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アカデミー賞7冠!クリストファー・ノーラン監督の描く「オッペンハイマー」とは?


この記事をご覧くださり、誠にありがとうございます。

今日は久々に、歴史×映画のお話を取り上げてみたいと思います。


第96回アカデミー賞の授賞式が3月10日、ロサンゼルスで行われ、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』が、作品賞を含む最多7冠という快挙を成し遂げました!

注目の作品賞をはじめ、13部門にノミネートされ、監督賞など7冠を受賞した本作は、原爆開発を主導したアメリカの理論物理学者・オッペンハイマー氏の伝記映画です。

『ダーク・ナイト』『インター・ステラ―』など錚々たる作品を生み出してきた映画界の誇る巨匠、クリストファー・ノーラン監督による初の伝記映画ということで、早くから注目を集めていました。


公開日(3月29日)まであと僅か。

内容も非常に気になるところなのですが、「オッペンハイマ―って誰?」と思われる方も、いらっしゃること思います。

そこで今回は、「オッペンハイマー」「クリストファー・ノーラン監督」について、ダブルでご紹介していきたいと思います!

第一弾の今日は、「オッペンハイマーについて」



「オッペンハイマ―」とは

オッペンハイマー(引用:Wikipedia)

J・ロバート・オッペンハイマーはアメリカ合衆国の物理学者で、原子爆弾開発の「マンハッタン計画」を主導した人物

「原爆の父」として知られています。

ただし、本人は原爆を開発したことを後悔しており、戦後はアメリカの水爆開発に反対したことなどから、公職追放されています。

原爆開発の前の1930年代には、宇宙物理学の領域でブラックホールについての先駆的な研究をしていたそうです。



オッペンハイマーの関わった「マンハッタン計画」とは? 

第二次世界大戦勃発後のアメリカでは、1942年に「マンハッタン計画」が開始されます。

「マンハッタン計画」とは、ナチス・ドイツなどの原子爆弾開発に焦ったアメリカ、イギリス、カナダなどの国が、原子爆弾開発のために、科学者、技術者を総動員した計画です。

つまり、アメリカをはじめとする連合国が、何とかして敵側よりも早く原爆を完成させたいがために、優秀な頭脳を集めた、ということ。

オッペンハイマーはロスアラモス国立研究所の初代所長に任命されます。

彼の主導した原爆製造研究チームは、世界で最初の原爆の開発に成功

その結果、1946年7月16日、アメリカ合衆国による人類初の核実験が行われました(トリニティ実験)。

そして、1946年8月6日、広島へ原子爆弾が投下。同8月9日、長崎へ原爆投下

人類に対して核兵器が使われた決定的瞬間を味わったのは、この日本でした。

オッペンハイマー自身は、広島・長崎への原爆投下はニュースで知ったとのことで、本人が投下の指示までを担っていたわけではありません。

広島・長崎への原爆投下は、合計数十万人が犠牲になり、戦後の冷戦構造を生み出すきっかけともなりました。



オッペンハイマーの後悔

戦後、トルーマン大統領とホワイトハウスで対面したオッペンハイマーは、「大統領、私は自分の手が血塗られているように感じます」と語りました。

そのせいで、トルーマン大統領はオッペンハイマーのことを「泣き虫」と罵り、二度と会うことはなかったと言います。

どこまで本当か分かりませんが、大の大人が「泣き虫」と罵ったり、二度と会わない!とするなんて……「原爆」がとてもセンシティブな話題であったことが感じられますね。



「原爆の父」、「水爆」に反対して公職追放

その後のオッペンハイマーは、原爆の破壊力や倫理な問題に関心を持ちます。

核兵器は人類にとっての脅威であり、人類の自滅をもたらす、と考えたため、核軍縮を呼び掛けたり、ソ連との核兵器競争を防ぐために働きました。

核兵器より強大な「水素爆弾」の開発にも反対したため、「水爆の父」こと、エドワード・テラーと対立したことでも有名です。

オッペンハイマーは原爆による広島・長崎の惨状を知ったため、水爆の開発に反対したのですが、この影響で公職追放をうけました。



アインシュタインと原爆の関係

アインシュタイン(引用:Wikipedia

オッペンハイマーの他にもう一人、原爆誕生と結び付けられることのある理論物理学者がいます。

相対性理論を発見した、あの有名なアインシュタイン博士です。

彼自身は、原爆開発の理論を発見したわけでも、原爆開発に関わったわけでも、マンハッタン計画を主導したわけでもありません。

アインシュタインの発見した、質量とエネルギーの関係式(E=mc²)は、あらゆるエネルギーにおいて成り立つ式です。

ただ、アインシュタインの理論が、結果的に原爆開発に応用された、という事実があります。

また、

「近い将来、ウラン元素が新たに重要なエネルギー源になる」

「この研究が進めば爆弾の製造にも応用され、新しいタイプのきわめて強力な爆弾が作られる」

というアインシュタインの署名入りの手紙が、当時のアメリカのルーズベルト大統領の手に渡り、ウランや原子爆弾への注目に繋がったそうです。

アインシュタイン自身は平和主義を掲げ、戦争を公然と批判しています。



オッペンハイマー・アインシュタインに見る科学者の悲劇

オッペンハイマーは優秀な頭脳として、原子爆弾という最先端の科学兵器の開発に貢献しました。

それ自体は彼の輝かしい成功体験であります。

ただ、その兵器が大量殺戮に使われた実感を後になるほど感じ、後悔の念が止まらなくなった人物なのかな、という印象を持っています。

同様にアインシュタインも、直接は原爆開発に関わってはいないものの、自分の理論が結果的に核兵器の誕生に繋がっていったことを知っていたと思います。

そのことへの自責の念いを心のどこかにもっていたからこそ、非戦・反戦を唱えていたのかな、という気がします。

科学の発展に貢献したお二人。
科学自体は価値中立なものだと思います。
ただ、その技術が人を苦しめるために使われるのか、人を助けるために使われるのか。
それにより、結果責任というものが生じるのかもしれません。

また、原爆の開発が人類にとって悪であったという科学者たちの後悔は理解できるのですが、

現実に核兵器を持ってしまい、それを振りかざしている国に対してどのように対処すべきかは、政治的な対応能力になるので、また別問題だと思っています。



〈まとめ〉

今回のポイントをまとめておきましょう。

  • 「オッペンハイマー」はアカデミー賞7冠を受賞したクリストファー・ノーラン監督による最新作。

  • 「オッペンハイマー」とは、アメリカ合衆国の物理学者で、原子爆弾開発の「マンハッタン計画」を主導した人物。

  • 「マンハッタン計画」とは、アメリカをはじめとする連合国が、ナチス・ドイツよりも先に、自分たちの方が先に原爆を開発するために、優秀な科学者・技術者を総動員した計画。

  • オッペンハイマー率いる研究チームは、世界で最初の原爆の開発に成功。

  • その結果、広島・長崎に原爆が投下。

  • オッペンハイマーは戦後、自分が原爆を開発したことを後悔。水爆に反対し、公職追放される。

  • アインシュタインは原爆開発に直接関わっていない。ただ、自分の理論が原爆に応用されたことは知っていた。非戦・平和主義を主張。

  • 科学は価値中立的だが、その技術がどのように使われるかに結果責任が出る。

  • 原爆開発の善悪と、国防上の政治問題は別問題と思われる。


以上、久々の世界史テーマでした♪
続編では、「オッペンハイマー」でアカデミー賞最多7冠を受賞したクリストファー・ノーラン監督に迫ります!

お楽しみに🌟


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