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仕事で炎上プロジェクトに入ってしまったら注意すべきこと

炎上案件に多く携わってきた者として、上記ワークスアプリケーションズの創業者、牧野正幸氏のX上の発言がとても心に残ったので以下、自身の経験も踏まえ思ったことを述べていきたい。

まず、かっこいいプロジェクトとは何か。

まず頭に思い浮かぶのは大型買収プロジェクト・新規事業立ち上げプロジェクトである。これらのプロジェクトは大抵社長直轄または役員直轄であり、そこに配属されるメンバーは将来有望なエリートが配置される傾向にある。

かっこいいプロジェクトのメリットは、社長を始め役員に進捗の報告を行う機会が多くなるため、当然役員からの顔の覚えもよくなる点だ。そして何よりも会社の経営層と直接のコミュニケーションの機会が与えられる為、自分自身の視野も広がり、勉強になる。

では、デメリットは何か。それは、端的に言えば自分自身でオーナーシップをもってプロジェクトを進めることができない点だろう。

かっこいいプロジェクトは基本、失敗することが許されないし、上述した通り役員に対する報告が多く実施されるため、担当者として入った場合、自ずと内部報告資料作成の時間に費やされることになる。そして、プロジェクトの進捗状況を見つつ、今はどの情報まで役員に入れるべきか、といった気配りが要求される。「楽」とは言えない非常に大変な仕事である。

牧野正幸氏は上述のXの投稿で「まわりのできる人に任せるていればいいので楽だが、自分の成長のためにならない」点を挙げているが、こうした微妙な調整能力や報告能力が必要となる点をふまえると「楽」というの点には違和感があるものの、組織としてたち振る舞っている以上、個人に対する責任が課されない点については確かに「楽」とも言える。

いずれにしても、かっこいいプロジェクトは組織の中でも立ち振る舞いが学べ、また注目プロジェクトに入っていたメンバーとしての箔がつくので、その組織の中で出世していきたい人には参加をおすすめしたいプロジェクトである。

次に、炎上しているプロジェクトについて述べていきたい。

炎上しているプロジェクトとは何か。これはかっこいいプロジェクトの反対のプロジェクトを思い浮かべてみるとよいと思う。

どうにもうまく立ち行かなくなっており、役員からは「何とかしろ」と言われるものの、前向きの話ではないことから会社から与えられたリソースは限定的で、文字通り自分でなんとかしないとどうにも立ち回ることがでいなくなるプロジェクトである。いわば敗戦処理プロジェクトである。

自分自身の経験から言えば、出資した企業の減損処理とその後の事業撤退が挙げられる。

こうしたプロジェクトは、会社内で注目もされておらず、リソースも配分されないし、自分自身が何とかしないと進まない。だが、それは裏を返せば、会社からある程度プロジェクトを進める上での裁量が与えられているということであり、ある程度自由に進めることが可能だ。

そして、会社側も「このプロジェクトはもうどうしようもないよね」と半ば諦め気味で期待値が低いため、うまくいかなくても「仕方がないよ」で終わる。一方で仮にうまく進めることができた場合、その功績は非常に讃えられる。

このあたりが炎上プロジェクトに携わるメリットだろう。

ただし、デメリットもある。それは炎上プロジェクトに入ると、自分自身の中に気の緩みが生じてしまうのだ。

どうせやったところで失敗しても責任を問われないなら、まあ失敗してもいいか、結果が問われないのであればいっそこのままうまくこなしていこうか、、、といった甘えの気持ちが生じてくるのだ。まさに自分との戦いである。

まだある。周囲からは何をしていなくてもそのプロジェクトに従事しているだけで「大変な炎上プロジェクトをやっているんですね、お疲れ様です」という労いの言葉を常にかけられるため、その状況に満足してしまい、あたかも何かをしている錯覚を覚えてしまうのだ。さらに悪いことに、その「大変なプロジェクトをやっている」と周りから思われていることに満足感を覚えてしまうのだ。

また、仮に炎上プロジェクトをうまく収束させたとしても、その会社での出世に有利になることはあまりない。

「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」の言葉の通り、特別ボーナスという形の禄を与えられることはあっても、残念ながら出世という形で報われることは少ない。

ただし、誰からも期待されない中での自走力・突破力などは身につくので、これは会社の外に出た後にも活きる力だと考える。

結論、今いる会社で上を目指したいのであればかっこいいプロジェクトに入るべきである。一方、会社の外でも通じる自走力を身につけたいのであれば炎上しているプロジェクトに入るべきである。


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