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オステオパシーで腰痛治療 からだ♡ダカラ③

生まれて初めての腰痛である。

ぎっくり腰にもなったことがない。周りの人々がギックリとなった話を聞くと、冷えるとなるんだ、とかボンヤリと認識していた。どちらかというと細身なので、足腰の負担は普段の生活では少ないし大丈夫、とタカをくくっていた。

が、たぶんステイホームの運動不足による筋力低下が大きいのだろう。左のインナーマッスルがヤバい、と感じる。久しぶりの少し負荷のかかった石段下りのあと、手を洗おうと右手を蛇口に差し出した瞬間、腰の中の筋がキャッとねじれそうになった。反射的に「おおっとマズイ」と焦って右手を引っ込めたら、ギリギリぎっくり寸前で止まった。ひい危ない。

それからというもの、用心深く動き、ストレッチやヨガを自分なりに取り入れていたのに、何かのきっかけでギックリ来そうなスレスレな数週間をよろよろと進んだ。が、やがて、不自然な庇い姿勢のせいか、ぎっくりとは別の腰痛が顔をのぞかせてきた。日に日に悪化している自覚がある。

この腰痛は、わたくしがラジオのCMなどでよく耳にする、「お尻から太ももにかけてビリっと痛い」というアレ?わたくしにそれが来たのか?座りっぱなし生活が悪かったと自覚はある。もともとインドア派な行動傾向に加えて、らくちんな住まいに移ったことが裏目に出て、動かないモードに拍車がかかったのがいけなかったのかもしれない。

当たり前だけれど、腰が痛いと、動きが緩慢になる。動けなくなると、余計に悪いスパイラルにはまるだろう。これ以上ひどくなる前に、手を打たねばならない。こういう時わたくしはひたすら先手必勝戦法を取る。先送りにしても、身体にも財布にもいいことは一切ないとこれまでの経験上思い知っている。不調の兆しが見えたら、よく観察し、動くべきタイミングを図る。予定や仕事を調整しながら、できうる限り先手必勝なベストタイムを考える。大火事になる前に小火で火消しをするに限る。

そして、このような西洋医学が苦手な不調への対応は、鍼灸か整体かオステオパシーの三つの肢から選択する。それぞれ頼むべき治療者は確保済み。当件は、ひどくなった時の悲惨さを考慮して、オステオパシーを選ぶ。

幸い無事に頼りのS先生に予約ができて、直ぐに治療を受けられることに相成った。穏やかなS先生には、かなりお久しぶりにお会いする。それだけわたくしの体調が良かったといえる。「どうしましたか?」と柔和に問われて、経緯と状態を説明し、併せて質問をする。

椅子や床に足を崩して座ると痛い。でも、正座と歩行は全く問題ない。横になって寝返ると痛い。上を向いて寝ている分には痛まない。仕方ないので、事務作業などは立って行うことで対応している。股関節は悪い感じがしない。コレは坐骨神経痛というもの?

対して、S先生のお見立ては、「腎臓と肝臓が弱っている。前頭葉が考え事で満杯だ。左足首の昔の捻挫が膝の下までねじらせていて、それが骨盤の中の蝶骨をねじらせていて、痛んでる」と。ねじれ切っている、と言われて、苦笑するしかなかった。座り方のおかしなひねり癖も悪かったのかもしれないけれど、肝腎の内臓疲労とは。

先生は、わたくしの両足の指先をつまんだり、頭部に両手を置いてジッと神経を集中することで、身体内をスコープできるらしい。毎度不思議だけれど、診断に沿って行われる施術では、経絡を動く気の流れが体感でき、軽くなる、痛みが激減する、通りがよくなるなどがわかる(これはわたくしの特異な体質のせいなので、他の方には当てはまらない)。わたくしにとって大変心強い治療法である。

大雑把な素人的な理解では、身体全体を覆う膜の緊張を緩め、内臓の動きや骨格のずれを調整し、気血の流れを本来の調子に戻す仕組みのようだ。オステオパシーはとても不思議な治療法だ。創始者のことが著されている本もあるらしい。一度きちんと読んでみたいと思っている。

1時間弱の治療のあと起き上がってみると、すんなりと躰が動く。まだ痛みは残っているが、辛さは随分軽減されていて、全体の調子が上がっていることがはっきりとわかる。やれやれこれで大丈夫になった。と一安心。

「頭の中が満杯だとわかっても、それはストレスとかだから施術でどうこうできるのですか?ふつうはそこには本人もどうしようもない、良く寝るとか、タスクを減らすとかしようがないと思いますけど?どうするんですか?」と知りたがり屋の私は質問してしまう。ニコニコ笑って、S先生は「パソコンと同じで、重くなってるのをクリーンアップするんだよ。」とまたもや不思議な回答をされた。

どこかにそういうスイッチが人間の身体にもあるのだろうか?ますます謎だけれど、とにかくよくなったのだから、まあいいのである。(いいんかい!)

これまでのとおり、帰宅してからも治療の効果がどんどん出てくるので、他の治療が、施術直後がマックスのところ、S先生の治療予後はどんどん良くなっていくのがありがたい。

最後に念のため「なにか気を付けた方がいいことはありますか?」と聞くと「ないよ。」とのお返事。次の治療も必要なく、1回で終わり。

本格化する夏を前にわたくしの体調が弱るのは、お約束。この時にオステオパシーで全体を整えられたのは、腰痛さまさまといえるかもしれない。

陰虚の体質に由来するのか、以前同じ時期に目が痛むので眼科に行くと、なんと痛みの原因は過労だからとATP薬を処方されたこともある。わたくしは、まごうことなき夏バテ体質?で、年齢を重ねるほどに暑さが堪えるようになってきた。寒いのもつらいけれど、寒さは入浴や厚着、暖房で乗り切ることができる。暑さだけは、裸になっても逃げられない。ひたすらぬる目のクーラーの中にいるしかない。されども、食べ物は温かいものしか食べられない。冷たいものはキツイ。ややこしい虚弱は、オステオパシーの癒やしのおかげで、ようやく夏を超える手はずを整えたのだった。

転んでもタダでは起きない。腰痛転じてオステオパシーで夏越準備完了。災い転じて福となす。




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