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小説執筆におけるAIの活用方法・使い方を考察【まとめ】

第170回芥川賞では九段理江さんの「東京都同情塔」が選ばれました。その後、九段さんが記者会見で「生成AIを駆使して書いた」と語り、大きく話題になりました。

SNSでは好意的なコメントがある一方で、「不誠実だ」などの批判的なコメントも。

しかし、「生成AIで作品を書いた」という情報が一人歩きした結果、批判的なコメントが出てきてしまったように感じます。実際は、AIを使ったのは作中に出てくるAIのセリフであって、地の文はオリジナルと本人が説明しています。


生成AIを使った作品が受賞する、これは小説を書いている全員が危惧していたことだったからこそ、ここまで話題になったのだと思います。けれど、そんな時代がもうすぐそこに迫っているのは紛れもない事実です。

小説とAIの共生、それはこれから小説を書いていく人にとっては絶対に考えなければいけない問題です。

以前、僕はAIに対して否定的な小説を書きました。しかし今回のことで、小説家を目指すのならば、AIは有効的に使っていかなければいけないと確信しました。

小説を書くのにあたって、AIをどのように使っていけばよいか。備忘録としてここにまとめておきます。


九段理江さんのAI活用方法

九段さんはインタビューで、編集者さんとこんなやりとりをしました。

九段理江さん
「小説の構想の土台になっているところをChatGPTに尋ねているんですね。ChatGPTで本当に始まってますよね、この小説は。記者会見で言ったことも私ちょっと盛りすぎちゃったかなとか思ってたんだけど、でも本当に駆使して書いた小説で、全然間違いじゃなかったです」

さらに、登場人物の台詞の内容に一貫性があるかどうかや、読者が混乱しないかといった文章表現の評価をしてもらったり、添削してもらったりしたことも明かした。

インタビューのやりとりを聞いていた、同席していた担当の編集者が、思わず「もう1人の編集者かな」とつぶやくと、九段さんは「そうそう、もう1人の編集者という感じはある」と応じていた。

出典:NHK「web特集AIが”生んだ”芥川賞「東京都同情塔」誕生秘話を作家が明かす」

「もう一人の編集者」、この言葉が僕の中で腑に落ちました。

なるほど、AIに小説のすべてを任せるのではなく、AIには編集者という立場で手伝ってもらうのか。

これは編集者がついていないアマチュアの作家にとっては、画期的な案ではないでしょうか。客観的な意見を出してくれる立場としてAIに手伝ってもらう、これほど頼もしい存在はいないでしょう。

ということで、僕は早速AIを編集者にして小説を書いてみました。それがこれです。

アイデアを貰ったり、感想を聞いたりしました。

様々な面からの具体的な案を貰える
詳しい感想を貰える
欲しいアドバイスを聞けばその通りに答えてくれる

「勇者の日常」は、今まで僕が投稿した小説の中で、一番のいいねを貰えました。すべてはAIのおかげというわけではないですが、AIを使ったことでいい作品を作れたという実感はあります。

ここで、AIを編集者とした活用方法をまとめました。



編集者としてのAI活用方法5選

1.アイデア出し

まずは作者が書きたいアイデアを考えます。

前提として、最初は作者が考えましょう。最初からAIが考えてしまえば、編集者ではなく作者になってしまいます。そもそも考えることは楽しいことですので、そこはサボりたくないですね。

書きたいアイデアを思いついたとき、そこでAIの出番です。AIと話し合い、アイデアを膨らませていきます

例えば、「勇者の日常」について書きたいとします。そこで質問をします。

「勇者の日常で、読者が求めるものは?」
「勇者の日常で、書けるものは?」
「勇者の日常に関する他の作品はある?」

このように、自分一人では考えられない、もしくは何時間も考え込むようであれば、AIを使うのは有効的ではないでしょうか。


2.キャラクターの設定

キャラクターの設定というのは本当に難しい作業です。雑に決めてしまっては薄っぺらいキャラになってしまい、逆に考え込みすぎると終わりがありません。

そこで、ある程度書きたいキャラを決めてから、足りない部分をAIに考えてもらいましょう

それからさらに、自分の書きたいキャラのバックボーンなどを付け加えると、理想のキャラをつくれると思います。

また、サブキャラなどの思い入れのないキャラはすべてAIに任せてもいいかもしれません。

そして、キャラクターをつくるにあたって意外にも難しいのは名前です。キャラの名前は、分かりやすいかつ個性的な名前が求められます。そこでAIを使いましょう。

例えば、「月」という文字が入った名前を10個出してくださいと指示すれば、一瞬で出してくれます。これも自分一人では何時間もかかる作業なので、AIを使うのはどうでしょうか。


