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元祖・青春文学💖川端康成の『伊豆の踊子』①

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第3作目には、川端康成の初期の代表作、『伊豆の踊子』を取り上げます。

川端康成といえば、日本初のノーベル文学賞作家。

『伊豆の踊子』は、19歳の川端康成が、実際に伊豆を旅した時の体験を元に書かれている、旅情溢れる純文学です。




川端康成「伊豆の踊子」

孤独な伊豆の一人旅。そこで出会ったのは、純粋無垢な踊子だった。

川端康成の初期の代表的な短編小説。



川端康成(1899~1972)

大阪府生まれ。
東京帝国大学(現東京大学)文学部国文学科卒。
大学時代に菊池寛に認められ、卒業後は横光利一らと「文藝時代」を創刊。
一高時代の伊豆旅行の体験を元にした『伊豆の踊子』を発表し、新感覚派の作家として台頭した。
日本的美意識を追求し続け、1968年、日本人初のノーベル文学賞を受賞した。
代表作品:『伊豆の踊子』『雪国』『山の音』『眠れる美女』『古都』など



【書き出し】

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。



〈あらすじ〉


一高に通う二十歳の私は、伊豆の一人旅に来ていた。

道中、旅芸人の一行を見かけ、その中の踊子に密かに心惹かれていた。

踊子は薫といい、十七歳くらいに見えた。

踊子の連れは、踊子の兄の栄吉、栄吉の妻・千代子、千代子の母である四十女、雇われ娘の百合子の四人だった。

一行の後を追った私は、下田まで一緒に旅をすることにする。

天城峠を越え、湯ケ野に着いた。

宿賃が安い木賃宿で一行が泊まる部屋に上がると、踊子が茶を出してくれたが、緊張のあまり茶をこぼしてしまう。

一時間ほど休憩した後、栄吉は、私だけを別の温泉宿に案内した。



夕暮れからひどい雨になった。

とととんとんとん、雨の音にまぎれて、太鼓の音が聞こえてくる。

芸人たちは、料理屋のお座敷に呼ばれているようだ。

「踊子の今夜が汚れるのであろうか」と、悩ましい思いがした。



翌る朝、栄吉と一緒に湯へ行った。

「向うのお湯に、あいつらが来ています。ほら、こっちを見つけて笑っている」

私は、彼の指さした対岸の共同湯を見た。

薄暗い湯殿の奥から、突然裸の女が走り出してきて、両手を広げ、何かを叫んでいる。踊り子である。

若桐のように足のよく伸びた白い裸身を眺めて、私は心に清水を感じ、ほうっと深い息を吐いてから、ことこと笑った。子供なんだ。

踊子の髪があまりに豊かで、娘盛りのような服を着せられていたので、十七、八歳に見えたが、踊子は十四歳だった。


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