肉好きどもの肉談義
これまで私は「肉の変態」と呼ぶべき人達に出会った。
いままで自分が一番、肉の変態だと思っていたが、色々な肉の変態と話すことによって、自分の発想になかったことにも気付けた。
これを「6つの名言」とともに振り返りたい。
1:肉の脂は「旨い」と書くからウマイのだ
『脂』という字は、月(にくづきへん)に、旨(うまい)と書く。だから「脂」は旨いのだ。
本当だ。
脂の中に「旨い」という字が隠れている。
しかもこの「月(にくづきへん)」は、
「肉」が、由来となっている。
「月(つきへん)」とは、別のものだ。
「にくづきへん」は、その名の通り、肉や体に関する漢字に使われている。
内臓の「臓」
ホルモンの「腸」や「胃」
肩ロースの「肩」も。
肉料理では頻出の漢字だ。
おいしさを特徴づける「コク」にも「脂」が関わっている。とんこつラーメンの背脂を増せば、禁断の味になる。ステーキにバターを乗せれば、より一層コクが出て、リッチな味わいになる。
例をあげたらきりがない。
肉にとって「脂」は「旨さ」の大事な要素なのだ。
2:目を閉じて味わう
目を閉じて、無心になって、
ただ静かに肉と向き合い、味わう。
これは私の「肉をおいしく食べる流儀」だ。
それをある時、こう分析してきた者がいた。
五感である、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚 のうちのひとつを閉じることによって、その20%が他の感覚に分散され、より鋭くなるからだ。
これには驚いた。
しかし、味覚に集中させるために、他の感覚をやたらに閉じていいのだろうか。
香りを感じる「嗅覚」は、「味覚」をつくる要素でもある。「聴覚」で感じる肉が焼ける音も、「視覚」で感じる肉汁の様子も、おいしく感じる大事な要素だ。
でもなぜか、おいしい肉を味わう時、目を閉じてずっと味わっていたいと思う。きっとそこに理屈なんていらないのかもしれない。
3:この豚足は、前足か後足か
完全に屠畜目線だ。
さすがの私にもこの視点はなかった。
これには「切り身の魚しか知らないくせに魚を語るな」と、言われているぐらいにハッとした。
調べてみると、違いがあった。
前足は、後ろ足よりもやや小さい
後足は、面長で大きくて、肉付きがよく柔らかい
脂の多い後足は、ラーメンのスープに使われる。
前足は、小さいものの、味が凝縮しているから好みだ、という人もいる。
豚足については、私もまだまだ勉強不足だ。
それ以来、豚足をじっくり観察するようになった。
プロはこれを、一瞬で見分けることができるのか?
4:○○は飲み物
よく言うやつだ。
カレーは飲み物、とんかつは飲み物。
肉の変態はステーキさえも飲み物だと言う。
そこに、もっともらしい理由をそえて。
「ステーキは飲み物」だ。それは、理論的に証明できる。おいしいものを食べると唾液がいっぱい出る。だから飲み物になるのだ。
唾液がいっぱい出るから、飲み物になる…。
言いたいことは、よくわかる。
でも、よく噛んで、食べてほしい。
5:おいしい色の4原色
「おいしい色の4原色 = 茶・赤・黄・緑!!」
これは、私の大好きな配色だ。
ハンバーガーでもよく見かける。
このおいしい鮮やかさは、カラーテレビが登場した時ぐらいの革命ではないか?
6:「好きな肉部位は何ですか?」
これは私から贈る言葉だ。
「もし好きな人がいたら、好みのタイプじゃなくて、好きな肉の部位を聞け!」
もし、その人が肉好きなら、
もっと距離が縮まるはずだ。
もし、その人が肉オタクなら、好きな肉部位ランキングを延々と語られてしまう可能性もあるが、きっと最高の肉友になるだろう。
「もし目標とする歌手がいるなら、その人の歌をひたすら練習するよりも、その歌手が死ぬほど聴いてきた、その人の原点となった曲を歌うほうがいい」
それなら「肉の変態」は、自分が敬愛する人の原点となった肉を、死ぬほど食べ続ければいい。
平和な世界で 「肉カンパイ」を
ソーシャルディスタンスなこのご時世、気軽に誰かと肉を食べることも、やりにくくなった。
かつて肉好きどもが交わしていた、お約束の「肉カンパイ」(肉と肉の乾杯)が、安全にできる平和な世の中を願い、この記事を、すべての肉好きどもに捧げたい。
閲覧ありがとうございマルチョウ。これからもよろしくお願いシマチョウ!