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人を大事にするとはどういうことか?

この記事はEVeMアドベントカレンダーの記事です!


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はじめに

今は成果が大事なので人を大事にしている余裕などないし、そもそもそれ重要じゃないので

というような言葉を聞いたこと、もしくはきっとこの人そう思ってるんだろうなと思ったことはないでしょうか。
高い目標や、ステークホルダーからのプレッシャーに日々向き合うベンチャー経営者・マネージャーは、特にこのように考える人が多いという印象です。

人を大事にするとはどういうことなのか定義した上で、この言葉が正しいのか間違ってるのか、以下考えていきたいと思います。

業績を上げるのは”人”

企業というのは人の塊であり、その企業から生まれる業績は人の働きから生まれています。だから企業には人が存在しているのです。
当たり前のことを書いているのですが、意外にこの話が抜けたまま「人を大事にすべきだ」「人を大事にすることより成果が優先だ」という話に入る人が多いなという印象です。
企業にはなぜ人がいるのかという当たり前のことを考えると、業績を生むためにいます。
これは、直接稼ぎを持ってくるような営業部門等に限らず、開発部門も、管理部門も、その他すべての部門も「稼ぐ」ということに最終的には繋がる働きをしています。

人を大事にするとはどういうことか

その上で、人を大事にするとはどういうことか?それは「業績を上げてもらうようメンバーに働きかける」ということになります。
人を大事にするというは、メンバーのご機嫌を伺うことでもないし、メンバーの要望の言いなりになることでもありません。
時に厳しいことを愛を持って伝えることも大事ですし、メンバーのやりたいこととは異なっても、はっきりとその業務を要望し評価をすることも大事です。
全て「メンバーに業績を上げてもらうこと」に繋がる働きかけであることが重要です。そのメンバーに業績を上げてもらうことで、企業もそのメンバーも双方WinWinとなります。それが、人を大事にするということです。

そして、その働きかけが「マネジメント」と呼ばれるものであります。
マネジメントとは結局、一言でいうと「業績を上げてもらうようメンバーに働きかける」ことなのではないかと思います。

・企業は人の塊である
・その人たちが上げる業績を最大化させることが企業の業績最大化に繋がる

この2点を鑑みると、程度の差はあれ、マネジメントと呼ばれる行為を全く何もやっていないという会社はほとんどない理由がよくわかります。

そして、マネジメントには実に様々な技術が必要です。その技術の詳細は以下の記事に書いてあるので、お時間ある際にぜひご覧ください。

人を人だと認識すること

「業績を上げてもらうようメンバーに働きかける」ためにはやるべきことは上の記事のようにさまざまあります。その1つ1つについて「今やるべきかどうか」を判断し、やるやらないを決めることは正しいと思います。

どんな企業でも、いつでも、これらが”全て”重要なのかと言われれば、それはケースバイケースかと思います。自社の状況を鑑みて、やるかやらないかを取捨選択すべきかと思います。そこには優先順位があり、”今重要じゃない”こともあるでしょう。

しかし技術とは別に、経営者(マネージャー)として求められるスタンスはあると考えており、それはどんな企業でもいつでも重要だと思います。
そのスタンスがあるかないかでメンバーが業績を上げられるかどうかは大きく変わりますし、スタンスなので実施工数(コスト)はゼロです。
工数(コスト)小・インパクト大ということで、必ず体現すべきものだと思います。

そのスタンスとは何か?それは一言で言うと、「人を人だと認識すること」だと考えます。人は業績を向上させるための「リソース」であるという捉え方もできますが(ヒューマンリソース、なんてよく言いますよね)、「リソース」と言っても、そこにはその人にしかない感情があり、人生があります。会社という場で出会ってなければこの当たり前のことが認識できますが、会社という場で、経営者(マネージャー)とメンバーという関係になった瞬間に、このことが忘れ去られます。

例えば、一度は聞いたことがあるだろう「あいつ使えないよね」という言葉。これは人と人との間にある当たり前の感情を大事にした時に出てくる言葉でしょうか。この発言をする人には何かが欠落していると思います。
このようなスタンスでいくらマネジメント技術を身につけ発揮をしても無意味です。それでメンバーの業績が上がるのかというと、そんな経営者(マネージャー)の功利的な偽物の笑顔と働きかけに誰が動かされるのでしょうか。

