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「ごめんなさい」から生まれたSOUNDカード

弊社が開発したSOUNDカードが「HRアワード2023 プロフェッショナル部門」で入賞を果たし、有難いことに連日、日本全国からご注文をいただいております。
HRアワード入賞に伴って、社内で「SOUNDカードの誕生秘話を紹介してはどうか?」という意見が挙がりました。
その声を受けて、改めて誕生秘話について考えてみました。

結果、たどり着いたのは、SOUNDカードをどんな形で思いつき、なぜ作ったのかといった「点」の話ではなく、組織開発コンサルタントとしての私の軌跡からとらえるという「線」でお伝えするということでした。
なぜなら、SOUNDカードが生まれるに至ったプロセスの全ては、私の20数年にわたる組織開発コンサルタントとしての様々な経験とは切っても切れないからです。

世の中には反復を繰り返すことによってスキルを高めていけば、やがてその業務を遂行するために必要な能力が十分身に付く、というものもあります。
対して、対人支援という仕事は、一見、習熟してしまえばあとはそのスキルの応用でパフォーマンスを発揮し続けられるものと思われがちです。
しかし、実際には、人と組織は機械仕掛けの時計のように単純なものではありません。
もっと言うと、それらは大きな社会の中で起きている課題であり、蓋を開けていけばいくほど一筋縄ではいかない…ということばかりでした。
自分の力が及ばず、良かれと思ってやったことが人を傷つけてしまったことは数え切れない程ありますし、それは今もなお続いています。

私にとって、何かを体系化して形にするというプロセスは、単なる成功法則を見出すという類のものではありません。それはむしろ、思うようにご支援できなかったことへの申し訳なさや、不甲斐なさを感じる中で、「それでも、もう一歩」と歯を食いしばった結果、生まれてきたものに過ぎないのです。
「あの時どうしたらよかったんだろう」、「もし時間を巻き戻せたとしたら、あんな風にやれたんじゃないだろうか」といった終わりのない、反省と反芻の中で、言葉が紡がれ、それが書籍や講座といった形になっていました。

SOUNDメソッドもそのように体系化されたものです。
このメソッドがあるからと言って「かならずうまくいく」というほど人と組織は単純化できるものではないですが、それでもこの体系があるからこそ、かなりの無駄な失敗をしなくて済むようになり、失敗したとしてもリカバリーを可能にするメソッドであると自負しています。
そして、SOUNDカードはそのSOUNDメソッドを支えるツールとして生まれました。
SOUNDカードは、ファシリテーションスキルが不足していたとしても、どんなアジェンダやメンバーであっても対話が深まるように設計されています。
この設計の背景には、私の数々の「手痛い体験」を踏み台にしていただきながら、多くの人が対話の可能性に触れられる状態にしたいという願いがあります。

そしてそれだけでなく、そのさらに奥底には、訳もなく「作品を残したい・創りたい」という想いが横たわっています。

その作品というのは、童謡の「ふるさと」のような存在のものです。
作詞・作曲者が誰なのかを知らなくとも、「ふるさと」を口ずさんだときに、自分の胸に安らぎをくれるような感じであったり、その存在によって人が勇気づけられていく。
そしてそれが世代を超えて受け継がれていくというのは、とても素敵なことであり、そういったものを何か作れるとしたら、心から本望だ、と思っています。

SOUNDカードは「ふるさと」のような存在になるかどうかは正直全く分かりません。
しかし、それでもこのカードが利用されていくことがどんどん当たり前になり、もはや誰がこのカードを作ったのかを気にしないどころか、知られないところまで当たり前のように活用されることを願っています。
そして、そうした「当たり前」の存在になるくらいに、このツールが愛される始まりの合図が、この入賞であったらいいなと思います。

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