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やがて君になる

小説は毎月1冊から4冊程度を購入し、生活の隙間を埋めるように少しずつ読んでいくのですが、漫画はだいたい大人買いして一気読みします。
小説は計画的に、漫画は衝動的に楽しむことが多いみたいです。今回は漫画のお話しなのですが、例に漏れず一気読みしてしまいました。

面白かったんです。はい。

女性同士の恋愛(いわゆるレズや百合)を描いている漫画としては一番に名前が上がるこの作品。
恋愛を題材にした漫画読みたいなと思い、読みたいものリストの中から手にとったのですが、読了後は印象がけっこう変わりました。

女性同士の恋愛物語という側面も確かにあるのですが、私は"人を好きになることを自分なりに打ち立てていく物語"だと感じました。

主人公の侑と七海先輩、2人の関係性を主軸として物語は進んでいきます。

好きってどういう感情なのか、
人に惹かれていくとはどういうことなのか、
付き合うとはどういうことなのか、

多くの人が当たり前に歩いていく道を、主人公の侑は一歩一歩立ち止まり(図らずも立ち止まってしまって、という表現のほうがしっくりくるかもしれません)、七海先輩との関係性を大切に構築していきながら進んでいきます。

恋愛でしかなかなか得ることができないあの淡くてもどかしい感情が、繊細かつ丁寧に、そして、鮮やかに描かれていて、心が締め付けられることの雨あられ。そして、登場人物みんなの優しくて力強い言葉たちもとっても魅力的。

私自身、自分がアロマンティックなのではないかという疑問を抱えていた時期があったり、自分なりの"人を好きになること"を打ち立てていった経験があったりして、「わかる、わかるよ〜」という共感の頷きと涙に溢れながら物語を楽しむことができました。

好きという感情や想い合う2人の関係性に正しい形や呼称なんてない。

これまで誰かを好きになったことがある人、
これまで誰のことも好きになれなかった人、
心から誰かに惹かれ思い悩んでいる人、
大切な人と一緒にいることができている人、

いろんな人に読んでみてほしいと感じた作品でした。

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