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炭火七輪 vs ガスロースター、ホルモンの焼き環境を考える

炭火七輪、ガスロースター、
太網、捨て網、鉄の網、
焼肉ホルモンの焼き環境は、さまざまだ。

それぞれにおいしく焼ける特徴があり、この違いを知っておくだけでも、肉が上手に焼けるようになる。そこで焼肉知識を総動員させて、焼肉ホルモンの焼き環境について、徹底的にまとめてみた。

<火の種類>

焼肉ホルモン店における火の種類は「炭火七輪」「ガスロースター」2つに分けられる。温度や火力にも違いがあり、炭火七輪ならホルモン、ガスロースターなら赤身肉が向いているともいわれる。

◎炭火七輪

炭火七輪の最大の特徴は、炭火による遠赤外線効果だ。脂っこいホルモンも、外はパリッと、中はジューシーに仕上がる。ホルモン専門店に多いタイプだ。

ガス火に比べて、肉汁も逃しにくい。なにより燻煙の風味がつけられるので、おいしく仕上がることも魅力だ。

【温度】約100~500℃

温度は、かなり高め。厚い肉は、遠赤外線効果でじっくりと。ホルモンなどの脂身が多い肉は、余分な脂を落として、ほどよく焼き上げることができる。

炭火七輪の温度(おおよそ)
中央:350~500℃
炭から外れた周囲:200~350℃
外側:100~200℃

火加減の調節がしにくい

炭火七輪は、微妙な火加減の調節ができないため、肉の置き場所を変えて、焼き加減を調節する。おしゃべりに夢中になっていると、肉が焦げてしまう。肉から目を離さずに、焼き作業に集中しよう。

空気口

七輪全体の火力は「空気口」の開閉で、調節できる。

七輪の「空気口」
開ける:温度が上がる(空気が流れ込み、炭が赤くなる)
閉じる:温度が下がる(炭の燃え方が落ち着く)

空気口の開閉で、150~200℃ほど温度の調節ができるが、焼肉店で、ここを操作する人は、あまりいないかもしれない(通常開けたまま)。

七輪ではない炭火もある

炭火といえば「七輪」が思い浮かぶが、無煙ロースタータイプもある。煙のニオイや、脂ハネも少なく、きれいなテーブルで炭火焼肉が楽しめる。

◎ガスロースター

ガスロースターは火力の調節がしやすく、高温から低温まで、火加減を使った焼き方ができる。鋳物いもの網(鉄の網)を使うロースターでは、鉄板で焼くような感覚で、肉が調理できる。

これぞ「焼肉」な、ガスロースター

ガスロースターには、七輪のような丸網を使うタイプもある。

【温度】約100~350℃

炭火七輪に比べて火力は穏やか薄い肉を焼くことにも向いている

ガスロースターの温度(おおよそ)
ガス火の真上:250〜350℃
ガス火の周辺:150~250℃
ガス火から外れた鉄板の上:100~150℃

火加減の調節がしやすい

ガスロースターの最大の利点は、火加減が調節しやすいことだ。炭火七輪のように、うっかり焦がしてしまうこともない。火力が強すぎず、失敗も少ない。

<網の種類>

焼肉ホルモンの焼き環境は「炭火七輪」と「ガスロースター」という火の種類に対して、網の種類がいくつかある。この組み合わせパターンによっても、焼きやすさが変わってくる。ここでは、主な3つの網の特徴を見ていこう。

◎太網

ステンレス製の「太網」は、蓄熱性が高い。
網の熱を利用しながら、じっくり焼ける。

ホルモンを焼く場合、もっとも良い環境だとされるのが「太網」と「炭火七輪」の組み合わせだ。炭火の遠赤外線効果や、燻煙の風味をつけて、おいしく焼くことができる。脂っこいホルモンも、外はパリッと、中はジューシーに仕上がる。

網は、しっかり加熱する

ステンレス製の太網は、焼く前に、十分加熱しておこう。網が熱くない状態で肉を乗せると、肉がくっつきやすくなる。最悪、肉がちぎれてしまうこともあるので気をつけよう。

「肉が鳴く」

しっかり加熱された太網は「肉が鳴く」

「キュッ!」「キュ〜」

チンチンに熱くなった、まっさらな太網にホルモンを乗せると、こんな鳴き声が聞こえてくる。

特に、タレがついていない塩の小腸やギアラなどで、よく「肉が鳴く」
あぁ、かわいいよ、ホルモン。

◎捨て網(細網)