3.世界観

世界観をつくるのは、自分一人では限界があります。キャラとテーマに沿った矛盾のない世界観をつくるのはとても難しいです。

そして、これも考え込みすぎると終わりがない作業です。

世界観には、魅力的で矛盾のない設定が求められます。さらにリアリティーが求められ、自分の知識だけでは書きたいものが書けないという場面は多くあるでしょう。

しかし、足りない知識をAIで補うことで、書ける小説の幅をぐっと広げることができます

ある程度の枠組みは自分でつくり、思いつかない部分はAIに頼りましょう。また、自分のつくった世界観に矛盾がないかをAIに指摘してもらうのもいいでしょう。


4.推敲・校正

推敲と校正、これが最もいいAIの使い方ではないでしょうか。

アマチュアの作家が一番悩むところは、書いた小説が面白いのかどうかです。

中には、友達や家族に感想を聞いている人がいると思います。それが悪いわけではないですが、遠慮して悪いところを指摘してくれなかったり、いつまでも感想をくれないということは多いはずです。

また、感想をくれるような人がいないという人も多いと思います。

しかし、AIは有能です。ほしい感想を指示すれば、一瞬で具体的な感想を貰えます

「勇者の日常」の校正。詳しい校正は他のツールを使ったほうがいいかもしれない
「勇者の日常」で厳しい感想を貰った。結構へこむ

書いた小説の感想、伝わらなそうな部分、間違っている表現をAIに指摘してもらうのはどうでしょうか。


5.その他の質問

小説を書くというのは、意外にも難しいです。書き方のルールや、記号の使い方など、小説を書いていると悩むことは多くあります

その都度ネットで調べるのもいいですが、欲しい情報にたどり着くまで時間がかかってしまうことはありますよね。しかし、AIに聞けば一瞬で欲しい情報を貰えます

その他にも、物語のジャンルは何があるのか、短編小説とショートショートの違いは何かなど、どんな質問にもAIは答えてくれるので、とても有効的だと思います。



無料の小説執筆AIツール4選

1.Claude

この記事で使われたAIツールはこの「Claude」です。

このAIツールは小説用ではないのですが、ClaudeはChatGPTを超えるツールだと言われています。

人間らしい自然な文章を生成できたり、読み込める文章量が多かったりするなど、使い勝手がとてもいいです。

特に文章量に関して、ChatGPT(無料版)では1万文字程度に対して、Claude(無料版)は14万文字程度の読み込みが可能です。

UIが英語のみというのが使いづらさではありますが、日本語での読み込み、回答ができるので気になることはありません。


2.ChatGPT

「ChatGPT」は一番有名なAIツールではないでしょうか。九段理江さんが使ったのもこのAIツールです。

まずはChat AIを始めたい方にとっておすすめのツールです。


3.Claude

デザイン機能で有名な「Canva」ですが、AI小説自動生成の機能もあります。

文章特化のツールではないので使いづらさがあるかもしれません。しかし、小説執筆にはもちろん、要約表紙の作成などにも最適なツールです。


4.AIのべりすと

「AIのべりすと」は、日本語特化の小説AIツールです。

ユーザーが入力したキーワードを基に、自然な小説を作成してくれます。なので、小説の続きが書けなくなったときなどに最適なツールです。



まとめ

人というのは変化を嫌います。産業革命や、ガラケーからスマホに変わるときなど、どの変化の時代にもそれに抵抗する人たちはいます。そしてその人たちは、グチグチとその変化を批判します。

しかし今となっては、機械を使わないなんてありえないし、ガラケーなんてものもありえない。僕たちは変化に対応していかないといけないんです。

実をいうと、僕はAIが嫌いです。AIが描いた絵を見て、鼻で笑ったりします。けれどこの先、AIを使いこなせないと生き抜くことができない時代がやってくるでしょう。

AIについてグチグチいう暇があるなら、まずはAIについて勉強したいですね。

小説とAIの共生、僕もまだまだ勉強中です。AIについて、みんなで交流していければ幸いです。



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