【#1】VCの世界を探る:ストラクチャー(前半)
⑴ はじめに
スタートアップ公認会計士の中辻です。 この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございます。
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スタートアップ企業の成長において、資金調達は重要な要素の一つです。その中でも、ベンチャーキャピタル(VC)は、スタートアップが成長するための資金を提供するだけでなく、経営支援やネットワーキングの機会を提供するなど、非常に有用なパートナーとなります。
ただベンチャーキャピタルの仕組みやストラクチャーに関してなかなか触れる機会がありません。本記事では、ベンチャーキャピタルの仕組みやそのメリットについて詳しく解説し、VCについての基本的な知識を深めていただければ幸いです。
⑵ VC構成員の用語解説
VC構成員の用語解説まとめ
投資事業有限責任組合には、ジェネラル・パートナー(GP)とリミテッド・パートナー(LP)がいる。それぞれのリスク、リターン、責任が異なっており、一覧にまとめると以下のとおりとなる。なお詳細な解説は後述をご参照。
❶GP(General Partner, ゼネラル・パートナー)
GP(General Partner、 ゼネラル・パートナー)は、投資事業有限責任組合(Limited Partnership, LPS)における主要なパートナーの一形態となる。以下にその特徴を説明する:
税務上の扱い:
ゼネラル・パートナーは、事業の利益や損失を個々の所得税申告書に計上することになる。パートナーシップ自体は法人税を支払う必要がなく、パートナー個人に直接課税される形となる(パススルー課税)
無限責任:
ゼネラル・パートナーは、業務執行によって生じた負債に対して無限責任を負う。つまり、ファンド運営によって損害賠償等の負債が発生した場合、個人的な資産もリスクにさらされることになる。
業務執行権限:
ゼネラル・パートナーは、ファンドの運営を担当する。投資の意思決定やファンド運営の全般を管理し、リミテッド・パートナーに対して説明責任を負うことになる。
利益の配分:
ゼネラル・パートナーは、ファンド運営や投資売却の利益に対して報酬を受け取る。これは、管理報酬やパフォーマンスに基づく報酬などが含まれる。
投資の管理:
ゼネラル・パートナーは投資の管理や資金調達、投資先の選定などを担当する。特にベンチャーキャピタルファンドにおいて、ゼネラル・パートナーは投資の全般的な戦略を策定し実行をする。
❷Limited Partner(リミテッド・パートナー)
LP(Limited Partner、 リミテッド・パートナー)は、投資事業有限責任事業組合(Limited Partnership, LPS)における出資者の一形態となる。以下にその特徴を説明する:
税務上の扱い:
リミテッド・パートナーはパートナーシップの利益や損失を個々の所得税申告書に計上することになる。これにより、パートナーシップ自体は法人税を支払う必要がなく、パートナー個人に直接課税される(パススルー課税)
有限責任:
リミテッド・パートナーは、その出資額を限度として責任を負う。つまり、ファンド運営によって損害賠償等の負債が発生しても、個人的な資産がリスクにさらされることはない。
業務執行権限:
リミテッド・パートナーは通常、ファンドの運営には関与しない。
利益の配分:
リミテッド・パートナーは、ファンド運営や投資売却事業の利益に対して報酬を受け取る。ただし、業務執行権限がないため、リターンはゼネラル・パートナーよりも低い。
投資の管理:
リミテッド・パートナーは投資の管理や資金調達、投資先の選定などを担当せず、ゼネラル・パートナーに一任することになる。
⑶ ストラクチャーの用語解説
VCのストラクチャーを組成するには、LPS、LLPという用語が頻繁に登場する。本項では、その用語に関して説明を行い、それぞれの概要と特徴を解説する。
❶LPS(Limited Partnership for Investment:投資事業有限責任組合)
LPSは、 主に投資活動を目的とした有限責任組合で、日本・海外での投資活動に特化した法的構造である。GPとLPが存在するが、投資活動に特化している点が特徴となる。
特徴:
投資特化:投資活動を目的として設立される。
有限責任:LPは出資額に限った責任を負う。業務執行と資金提供の分離が特徴。
メリット:
投資家がリスクを限定できる。GP、LPに分かれることでニーズにあった関与が可能。
投資活動に特化しているため、効率的な運営が可能。
デメリット:
投資以外の活動には適さない。法律によって投資資産を限定されているため、自由なファンド運営には適さない。
GPは無限責任を負うため、リスクが高い。
❷LLP(Limited Liability Partnership:有限責任事業組合)
LLPは、パートナーシップの一形態であり、各パートナーが有限責任を持つという特徴がある。通常のパートナーシップでは、パートナー全員が無限責任を負うが、LLPでは各パートナーが出資額に応じた責任を負うため、個人資産が保護される。
特徴:
有限責任:各パートナーは、自分の出資額を超える負債を負わない。
運営の柔軟性:パートナーシップ契約に基づき、柔軟な運営が可能。
税制優遇:法人税ではなく、パートナーごとの個人所得税が適用されることが多い。
メリット:
リスク管理がしやすい。
パートナーの個人資産が保護される。
デメリット:
法人と比べて信用力が低い場合がある。
法的手続きが複雑になることがある。ただし法的手続きが会社やLPSに比べれば簡単。
⑷ 最後に
この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございました!
今回は、ベンチャーキャピタルのストラクチャーに関わる用語を解説させて頂きました。次回は、より具体的にどういったストラクチャーをとっているのか?に関して解説させて頂きます。
もしよろしければ、次回もお読み頂けますと幸いです。
最後になりますが、TwitterにてIPO・ファイナンス・スタートアップ・マーケットなどの情報を積極的に発信していますので、Twitterアカウントをフォロー頂けますと幸いです。
⑸ 免責事項
正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。事業に影響を与える可能性のある事項については専門家にご相談頂く必要があります。
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