未来ってあると思ってた
***
2013年、東京。
下りの中央線を降りて、吉祥寺駅の改札を通る。21:40。満月を模した文字盤のついた腕時計は、夜を知らせている。
あかるい大通りを渡って、井の頭公園に続く細い道を通る。雑貨屋も珈琲店も今はシャッターを下ろし、眠っている。ファミリーマートの灯りだけがわたしの横顔を照らす。
「バイト終わった!もうすぐ家だよ」
LINEを送ると、すぐに返事がきた。
「おつかれさまな」
その7文字は、わたしをいたく幸福な気持ちにする。
大学4年生になってから付き合った彼氏は