わるい本田

全ての他所者に、最大限の愛を込めて。

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  • わるい本田のコト

    ポンコツ人間として知られる「わるい本田」の日常を書かせていただきます

  • 本田家に集まる駄目駄目な人々

    「友達の友達なら誰でも来ていい」というルールの家で8年暮らす わるい本田が見たダメダメな人々について綴っていきます

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新人AV女優が部屋に来た話

学生時代は兎にも角にも金がなかった。 というと今は持っているみたいな感じになっちゃうけど、言うに及ばず今もない。が、その頃の貧しさは現在とは比にならず、片栗粉を固めて食ったり、パチンコ屋でコインを拾い集めて煙草を吸ったりしていた。 そんな僕に「自分の部屋を貸すだけで時給四千円」という魅惑の案件が舞い込んできたことがある。以下事情↓↓↓ 「素人男性の家にAV女優が訪れなんやかんやするシリーズ」に馴染みのある男子諸君は多いと思うが、あれはリアル男性のリアル家(読み方不明)では

    • スターバックスで奇声を上げる婦人がいた

      「あ゛っ!!!!!」 という奇声がスターバックスに木霊する。 毎時聞こえるこの無作為な発狂音は、あの窓際に座る老婦人が発声しているという事実は、あの空間にいる誰もが認識していた。 その女性はいつもニット帽を深く被っているので、顔の全体像を把握する事はできない。だが、帽子の陰から覗く顔の皺から大体の年齢を想像することはできた。派手な柄のクロップトップの上にダウンジャケットを羽織り、それでいてタイトなレザーのミニスカートを合わせるのが彼女の定番で、温かくしたいんだか涼しくした

      • 先バレ音が鳴らなくて

        中野のパチ屋で1円貸しのリゼロの先バレ音を待つ。アイフルから「今回はお客様のご希望にお応えすることができませんでした」と連絡が届いた。台のカード返却ボタンを押す。このカードの中には僕の大切な大切な、400円が入っている。 「それで今までうまくいっちゃってるから、"そんな感じ"で生きてるんだよね」みたいな事をたまに言われる。「一回、痛い目見た方がいいんじゃない?」と言われる事もある。たぶん親切心で言ってくれているのだろう。僕はこの人と一生関わっていたい、と思う。 宙に漂う時

        • 金が無いのにはもう飽きた

          金が無いのにはもう飽きた。 スカスカの財布を眺めて「嗚呼、金が無い」と思うのはもう飽きた。 金が無いのにはもう飽きた。 知らない電話番号から電話が掛かってくるのにももう飽きた。 金が無いのにはもう飽きた。 その電話番号をググって「矢張りあそこか」と思うのにももう飽きた。 金が無いのにはもう飽きた。 朝から周年のパチ屋に並んで、あんなにみんなが取り合った台に、帰ってこない万札を入れるのにはもう飽きた。 金が無いのにはもう飽きた。 やっと入ったRUSH中、「今例

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          袖をまくる

          『光』の宇多田ヒカルはどうしてあんなに楽しそうに食器を洗っているのだろう。きっと新婚初日、或いは新居に引っ越して一日目なのだ。そうでも考えないとあのテンションの説明がつかない。洗い物に楽しい事など一つもない。 ジャブジャブと水を流しながらゴシゴシと食器を洗っていく。「本田が洗った後の食器は全部ヌメヌメしている」と人に言われた事がある。流しても流しても出てくる泡を見る度、どうして紙皿を使わなかったんだろうといつも後悔する。 脳内で電子的な姑を作り出し、説教をしてもらう。「洗

          袖をまくる

          プリンスの追悼番組でよくわからねぇメロコアをオンエアしてしまった話〜AD本田のやらかし記録〜

          「今日はみなさんに悲しいニュースをお伝えしなければいけません」 とあるラジオ局のスタジオからパーソナリティがニュースを伝えている。 「世界的アーティストのプリンスさんが亡くなりました」 外国人に「さん」をつけると少しこそばゆいのはなぜだろう。 あのプリンスが死んだ。レジェンドの死という出来事はその日のラジオ局を騒がしくさせるのに十分すぎるほどの衝撃だった。 「ここで、私が愛したプリンスの楽曲の中から一曲オンエアしたいと思います。」 パーソナリティが慣れた口調で曲フリ