「捨て網」とは、100均などで売っている、針金の使い捨て網のこと。「ペラ網」とも呼ばれる。

網が細いので、肉に直接火が当たりやすい。燃えやすいホルモンは、油断をすると、すぐ炎上して焦げてしまうので、注意が必要だ。

捨て網は、ガスロースターのほうが焼きやすい。火加減の調節もしやすく、高温になりすぎないので、うっかり焦げてしまうこともない。

◎鋳物網(鉄の網)

鋳物いもの網」のガスロースターは、熱い鉄板に肉を置くように瞬間的に火が通る。肉が鉄板に接地する部分が多いため、赤身肉が焼きやすい。フライパンで調理するように、微妙な火加減がコントロールできる。

鋳物網でもホルモンはおいしく焼ける

個人的な体感では、ホルモンに特化していても、赤身肉にこだわりがある店は、このタイプの焼き環境が多いように思う。

寺門ジモンに学ぶ、肉の焼き方

鋳物網も、肉を乗せる前に「しっかり加熱してあること」がポイントだ。これを見極めるために寺門ジモン氏は、ウーロン茶を1滴垂らして確認していた。

熱が通っている箇所に、烏龍茶を落とすと水滴が玉になるんですね。全体が温まっていればどこに水滴を落としても玉になる。網が全体的に温まっているのを確認したら、肉の厚み、重さすべてを感じて、どう焼くかを決めるんです」

寺門ジモンの言葉

これは、ゴルファーが芝目を見るようなものらしい。

火と網の組み合わせパターンはいろいろあるけど

焼肉ホルモンの焼き環境は「炭火七輪」と「ガスロースター」という火の種類に対して「太網」「捨て網」「鋳物網」の組み合わせとなる。これには、相性の良し悪しもあるようだ。

これは、炭火七輪に鋳物網を乗せたパターン。

鉄板のように焼きたいし、燻煙の風味もつけたい、ということだろうか。

利点があるかもしれないが、この状態だと、肉から出た脂が、ポタポタとテーブルにしたたってしまう。やはり丸いものには丸いもの、四角いものには四角いものを乗せるのが良さそうだ。

網の洗浄

とある焼肉店で、常連客から「味が変わるから鉄板を洗わないでくれ」と言われた、なんて話があった。極端だなと思ったが、わからなくもない。

鋳物網のロースターで、火をつけたとき、洗剤のニオイを感じたことがあるが、これはちょっと気分が下がる。

最近は、コゲ落とし専用洗剤にも刺激臭のないものがある。強い洗剤で洗ったときは、よくすすいだ後に、熱湯をかけることも有効だ。

網のレンタルと洗浄を行う会社がある

ステンレス製の太網は、網の洗浄機を導入している店もあるが、網のレンタルと洗浄を代行する会社を利用していることが多い。

洗浄済みの太網

網はいつもピカピカ。ゆがみや、破損しているものはないかチェックされているので、常に新品同様の状態で、快適に肉が焼ける。

年季が入った網もいい

とはいえ、自分の店で洗っている、年季が入った網もいい。ちょっとゆがんだところに、趣がある。なによりマルチョウが転がっていかない。

焼き環境は進化する

ちょっと変わった焼き環境もある。
これは「焼肉」と「火鍋」が一度に楽しめるもの。中心には炭が入っていて、炭火焼肉を楽しみながら、その熱で、火鍋のスープも温めるという二毛作型だ。

焼肉派も、しゃぶしゃぶ派も、仲良く一緒に食べられる。

これは、焼肉しゃぶしゃぶ食べ放題の店なので、ホルモンの脂でペースが落ちたら、しゃぶしゃぶで、あっさり味変するという食べ方もできる。

なにより、このエンターテイメント性がいいね。

みんなでワイワイ肉を囲むのもよし。ひとりでじっくり炭火と向き合うのもよし。調理と食事を同時に行う。どんな焼き環境であっても、焼肉という行為自体が、究極のエンターテイメントなのだ。

焼き環境、みんな違って、みんないい

焼肉ホルモンの焼き環境は、実にさまざまだ。
入った店の環境に合わせて、おいしく肉を焼いて食べる。それが、食べる側のミッションだ。火や網の特徴を知っているだけでも、前よりさらにおいしく、上手に焼けるようになるだろう。

自分の好きな焼き環境に出会えれば、もっと良し。

炭火七輪、太網、捨て網、ガスロースター。
みんな違って、みんないい!

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