力的。

③の自己資金をファンドと一緒に投資するというのがインテグラルの独自性。
LPからすればファンドの資金を使ってほしいと見えるかもしれないし、一方で運命共同体的に見える面もあると思われる。
ファンドとしての投資がうまくいけばいくほど、運営会社であるインテグラル社のリターンは他のGPよりは大きくなっていく。

時価総額も今日現在で1100億円越えだ。
今後はラージキャップと言われるより大きな投資を行っていくために、ターゲットファンドと呼ばれる特定の投資のために組成するファンドも進められるそう。

ん~、凄い。
要チェック。

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