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物語に浸った休日

頭が重い。

ひょんなことから手にとった新井素子さんの『チグリスとユーフラテス』と、漫画版『風の谷のナウシカ』をかわるがわる読んでいるからだ。


私はファンタジー作品が苦手だ。自分がいる世界とあまりにもかけ離れた舞台だと、いまいち感情移入ができないから。『ハリーポッター』とか『アバター』とか、あるいはディズニー作品とか、誰もが観ているのにどうも手にとる気になれない作品は多い。

だけど現実にはあり得ない世界観でも、SF作品の中にはずぶずぶとのめり込んでしまうものがある。どうも、あり得ない世界観の中で人間が人間らしく描かれているものにはハマりやすいらしい。

そういう物語を読むと、本から目を上げたとき、映画館から出た瞬間のように現実に目がくらんでしまう。


『チグリスとユーフラテス』も『ナウシカ』も、中高生でも読めるような難しくはない内容なんだけど、大人が読んでもおもしろい。『ナウシカ』の映画は何度も観たけれど、子どもの頃と今とでは感じ方が違うし、20年後に観たらまた違った感想を抱くのだろうなあと思う。

それにどちらの作品も、独特の世界観なのに現実社会に対して示唆的…なんだよなあ。物語の世界を理解して飲み込んで、そのうえで色々考えて…と頭が忙しい。

どちらも昨日から読み始めて、この連休中に読み終わろうと思っていたけどとても無理だ。『チグリス~』は下巻の途中、『ナウシカ』は2巻が終わったところ。

もともと遅読なんだけど、本の方が早く読み終わりたくなるので、『チグリスとユーフラテス』の方が早くゴールしそうだ。


昨日から引きこもっていたこともあって、身体のなまりを感じた。
もっと物語の世界に浸っていたかったけれど、急に明日のことを考える。

頭はすっかり現実から乖離していた。4日間も休んで、明日からちゃんと働けるだろうか?
全然自信がなくて外に出た。遅めのランチをとりに、モスバーガーへ。


店内は友だち連れや家族連れでにぎわっている。聞きたくもない音楽が流れていて、窓の外には人が行きかっている。

エビカツバーガーとポテトのセットと、ホットコーヒーを注文する。季節ものや限定ものを頼もうと思うのだけど、レジの前に立つといつも決まったものを選んでしまう。

普段ならうるさくてすぐに店を出るだろうけど、耳や目から流れ込む現実に身体を慣らすためにしばらく居座る。今の私にはうるさいくらいがちょうどいい。


気まぐれに降っていた雨が上がって、いつの間にか雲一つない青空だ。

私の頭はまだ重い。

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