皆既月食、キッチン

何年振りかは覚えていないけど皆既月食があった。

子供の頃から宇宙や星が大好きで、こういう天体イベントがある日の夜はワクワク心が躍ります。

その日は仕事が終わってからカフェで作業していてのだけど、
影が月を覆い始める部分食からブラッドムーンまでの約1時間は、
何度もお店の外に出てはスマホを月に向けた。

ブラッドムーン。スマホで夜空撮影するの難しい。

今回の皆既月食では442年振りに天王星食も同時発生するということだった。天王星は6等級の星でほとんど肉眼では見えないので、天王星食は見に行かなかったが、何百年という”星たちの時間感覚”の壮大さに、十分に心が動かされた。

宇宙や星たちの生きている何万光年とかいう途方もない歴史に思いを馳せるといつでも、人類の営みや日々の悩みがどれほどちっぽけなことかと思うことができる。

人に対する程よい潔さと人生に対する程よい諦観。
宇宙や星が好きなことで、現代社会を生きていく上でほんの少し肩の力を抜くことができている気がするなと思った夜でした。

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今週の通勤時間やお風呂時間は、吉本ばななさんのキッチン(キッチン2-満月も合わせて)を読んでいた。人生で何度も読んでいる大好きな小説。

天涯孤独の身となったみかげの再生と成長を描いた小説。
みかげの成長の軌跡、えり子さんの暖かい言葉、雄一の思いやり、物語の随所に暖かくて輝く言葉たちが詰まっていて、その力強さにこれまで何度救われてきただろう。
物語の中では様々な喪失がみかげと雄一を襲う。二人とも絶望と悲しみ、孤独に覆われることになるのだが、暖かい人たちの寄り添いによって、ゆっくりと喪失を乗り越えていく。

心が苦しさに満ち溢れたとき、道に迷い途方に暮れてしまったとき、高い壁の前でどうしても一歩を踏み出せず立ちどまってしまったとき。
これからも人生の様々な場面で読んでいくんだろうなと思う。

道導として、お守りとして、心の奥底のポケットにこっそり潜ませている作品がみんな一つや二つあるんだろうか。
きっとまだまだ長い人生の中で、多くの人と巡り合う。この人のポケットに触れてみたいなと思うことができるような素敵な邂逅が、これからの人生にも満ちていきますように。

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