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心理的安全性の次にくるものとは?

年の瀬を迎えましたが、いかがお過ごしでしょうか。
毎年のことですが、この時期になると今年一年を振り返り、できたことできなかったことを数えたり、来年こそは!と気持ちを新たにするものです。
これは年が変わると禊をする日本人ならではの感覚からくるものでしょうね。

今年一年も働く環境は人、組織によってそれぞれだったかと思います。
仕事内容だけではなくロケーションや施設・設備などの物理的なものから、そこで働く人との人間関係など様々な要素が含まれていますが、最近では所属という意味での「組織」や「職場」への人々の意識が明らかに変わったように感じています。

それは『会社や組織など静的な存在に所属しているから仕事をする』という固定化された感覚ではなく、『「ジョブ」ないし「プロジェクト」という流動的なものに携わり関わっている』だけの感覚がどんどん強くなっているような変化です。
それぞれの「ジョブ」/「プロジェクト」に共感・共鳴している、または当事者意識をはっきり持って仕事に臨めるという人であれば、与えられた仕事についても丁寧に紡いでいくことができるかもしれませんが、そうでない人にとっては、「仕事」というより、「業務」、ないしは「作業」と化し、「とりあえずこなしていく」ものになっても不思議ではありません。

かつての会社中心・仕事中心生活の果てに人間性を失っていく危険をはらんだ時代よりは、ある意味、状況は前進しているとも言えるかもしれず、働く個人から見れば一種の会社や職場からの解放として、このトレンドは歓迎されているようにも感じます。

一方で仕事に対するオーナーシップが育たなかったり、プロフェッショナリティやモラルといったものが低下していることへの危惧を耳にするようになっています。

実際に「以前ではありえなかった低レベルなトラブルが多発しており、意識の問題としか思えない状況になっている。もはや仕組みで何とかできる話ではない感じがする」とご相談をいただくケースがここ数年で格段に増えました。

こうした背景に加え、「自分らしくいられる職場や何でも言える文化が大事」という風潮に後押しされたこともあり、「心理的安全性」が急速に注目されるようになってきました。

ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモントソン教授は、チームの心理的安全性の定義を「対人関係のリスクを負うことに対して安全であるという、チームに共有された信念」としており、単純に仲良くなればよいと言ってはいません。

しかし、心理的安全性の重要性を強調されればされるほど、「それだけではない気がする」という気持ち悪さを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まさに、この違和感が「心理的安全性の次に来るものは何か?」のヒントを指し示しています。

あまり知られていませんが、エドモンソン博士は、チームの心理的安全性だけでなく、別の重要な概念を提唱しています。

それは「チーミング」です。

チーミング

「チーム」ではなく「チーミング」という聞きなれない言葉をわざわざ彼女が使っていることに非常に深い洞察が示唆されています。

彼女が喝破しているのは、もはや現場で起きている流動的な状態に対しては、「チーム」という固定化されたものを育て上げる暇も猶予も持ち合わせていないのではないか?ということです。

言い換えれば、「チームビルディング」という概念そのものが、もはや時代遅れになってしまっているかもしれないということです。

これはどういうことでしょうか?

彼女は「チーム」は名詞なのに対して「チーミング」は動詞だと言っています。

たとえば、オーケストラの楽団はチームとして位置づけられています。オーケストラではそれぞれの役割が明確に固定されており、人の入れ替わりは頻繁には発生しません。そして、良い演奏をするために共に習練を重ね、時にお互いの人間性や歩んできた人生についても理解しあいながら関係性を築いていくことも求められます。まさに「チームビルディング」が機能しますし、求められます。

それに対して、組織の現場はもっと流動的になっているというのが彼女の着眼点です。

突然、重要事案が発生して社内外からメンバーが集められるだけでなく、入れ替わりも頻繁に生じ、互いに習練を重ねる暇もなく、高いアウトプットを出すことが求められる時代となってきている状況においては、とても「チーム」と呼べるような関係性でもなければ、「ビルディング」などという悠長なことをやっている暇もありません。

かといって、適当に人が寄せ集まったところで、高いアウトプットは期待できません。
だからこそ、彼女は「チーミング」が大切なのだと指摘しています。
「チームビルディング」は活動なのに対して、「チーミング」は、いわば協働のリテラシーです。

チーミングの実現に向けて、エイミー・エドモンソン博士は以下の4点をチーミングを促すリーダーシップ行動として挙げています。

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1.物事の捉える認知の枠組みを変える(学習フレーミング)
2.心理的に安全な場をつくる(心理的安全性)
3.失敗から学ぶ(絶え間ない試行錯誤)
4.職業的、文化的な境界をつなぐ(越境の促進)
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心理的安全性の次に来るものとしての「チーミング」。

それは劇的な環境変化の中にあるからこそ、解放される次なる「ポテンシャル」であるといえるでしょう。

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