4つの大事なスタンス

人を人だと認識すること、について、経営者(マネージャー)の日々の業務に活かせるよう、もう少し具体的にお伝えすると以下の4つにまとめられます。

1.最後の最後まで、メンバーを活かそうとすること
メンバーの誰かが活躍できていない時、「あいつ使えないよね」と判断することで特に生まれるものは何もありません。そうではなく「どうすればもっと活躍できるのか」を考えます。1回考えて実行に移してそれでも活躍できなければ、2回も3回も4回も・・・何回でもやるのです。それはそのメンバーのためであり、会社のためでもあります。人はリソースといっても、モノやカネとは違い、簡単に切り捨てられるものではありませんし、人はそういう働きかけに答えようと感情を高め頑張る生き物です。

2.そのメンバーの人生を預かる自覚を持つこと
「あいつ使えないよね」と簡単に判断するなら、なぜ採用したのですか?
どこかの会社に勤める、ある経営者(マネージャー)とともに働く、これらメンバーの人生に大きな影響があることです。皆さんもこれまでどこの会社に勤めて誰が経営者(マネージャー)だったかは人生に大きく影響していませんか?その自覚と緊張感を持ってメンバーと接すると、メンバーに対する言動1つ1つが変わります。メンバーの人生において良い影響を与えよう、そのためにも活躍してもらおうとする言動や気持ちが伝われば、メンバーもやる気が湧いて頑張ります。

3.メンバーを利用しないこと
たしかに業績を上げるためにある業務をやってもらうため、そのメンバーと雇用”契約”を結んだのであり、業務の対価としての給与も支払っています。だからメンバーは業績を上げるためのリソースでありそのリソースをどう使おうが経営者(マネージャー)の裁量で決められます、というのは別に間違ってないかと思います。ただ、この”正論”を振りかざす前に考えて欲しいのです。人は人です。その人には意思も気持ちもあります。それをじっくりと聞いた上で業務を要望するのと、正論だけを振りかざすのでは、メンバーの仕事に対する熱意は全く異なるのではないでしょうか。どちらがメンバーの業績が上がるのかと考えた時に、ただ”リソース”としてしか見ずに利用する経営者(マネージャー)ではメンバーの業績はあげられないと思います。

4.向かう先として、業績ではなく意義を示すこと
「当社は売上1,000億円を目指します」と言われ誰がワクワクするのでしょうか。それが利益でも時価総額でも同じです。その業績が世界初の金字塔ならまだ少しはワクワクするかも知れませんが、売上1,000億円の会社なんて世界を見渡せばゴロゴロあります。そういう業績数値だけにワクワクする人は精々、経営者(マネージャー)としてのトラックレコードを作りたい人や、株やSOを持ってて大きな資産形成が期待できる人ぐらいでしょう。そして、その種のワクワクは頑張る理由としては弱いと思います。トラックレコードや資産形成は極めて個人的な欲求ですし、その期待値が下がれば会社(チーム)の状況はいざ知らず仕事の手を緩め、そして去っていく人たちなのではないかと思います。
仕事は人生の大半を占めます。人生は数字を追うためにありません。人は人生に意味を求めます。人生の大半を占める仕事にも意味を求めます。
何のためにやっているのか、誰の役に立っているのか、意義によるワクワクは色褪せることはありません。業績が良くても悪くても、意義に向かっているのであれば頑張り続けられます。メンバーが自分の人生に意味を持たせられるよう経営者(マネージャー)は、業績ではなく意義に向かうことを示す必要があります。業績は意義を求める道筋での通過点であり、KPIみたいなものでしょう。目的そのものではありません。

この4つを心がけながら、「人に業績を上げてもらうための働きかけ」を行うと良いかと思います。

冒頭の言葉に対する私の考え

今は成果が大事なので人を大事にしている余裕などないし、そもそもそれ重要じゃないので

ここまで読んで、みなさんは冒頭の言葉に対してどのように考えましたか?私なら以下のように考えます。

”人を大事にする=業績を上げてもらうようメンバーに働きかけること”、と定義した場合、成果が大事ならばその成果の唯一の源泉である”人”を大事にするべきではないでしょうか。それは、成果を生むために非常に重要かつ、唯一の方法にも思えます。

施策としてのマネジメントでやれることには状況により限りがあるかも知れません。しかし、人を人だと認識し、そこにある当たり前の感情を大事にして、メンバーの成功を願いながらメンバーと協働することは、何かとトレードオフになるようなことではなく、いつ何時でも重要だと思います。

そういうスタンスは最低でも持っておかないとメンバーの業績が上がらないので、結果的にあなたが大事だという「会社(チーム)の成果」が上がらないのでは?と思います。

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