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キャリア自律と主体的な学び

自分自身は比較的主体的な学びを実践している方かなという自覚はあります。それは何のために学んでいるのでしょうか?
今の仕事に役立つから?
困っていることを解決したいから?
学ぶことが楽しいから?
どれも理由にもなって、動機にもなるでしょう。
でも、根幹は自分自身の成長のためだと感じています。
ただ、成長のためだけだと捉えると成長の先に何があるのかという問いが待っています。

慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授の高橋俊介氏の著書「キャリアをつくる独学力」を読んでいます。そして、本日、高橋氏のセミナーも受講しました。

世間ではリカレント教育からリスキリングが求められるようになっています。高橋氏はこのリスキリングが組織から与えられている状況ではキャリア自律にはつながらないとし、3つ(職務内容、勤務地、労働時間)の無限定性がベースとなっている日本の会社組織においては社員と会社の利益相反性が高くなると仰っています。言われて学ぶでは学びは広がらない。主体的な学びが必要となる。日本の風土は「学び」は受け身的な要素が強いのではと感じます。

本からもセミナーからも共感するところが多かったです。想定外に変化に対応するにはキャリアゴールからのバックキャスティングは意味がなく、主体的にジョブクラフティングしていく。クランボルツの理論ともつながります。学びのモチベーションは欲求(自己実現、達成、承認)、感情(好き、楽しい)、認知(価値、できるだろう、自己効力感)から。主体的なジョブデザイン行動をぐるぐる回して次に景色が見えまた繰り返していくスパイラルアップ。縦型の伝承が強い会社組織は正解のある仕事には強いが個別性が高いことには対応できない。大事なのはヨコの学びや気づき。勉強は手段であり、面白く学ぶ。刺さるお話ばかりでした。

その中で、専門性コンピタンシーを深めていくことに関心を持ちました。
長期的にコミットする専門性。経験的専門性ではなく、体系的であり、先端的である専門性。そのための主体的な学びの重要性です。
今の自分にとって、仕事と活動の二軸がまさにこれだと感じました。
仕事は公共交通と道路計画の分野の部署に所属していて、6年以上在籍しています。以前は長い部署経験で他分野への異動を希望していましたが、20年目の自分は今までの中で最も専門性を高めた仕事をしている実感があります。同時にこれは自分の意識だけでの問題ではなく、行政側の立場として様々なカウンターパートナーや事業者と仕事をする上で、必要な専門性であることを実感しています。業務量が増え、人員は増えない中、負担だけが増える中で専門性を高める機会を失っている部分も多いと感じます。特に交通分野は正解がない世界です。専門性が低いと事業者やコンサルに依存してしまう傾向になってしまいます。例えば、交通計画をとっても、依存度が高くなるとまちの課題検証が薄く画一的な内容になってしまう。専門性を高めて意見交換や方針決定をできるようにする。VUCAの時代だからこそ、求められると感じています。それは実際に仕事の結果にも出ています。

一般社団法人公務員研修協会が発足しました。
公務員による公務員のための研修を実施していく団体です。昨日は発足記念のセミナーを受講しました。

公務員は「公務のプロフェッショナル」。海外ではそのための教育システムができていることに対して日本には全くその仕組みがない。ここまでOJTのみでその専門性が磨かれてきた。民間の研修機関へ研修を依頼することが多いですが、公務員経験のない講師がほとんどの現実です。先ほどの高橋さんのお話にあった専門性の種類でいうとOJTは経験的専門性のみで、理論などに基づく体系的専門性の学びの機会はなく、先端的専門性は意識の高い職員のみが主体的に行っているのが実態でしょうか。公務員のど真ん中を歩いている人がさらに専門性を高めて成長していくことを目指している同協会の趣旨に賛同して会員申込しました。

両者に共通しているのは、人的資本(人材は組織の資源ではなく投資すべき資本である)と主体的な学びからキャリアを作る専門性です。公務員人材開発研究会の活動の根幹と共鳴する内容だと感じています。引き続き、主体的な学びと実践の場を作っていきます。

最初の問いに戻ると、主体的な学びは自分自身の成長のためとして、何のための成長かと考えたとき、人生の軸となる仕事における成長でもあり、仕事の以外の軸における成長でもあります。それは人としてどれだけ成長して自分自身のキャリアを自分で切り開いていけるかということなんだと思います。そして、それぞれの軸に相応の責任や自覚がもたらされるとその学びの効果は高まり、実践につながります。

んー、誰かと語り合いたいテーマですね。

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