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マイクロノベル集 316「夢と現実のあわい」

No.1731
「我を崇めよ」ぬいぐるみが喋っている。いや、これは夢の中のはず。「我を崇めるのだ」顔は丸描いてちょんちょんちょん。「お客さん、肩がこってますね」うん。整骨院の帰り道、捨てられていたぬいぐるみを拾って、家の神棚に飾った。整骨院は潰れたそうだ。


No.1732
雨の中を人々が走っている。健康のためか、肉体美のためか。オレにそんな根性はないなあ。ガラス越しに眺めていて、不意に、雨に打たれているのは自分の方だと気づいた。「起きたぁ!」と叫ぶように猫がにゃあにゃあ鳴いている。救急車が病院に着く直前の夢。


No.1733
眠っている間によだれが垂れる。枕がベタベタ。自分では覚えてないけれど、食べ物の夢を見ているのかな。そう思っていたけれど。ピチャピチャ。水の音で目が覚めた。ジョン、お前だったのか。そんなに心配するな。オレの鼻は湿っていないのが正常なんだよ。


No.1734
脳は眠っている間に記憶を整理する。そのとき見る夢は、支離滅裂な内容でも、現実で見聞きした情報なんだ。場合によっては天才数学者でも解けない閃きが――。「ゲームをやめて早く寝なさい」ちゃんと話を聞いてる!? まだアイテムを集め終わってないの!


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。




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