          プリンスの追悼番組でよくわからねぇメロコアをオンエアしてしまった話〜AD本田のやらかし記録〜

          嫌いだったアイツの家に行った話

          A組のアイツを助けたことがある。 その日は、何でもない日だった。夏を少し過ぎた蒸し暑い夜、喉が渇いたので近所のコンビニに行くため家を出ると、人通りの少ない路地にソイツは落ちていた。 黒めのシャツに黒いスキニー、細めの指輪に整えられた眉、そしてお決まりのようなとんがり靴。そんな身なりとは裏腹に、だらしのない格好で地面に寝転んでいた。 酔っ払っている人が地面で寝ていたら声をかけることにしている。前に友達がそうしているのを見て、素直な行為だと感じたからだ。 「大丈夫ですか?

          嫌いだったアイツの家に行った話

          ヒモのパイセンはヒモ過ぎて訴えられていた話

          ヒモという言葉の意味は曖昧だ。ほとんどの場合、蔑みの言葉として用いられるが、同時に天賦の才を意味することがある。 「あいつヒモの才能あるよな(笑)」「昔ヒモやってたことあって(笑)」意味の良悪が定まっていないから、その言葉を使う際には必ず失笑が伴う。 僕も時時「ヒモ気質」などと言われることがあるが、悪の意味なら否定したいし良の意味ならとんでもない。僕は自分程度の男なんて霞んでしまうくらいの「ヒモの大先輩」を見たことがある。その先輩を見たのは裁判所であった。 ヒモのパイセン

          ヒモのパイセンはヒモ過ぎて訴えられていた話

          「もしもしこちら、ネカマサービスコールセンター」

          あなたは「性欲が高まりきった状態の男」がどれだけ恐ろしいかをご存知だろうか。 僕は、どういう訳か知っている。性欲が頂点を迎えた男の怖さや愚かさを「男の僕」が身をもって知っている理由には、ある特殊な事情がある。 とある時期の僕の家「本田家」では、あるソシャゲが大流行していた。僕達は「(ガチャで出る)キャラのJPEGには魂が宿る」「三千円払えば実質無料」を合言葉に盲信的廃課金を行っていたのだが、悲しいかな我我は貧乏学生であり、課金額にも限度があった。だが、労働は決して性分では

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          家賃二万の家には、ゴキブリが何匹いるのかゲーム

          前編はこちらから ↓ (読まなくても今回のお話は読めます) ハンサムなのにいつも服に精子がついているコンドウさんの家に泊めてもらうことになり、二人で夜道を歩いていた。 家に向かう途中、一抹の不安はあった。僕は寝られさえすれば比較的どんな場所でも気にならない方なのだが、なにせ相手はあのコンドウさんである。凡人のチンケな想像など、余裕で下回ってくる可能性は大いにある。 間もなく家に着くらしい。ふと、コンドウさんの家にゴキブリは出ますか?と聞いてみた。「出ないよ」コンドウさん

          家賃二万の家には、ゴキブリが何匹いるのかゲーム

          ハンサムなコンドウさんの服には、いつも精子がついていた

          大学生の頃、コンドウさんという先輩がいた。年は僕より2つ上で、ひょろりと高身長で肌が白く顔はつるんと嫌味のない美形であり、男から見れば涼しげでカッコよく、女から見れば独占欲が疼くような可愛らしい造形をしていた。そんな神木隆之介ライクな恵まれた容姿を持ちつつ、いつも切れっ端の様なシンプルな黒いセーターとボロボロのジーパンに便所草履を履いて人の話を小さな声でうんうんと聞き、稀に「モテたい」といった等身大の大学生みたいな自分の夢を恥ずかしそうに話す人だった。 そんなコンドウさんに

          ハンサムなコンドウさんの服には、いつも精子がついていた